2013/05/28

『シャイニング・ガールズ』(The Shining Girls) アーサー・C・クラーク賞受賞作家ローレン・ビアカスの新作


うら若い女性を時間をかけて殺害し、内臓を取り出して殺害現場を飾り立てる(!?!)連続殺人犯。キラキラ輝く少女(題名の「シャイニング・ガールズ」の由来)の「輝きを止める」のが動機。(そんな訳のわからない理由で殺されるなんて、被害者は浮かばれないが。)

少女がまだ幼い頃に近づき、「また戻って来るから」と予告。20歳過ぎに再び姿を現し殺害。現場には以前の被害者から奪った小物(ライターとかベースボールカードとか)を置き去り、新たな被害者の小物を持ち去る。

そんな悠長な手順を踏んでいては、時間がかかって仕方がない。「連続殺人犯」と呼ばれるまでに、数十年かかってしまう!

心配ご無用。

犯人はなんと、タイムトラベラーなのである!

2013/05/21

スワジランド王、世界経済フォーラムでヒンシュク

世界経済フォーラム」(WEF:World Economic Forum)の第23回アフリカ会議が5月8-10日、ケープタウンで開催された。

世界経済フォーラムはジュネーブに本部を置く非営利財団。毎年1月末にダボスで開催される年次総会では、会員企業千社のCEO、政治家、学者、それにNGO、宗教指導者、メディアの代表者が一堂に会して、世界を悩ます問題とその解決策を話し合う。

今回のアフリカ会議には、アフリカ各国から大統領、首相、外交官、閣僚、企業の代表などが集まり、アフリカ大陸における持続的経済発展の道を模索した。

WEFのHPにはこうある。

「2012-13年度、サハラ南部アフリカでは5%の経済成長が予測されており、アフリカは発展途上大陸から世界の経済成長の中枢へと変貌を遂げつつある。」

「世界銀行によると、アフリカのほぼ半分の国が中間所得レベルに達した。しかし、第一次産品の価格変動、格差拡大、若者の失業がアフリカ大陸の明るい前途に暗い影を射している。」

フォーラムに参加するアフリカの指導者たちは、競争力増強、持続的成長の実現、インフラ整備や経済の多様化の促進などを話し合う、とホスト国南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領は説明している。

つまり、「今は比較的高い経済成長を遂げているものの、多くの問題を抱えた貧しいアフリカをどう発展させるか」を話し合う、かなり真面目な会議なのである。

そこで顰蹙(ひんしゅく)を買ったのが、アフリカ大陸最後の絶対王政を敷く、スワジランドのムスワティ(Mswati)王。

2013/05/04

法廷通訳が見つからなくて、起訴取り下げ

2010年11月、ケープタウン行のバスから、サイのツノ12本が見つかった。西ケープ州での道路検問で引っかかったのだ。そのうちの一本は大きすぎてスーツケースに収まらず、半分に切られていた。サイのツノの押収量としては、史上最大である。

逮捕されたのは25歳と32歳のベトナム人男性。

サイのツノは伝統的には媚薬、最近はガン二日酔いの特効薬などとして、中国ベトナムで重宝されている。主な成分は爪や髪と同じケラチン。勿論、医学的効用はない。しかし、迷信のために乱獲が進み、サイは絶滅の危機にある。ワシントン条約で、サイのツノの取り引きは禁止されているから、殆どが密猟・密輸である。

南アフリカは他のアフリカ諸国よりサイの保護に力を入れてきたせいで、世界のサイの73%が南アフリカに生息している。しかし、近隣諸国で取りつくされた感があるせいか、それとも南アフリカで密猟がしやすくなったのか、またはその両方の理由からか、近年、南アフリカでのサイの密猟が増加している。

昨年一年間で、全国で668頭のサイが密猟により命を落とした。今年に入って4か月で、既に70頭以上が殺されている。

サイが殺されるのは、密猟だけではない。「猛獣狩り」ファン相手の合法的狩猟枠を、ツノ獲得に悪用するケースも多い。タイ人の売春婦などを「ハンター」として申請し、合法枠を使って狩猟許可を取り、ツノを取るために殺すのである(サイを「合法的」に「密猟」する方法)。絶滅の危機にある動物に、何故狩猟枠が割り当てられるのか、南ア政府の行動は不可解だ。

そこまでして、こぞってサイ殺害に乗り出すのは、需要があることに加え、逮捕される確立が低く、儲けが莫大だから。

サイの未来に関して暗いニュースが続く中、このベトナム人逮捕は珍しい朗報だった。

ところが、4月29日のことだ。30か月の拘留後、ふたりは釈放された。それも、法廷通訳が見つからない、という理由で。