2010/07/26

お知らせ:HPの統合・新設

「コラム編」と「アート編」に分かれていたブログ「ペンと絵筆inアフリカ」をひとつにまとめました。アート作品の新作も、こちらに発表します。また、アート作品の全貌が一覧できるウェブサイトを開設しました。

「ペンと絵筆inアフリカ」 http://pen.osada.co.za
「Masako Osada Visual Arts」 http://www.osada.co.za
 

2010/07/25

作品:Hokusai South African Style II

アクリル  45.5cm x 45.5cm  2010年

葛飾北斎「富嶽三十六景」の「甲州石班沢」を南アフリカ流にアレンジした作品。

2010/07/22

本:ロベン島のサッカーリーグ

More Than Just A Game: Soccer v Apartheid
Chuch Korr, Marvin Close著(Collins, 2008)

単なるスポーツを超えたサッカーの素晴らしさを称える一例として、サッカーワールドカップ(W杯)中、Fifaが盛んに取り上げたロベン島のサッカーリーグ、マカナサッカー協会(Makana Football Association)。その種本がこれ。Fifa会長ブラッターが序文を寄せている。この本に基づき、ドキュメンタリーも制作された。

1960年代初頭、ケープタウンの沖の監獄島ロベン島に送られた政治犯を待っていたのは、栄養価の低いひどい食事と過酷な労働と看守の執拗ないじめ。殴る蹴るのみならず、炎天下、頭だけ出して地中に埋められ、小便をかけられた者もいた。リクリエーションなどもってのほか。

それを当局との忍耐強い交渉により、サッカーリーグを設立するのに成功。それに伴い、食事内容や看守との関係が向上。サッカー以外のリクリエーションも出来るようになったり、囚人の向上心が生まれ通信教育で高校や大学を卒業する者も続出する。

「黒人のスポーツ=サッカー」という通説に反し、地域によっては黒人もラグビーを楽しんでいたことや、マンデラなどの解放運動指導者とそれ以外の政治犯は、ロベン島で殆どコンタクトがなかったことなど、あまり知られられていない事実にも触れている。

気になるのは、ジェイコブ・ズマ現大統領をANC(アフリカ民族会議)のChairmanと紹介したり(正しくはPresident。Chairmanという職はない)、アパルトヘイト下の人種分類が事実と違っていたりするのなど、つまらない間違いが多いこと。内容が面白いだけに、文章が下手なのも残念だ。「Invictus」(邦題:インビクタス/負けざる者たち)の著者ジョン・カーリンが書いていたら、ずっと読み応えのあるものになっていただろう。

2010/07/19

民主国家による国民の人権侵害 ID発行に5年

南アフリカでは、内務省が発行するIDブック(身分証明書)が大きな力を持つ。ID番号なしには銀行口座を開くことも、自動車免許を取ることも、パスポートの発行も、年金や児童手当やエイズの薬を貰うこともできない。納税が出来ないから、まともな仕事に就くこともできない。

ID番号は出生や就学などの機会に自動的に割り当てられる訳ではなく、自分で内務省に発行を申請しなければならない。ID番号が貰えるのは国民と永住者のみ。発行には出生証明書が必要だ。今までIDと関係なく生活していた貧しい人が、年金やエイズ薬を貰うのにIDが必要となり、出生証明書がなくて苦労する話を数年前までよく耳にした。

アパルトヘイトが終わり、国民の大多数を代表する黒人政権が誕生し、国民を平等に扱う制度が出来て16年。そろそろ制度が浸透し、IDがなくて苦労する話は昔話になってもよさそうなのに、お役所の無能のために人生をめちゃめちゃにされた例が後を絶たない。

例えば、パトリック・カニーレ君(22)。5年前にマトリック(高校卒業試験)を受ける。試験結果には自信があり、クワズルナタール大学でフィジオセラピーを専攻するのが夢だった。

ところが、教育省が成績を教えてくれない。カニーレ君と同じID番号の人がいるというのである。びっくりしたカニーレ君は、内務省にIDブックの再発行を求めた。マトリックの試験結果なしには、大学に入学申請ができないのだ。だが、内務省は一向にIDブックを発行してくれる気配がない。とうとう、政府の仕事ぶりに対する国民からの苦情を受けつける役所「Public Protector」に救いを求めた。その甲斐あって、やっと今年4月に正しいIDを入手。内務省はIDの発行になんと5年もかかったのである。

喜び勇んで教育省に駆けつけたカニーレ君には、新たな驚きが待っていた。マトリックの成績が見当たらないというのである。そして、教育省が提示した解決策に、カニーレ君は目を丸くした。その年の平均点をカニーレ君の点にするというのだ。たまったものではない。めちゃめちゃな論理である上に、全受験者の平均点では、望みの大学への進学は無理である。

想像してみて欲しい。センター試験の結果をもらうのに戸籍謄本が必要と言われる。提出したら「あなたと同じ戸籍の人がいるから駄目」。市役所が正しい戸籍謄本を発行するのに5年もかかる。更に、「センター試験の結果が見つからないから平均点を使え」と言われる。お役所仕事にイライラさせられることは日本でも多いだろうが、ここまでひどいと立派な人権侵害だろう。

人権侵害は、政府に批判的な国民を逮捕・拷問するといった、独裁政権による言論・行動規制ばかりではない。南アのPublic Protector、ツリシレ・マドンセラ氏曰く、「IDの発行に5年かかるのは、南アフリカの憲法でも、国際的な人権保護法に鑑みても、重大な人権侵害」。制度はあっても、それを実施するやる気と能力がなければどうしようもない。しかも、マドンセラ氏の役所では、調査員僅か90名で年間2万件の苦情に対応しなければならない。政府に提出した報告書や提言は、これまで全て無視されているという。

IDブックの番号が間違っていなければ、また正しいIDブックがすぐ発行されていれば、カニーレ君は既に大学を卒業し、フィジオセラピストとして活躍していることだろう。教育省がマトリック結果を見つけるか、クワズルナタール大学が特別に温情入学を許すかして、一日も早く進学できることを祈っている。

(参考資料:2010年7月18日付「The Sunday Independent」など)

2010/07/13

W杯 言語部門の優勝はブブゼラ

2010年のサッカーワールドカップ(W杯)サッカー部門はスペインの勝利に終わったが、言語部門の優勝はブブゼラ。世界60カ国以上の言語学者のお墨付きである。

今回の「W杯で最も影響力を持った言葉」を選んだのは、320人以上の言語学者。75%がブブゼラに投票した。因みに、公式ボール「ジャブララ」、マスコット「ザクミ」、南ア代表の愛称「バファナバファナ」は、それぞれ4%ずつ得票。

「Today Translations」社(ロンドン)のユルガ・ジリンスキーネ社長によると、「ブブゼラは翻訳を必要しない世界語になった」。「個々の試合が 忘れ去れられた後も、この大会はブブゼラワールドカップとして人々の記憶に残るだろう」という。

2010/07/10

表現の自由と個人の尊厳 マンデラの死体解剖図

ヨハネスブルグのアーティストYiull Damaso氏(41)の描きかけの絵に、自称マンデラの娘の友人が抗議した。マンデラの娘が怒っているというのである。

問題の絵はレンブラントの名画「テュルプ博士の解剖学講義」のパロディー。メスを取るのは、有名なエイズ孤児ンコシ・ジョンソン(既にエイズで死亡)。見守るのは、デズモンド・ツツ元大司教、FWデクラーク元大統領、ターボ・ムベキ元大統領、ジェイコズ・ズマ現大統領、トレバー・マニュアル大臣、元解放運動闘士で現ビジネスマンのシリル・ラマポザ、それに野党党首で西ケープ州知事のヘレン・ジレ。そして、解剖されている死体がネルソン・マンデラ。

マンデラは、今月18日で92歳になる。殆ど公の場には姿を見せない。時折目にする写真では、衰えが目立つ。「マンデラの死は私たちが個人として、国として向かい合わなければならないこと」とダマソ氏。展示しているハイドパーク・ショッピングセンターでは「論争を呼ぶ作品だが、表現の自由を支持する」。

与党ANCは例によって、「悪趣味、不遜、侮辱」「黒魔術」「人種差別」と過剰反応ぎみ。マンデラ自身、マンデラ財団、家族からの抗議は今のところない。

ダマソ氏はショッピングセンターのオープンスペースで、訪れる人々と対話をしながら、今後数週間かけて絵を完成する予定という。

 
(レンブランドの「テュルプ博士の解剖学講義」とダマソ氏の作品)

(参考資料: 2010年7月9日付「Mail & Guardian」など)

2010/07/07

W杯優勝を決める? マジックナンバー3964

W杯の優勝を決めるマジックナンバーとして、もっぱらの噂となっている3964。その根拠は?

ブラジルは1970年と1994年に優勝している。1970+1994=3964
アルゼンチンは1978年と1986年に優勝している。1978+1986=3964
ドイツは1974年と1990年に優勝している。1974+1990=3964
ブラジルはまた、1962年と2002年にも優勝している。1962+2002=3964

従って、2010年に優勝するのは、3964-2010=1954。つまり1954年に優勝したチーム。1954年に優勝したのはドイツである・・・という論理(?)なのだが。。。

タコのパウル君が正しいとするとドイツは決勝に進出できないから、ドイツの優勝は当然なし。超能力タコとマジックナンバー、軍配はどちらに?

W杯の試合結果を操っていたニシキヘビ 保護される

「2010」。ケープタウンの動物愛護協会(SPCA)が保護したニシキヘビの一種、ビルマロックパイソンの名前だ。飼い主は、「サンゴマ」、つまり伝統的祈祷師のシヤボンガ・ムテトワ氏(25)。(右の写真)

サッカーファンから料金を取り、ヘビを媒体にして先祖の魂とコンタクトし、特定のチームが勝つようお願いしていたという。何故、先祖の魂がサッカーの試合展開に影響を与えることができるかは不明。サッカーのルールに詳しい先祖なのだろうか。

2010の全てを知っているというムテトワ氏、自分なしにこのヘビは生きられないと訴えるが、ヘビを取り上げたSPCAへの復讐策として「2010の姿を消すか殺すかしてやる」と脅しているから、あまり2010のことを可愛がっているとも思えない。実際、SPCAが保護した時は、水も食べ物も与えられておらず、痩せこけて、脱水状態、口に感染症が出ていた上、肺炎にまで罹っていた。現在、手厚い治療を受けているという。

2010が保護されたのは、6月30日。それまでどの試合の勝敗が、2010と先祖の魂に操られていたのか興味のあるところ。

2010/07/06

ドイツの超能力タコ W杯準決勝でスペイン勝利予想

南アフリカで開催中のサッカーワールドカップ(W杯)。7月7日は準決勝のドイツ対スペイン戦。その勝者を占う「超能力タコ」パウル君のご神託の模様が、ドイツのテレビ局で生放送された。パウル君はW杯南アフリカ大会におけるドイツの勝敗を、これまでの5戦全てで当てている。

画面にはドイツの旗がついた入れ物とスペインの旗がついた入れ物。どちらに入ったムール貝を選ぶか、視聴者は息を殺して見つめる。一旦はスペイン側へ行ったパウル君。決めかねるように、ドイツ側へ。ところが、一気にスペイン側へ戻り、ムール貝を選んでしまった!

2008年以来サッカー神託を下しているポール君だが、これまで一度だけ間違ったことがある。ショックのドイツファンは、パウル君の2度目の間違いに期待している。

2010/07/04

ファン対決は日本の勝ち 「ビーバ、ジャパン、ビーバ!」

6月24日の日本対デンマーク戦の会場は、収容人員3万8646人のロイヤル・バフォケン・スタジアム(ラステンバーグ)。72%の入りで、空席が目立っ た。「あなたがいなければ、かなり静かな応援席。ありがとう」と思わずブブゼラに手をあわせる。横断幕やコスチュームの派手さでは日本ファンがまさってい たものの、応援の人数は日本とデンマークが半々だった。

プレトリアに舞台を移した6月29日の対パラグアイ戦では、状況が一転。収容人数4万2858人のロフタス・フェルスフェルト・スタジアムに、3万 6742人のファンが集まった。席の86%が埋まった計算にる。
 
勝てるわけがないと思っていたデンマークを3対1で打ち破り、ベスト16に進出した日本代表。W杯オフィシャルシャツを着て、青と白に染めたアフロヘアのカツラをかぶった若い女性から、日の丸を振りまわしながら奇声をあげる老人、いかにもウソっぽいチョンマゲ、ヨロイ姿のお兄さんまで、ファンはノリにノッていた。

日本人だけではない。顔を白く塗り、安物のお土産っぽいポリエステルの着物を怪しげにはおった白人女性の一群。金髪をジェルで逆立てて、真っ白く塗った額 に赤でJAPAN、両頬に赤い丸を描きこんだ少年。「闘魂」ハチマキを得意げに締めたおじさん。圧倒的に日本を応援する人が多い。

南アフリカで、日本代表の知名度は低い。マスコミが取り上げるのは、ヨーロッパや南米の強豪ばかり。日本代表のニュースや情報は殆ど流れなかった。熱心な サッカーファンでもない限り、知っている日本選手の名前はせいぜい「ホンダ」。それも、車メーカーのおかげで覚えやすいからだろう。そこから連想して、 「カワサキ」とか「ヤマハ」とか勝手に叫んでいる。では、この日の人気はどこから?

第1ラウンドを勝ち残った16カ国のうち、半数が南米の国であることから、少数派のアジアの国を応援することにしたのか。世界ランキング30位のパラグアイと45位の日本のうち、弱い者に同情する判官びいきのためか。殆どの南ア人が具体的なイメージを持たないパラグアイと違い、中高年にはハイテク、若者にはアニメと、日本の一般的な知名度が高いためか。それとも、ハチマキ、キモノ、日の丸など、コスチュームに取り入れ易いという単純な理由だろうか。

PKによる惜敗後、スタジアムから駐車場までシャトルバスに乗った。満員バスの乗客は、8割黒人、1割白人、残りがインド系、カラード(混血系)、中国系など。南アフリカの人口構成の縮図となった。ふっきれないムードの中、太鼓を抱えた黒人のおばさんが「パラグアイは点を集めただけ。勝ったのは日本!」と変な節をつけて歌いだす。10歳くらいのインド系少年が「日本は負けたよ」と不思議そうな顔。「あんた、どこに目をつけてるの!」とおばさん。「さあ、みんなで歌いましょう! パラグアイは点を集めただけ。勝ったのは日本!」

2、3人歌い始めるが、残りはきまり悪そう。ついに、白人の青年が「僕だって日本を応援したよ。でも負けは負け。よく戦ったじゃないか。」おばさんと口論になった。周囲の人々も加わってカンカンガクガク。ブブゼラや太鼓まで参加し、バスの中は大騒ぎ。

その時、誰かがバス中に響き渡る太い声で「ビーバ、ジャパン、ビーバ!」 アパルトヘイト時代、解放運動の集会で「ビーバ、ANC、ビーバ!」「ビーバ、ネルソン・マンデラ、ビーバ!」とやったノリである。別の声が「ビーバ、バファナバファナ、ビーバ!」と南ア代表を称える。踊り始める人も出てきた。

そのまま駐車場まで15分、ブブゼラを持っている人は息が切れるまで吹きまくり、持っていない人は「ビーバ、ジャパン、ビーバ!」「ビーバ、バファナバファナ、ビーバ!」。騒々しいこと、この上ない。バスの中は熱気にあふれ、皆、なんとなく幸せな気分に。まさに、混沌の中の調和。様々な人種や文化が混在しながら、なんとなくひとつの国にまとまっている南アらしい一日の締めくくりとなった。

お知らせ:「南アミュージックフェスティバル」開催中

マーケットシアター(ジョハネスバーグ、ニュータウン地区)で「南アミュージックフェスティバル」(SA Music Festival)が開催中。アフロポップ、ヒップポップ、ジャズ、インディーからアフリカーナロックまで、南アフリカの音楽が満喫できる。チケットR150。

6月15日-7月11日。夜8時。月曜日休み。
詳しくは、www.markettheatre.co.zaで。

2010/07/01

超能力タコ W杯試合結果予想的中で大人気

ドイツはオーバンハウゼンの水族館。今話題の超能力タコ、パウル君のお住まいである。

オーストラリア、ガーナ、イギリスに勝ち、セルビアに負けるという、南アW杯でのドイツの試合結果を4回とも見事に当てた。ドイツ中で大人気という。

まず、ムール貝入りの水槽をふたつ用意。ひとつはドイツ、もうひとつには対戦チームの旗がついている。先に選んだムール貝の入っているチームが勝つというのだ。

準々決勝の「ご神託」は、アルゼンチンに辛勝。パウル君を信じてサッカー賭博に大金をつぎ込むかどうかは、あなた次第。