2017/06/22

ナショナルシアターライブ 『ウォーホース~戦火の馬~』(War Horse)

METライブビューイング」(Metropolitan Opera Live in HD)のおかげで、ニューヨークのメトロポリタンオペラの公演がアフリカにいながら観れるようになったが(「オペラも容姿の時代? METライブビューイング 」)、「ナショナルシアターライブ」(National Theatre Live)のおかげで、ロンドンの国立劇場の公演もアフリカにいながら観れるようになった。現在上映されているのは『ウォーホース~戦火の馬~』(War Horse)。

National Theatre Liveから)

原作はイギリス人作家マイケル・モーパーゴ(Michael Morpurgo)による同名の児童文学(1982年)。第1次世界大戦で離れ離れになったアルバート少年と馬のジョーイの物語を軸に、戦争の悲惨さと平和の大切さを描く。

第1次世界大戦では、英軍だけでなんと100万頭もの馬が「戦死」した。戦場はヨーロッパだから、海を越えて行ったわけである。多くはマシンガンや鉄条網に向かって突撃させられ命を失った。重労働の挙句、疲労困憊して死んだ馬もあった。幸運にも生き残った馬の殆どが肉屋に売られた。

2017/06/12

虐待から救出されたライオン、アフリカの「聖地」で密猟の犠牲に

2017年6月5日の朝、サヴァンナ・ハウザー(Savannah Heuser)さんと母親のミヌエット(Minuette)さんはいつも通りボランティア2人を連れて、ライオンの餌やりに出発した。ところが、普段なら首を長くして餌を待っているオスライオンのジョゼ(José)とリソ(Liso)の姿が見えない。呼んでもやって来ない。

不吉な予感。

あっ、数メートル離れたところに横たわっている2頭が見える。頭と足としっぽが切り取られた悲惨な姿で。。。

ライオンやトラなど大きな猫が大好きなサヴァンナさんは、弱冠16歳だった2012年、南アフリカのリンポポ州にハウザー家が所有する5000ヘクタールの土地に、大型猫のための聖地「エモヤ」(Emoya)を開設したサーカスや動物園などで虐待されてきたライオンたちに、アフリカの地で幸せな余生を送ってもらいたいという一念からだ。

サヴァンナ・ハウザーさん(Emoya Big Cat Sanctuary

最初にやって来たのは、カイロで救出されたライオン。2013年6月のことだ。保護する猫たちは3年間で8頭になった。あくまでも、虐待されていた猫たちに安息の地を与えることが目的だから、商売ではない。また、繁殖も行わない。メスには避妊薬を与えている。

2016年、サヴァンナさんとエモヤは、大きくニュースで取り上げられた。世界中で動物保護のロビー活動を展開する「アニマル・ディフェンダーズ・インターナショナル」(Animal Defenders International)が、コロンビアとペルーのサーカスから救出したライオン33頭の終の棲家として、エモヤを選んだのだ。

2017/06/07

グラビギャング ピンクのサリーと竹の棒で闘うインドの女性自衛団

エル・パイス』(El País)紙で「グラビギャング」(Gulabi Gang)という言葉を目にして、思わず手を止めた。昨年、南アフリカの「三大陸人権映画祭」(Tri Continental Human Rights Film Festival)で図らずも見逃してしまったドキュメンタリーの題名だったからだ。

グラビギャングはサンパット・パル・デヴィ(Sampat Pal Devi)さんが2006年に設立した女性の人権を守る団体。ピンク色(ヒンディー語で「グラビ」)のサリーを身にまとい、竹の棒で武装する。

(「グラビギャング」のHPから)

メンバーの殆どは貧しく教育のない、低いカースト出身の女性。1958年生まれのサンパットさん自身、貧しい家庭に育ち、学校に行かせてもらえなかった。どうしても勉強したくて、独学で読み書きを習った。その後、なんとか小学4年生まで学校に通わせてもらったものの、11歳か12歳で結婚させられ、最初の子供を15歳で生んだ5児の母。肝っ玉母さん的な活動家である。

インド、特に農村地帯では女性の地位がとても低い。夫のDV嫁殺しの被害に遭う女性が多くいる。グラビギャングはDV夫を竹で叩くなどして懲らしめるのだ。そして、「また奥さんを苛めたら、私たちがやってくるからね!」と脅す。1対1ではか弱い女も、集団になればパワーを発揮する。お蔭で、サンパットさんが住む村では女性の待遇が改善した。

2017/06/05

ドキュメンタリー映画『モガディシュ・ソルジャー』(Mogadishu Soldier) 出口の見えない内戦に身を置く平和維持部隊の兵士たち


エンカウンターズ国際ドキュメンタリー映画祭」(Encounters South African International Documentary Festival)。南アフリカで1999年から毎年開催されているドキュメンタリーの祭典だ。今年は6月1日から11日まで、ケープタウンとジョハネスバーグで約50作品が上映されている。

6月3日の土曜日、『モガディシュ・ソルジャー』(Mogadishu Soldier)を見に行った。2016年の作品。



モガディシュは東アフリカの「アフリカの角」(Horn of Africa)に位置するソマリア共和国の首都だ。

エチオピア、ケニアと国境を接するソマリアは、1980年代から内戦状態にある。1990年代半ばからイスラム原理主義グループが台頭し、2006年6月、とうとう首都モガディシュを占拠してしまう。同年12月にソマリア暫定政府軍とエチオピア軍が首都を奪回。しかし、内戦はまだ続いている。

2007年からはアフリカ連合(AU)が平和維持部隊を派遣している。現在の敵ナンバーワンはイスラム過激派の「アル・シャバーブ」(Al-Shabaab)だ。AU平和維持部隊、ソマリア政府軍、それにアル・シャバーブが首都モガディシュで睨み合っている中、ノルウェー人のドキュメンタリー映画監督がブルンジ人の平和維持部隊兵士2人にカメラを与えた。「これを使って1年間、自分が面白いと思うものを撮影してくれ」。

1年間に使ったテープ523本。それを編集したのがこの映画である。

2017/05/31

オペラも容姿の時代? METライブビューイング

ポスターを見てちょっと驚いた。これがオペラ歌手・・・?


カッコいいけど、この体格で声が出るの・・・?

・・・というのは、全くの懸念に終わった。

ヨナス・カウフマン(Jonas Kaufman)。今、人気絶頂のドイツ人テノールだ。演目はジュール・マスネ(Jules Massenet)の『ウェルテル』(Werther)。ゲーテの『若きウェルテルの悩み』をオペラ化したもの。

2017/05/29

すべてはミツバチのために 後ろ向きで走るマラソンランナー

来週の日曜日(6月4日)、今年度のコムレイズ(Comrades)が開催される。クワズルナタール州のダーバン/ピーターマリッツバーグ間の約89キロを走る、世界最古・最長のウルトラマラソンだ。参加できるのは2万人だけ。世界60か国以上から走者が集まる。

今年の参加者のひとりに、変わったスタイルで走る人がいる。コムレイズを走るのは今回で5回目という、ファライ・チノムウェ(Farai Chinomwe)さんだ。ファライさんは後ろ向きに走る。後ろ向きに走ることで、世間の注目を浴び、ミツバチに対する意識を高めることが参加の目的。優勝など目指していない。

ファライさん(storytelling.co.za


ファライさんの人生、人柄はまさに自然体

生まれたのはジンバブエの南東部の町、マスヴィンゴ(Masvingo)。自然に囲まれて育った。誰もが楽器を演奏する村だったという。

2000年にケープタウンに移り、ラスタファリアン(Rastafarian)になる。

カリブ海、特にジャマイカで、アフリカを帰還すべき約束の地と定め、エチオピアのハレ・セラシエ(Haile Selassie)皇帝を黒人の救世主として崇拝する宗教・政治的運動を「ラスタ主義」「ラスタファリアニズム」(Rastafarianism)という。ハイレ・セラシエの本名「ラス・タファリ」(Ras Tafari)からつけられた名称だ。

ラスタファリアンとはラスタ主義の信奉者のこと。マリファナの使用と、ドレッドロックス(長髪を縮らせて細かく束ねたヘアスタイル)と、レイドバックな生き方で知られる。

ドレッドロックスといえばボブ・マーリー

ファライさんの改宗の理由は、「けばけばしいライフスタイルとは関係ない生き方をしたかったから」。

2017/05/21

赤ちゃんなら誰でも知っている? 科学的手法

赤ちゃんなら誰でも知っている科学的手法・・・って?


そうか、赤ちゃんがなにげなくやっていることは、実は科学的な実験の手法に則ったことだったんだ!?!

幼い頃の「科学精神」を忘れて凡庸な大人に育つか、優れた科学者になるか、それとも、6番のいじわる傾向だけ助長してしまうか・・・人それぞれでしょうね。

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✤この投稿は2014年4月9日付「ペンと絵筆のなせばなる日記」掲載記事を一部変更したものです。

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2017/05/18

遺伝交配で蘇ったクアハ 絶滅種を再び地上に

1883年8月12日、アムステルダム動物園でクアハ(quagga)のメスが死亡した。その3年後の1886年、南アフリカはクアハの狩猟を禁止する。しかし、誰も気がついていなかったのだけど、実は既に、世界のどこにもクアハは生存していなかった。つまり、1883年8月12日をもって、クアハは絶滅してしまったのである。

クアハ。体の前半分がシマウマ、後ろ半分と足がロバのような動物だ。

在りし日のクアハ(Cool Green Science

世界中に残っているクアハの皮は23体だけ。しかも、結構個体差がある。野生で生きるクアハを研究した者はいない。

2017/05/09

イラストが可愛い!「タリンで遭遇するかもしれない11タイプの外国人」

タリン(Tallinn)はエストニア共和国の首都。エストニアはバルト海の東岸に位置し、フィンランド湾を挟んで、フィンランドのお向かい。東はロシア、南はラトビアと国境を接する。ラトビア、リトアニアと併せて、バルト三国と呼ばれる。

外務省

「タリン」はエストニア語で「デンマーク人の城」を意味するという。13世紀にデンマーク王が築いた「トームペア城」のことだ。旧市街はユネスコ世界遺産に指定された観光地である。

トームペア城(Wikipedia

タリンのツアー業者「Tallin Traveller Tours」のウェブサイトで、「タリンで遭遇するかもしれない11タイプの外国人」(11 Types of Foreigners You Might Encounter in Tallinn)という記事を見つけた。とにかく、イラストが可愛い。早速、記事を書いたマート・ヴィルカス(Mart Virkus)さんに連絡を取って、記事とイラストの紹介許可を貰った。(イラストもマートさん。)

2017/04/11

ギャングから華麗な転身 地球と地域社会を大切にするエコビジネスマンへ

私腹を肥やすことにしか興味がなく、国の舵取りをする能力ゼロ、国民をないがしろにして権力にしがみつく大統領。大統領を頂点とした権力者とのコネにすがって、やはり私腹を肥やすことにしか関心がない、政治家、公務員、企業人、私人。。。政治、経済、教育、基本的公共サービス、社会制度のどれをとっても、悪化の一途。ついに南アフリカの信用格付けが「ジャンク」(junk)、つまり「ゴミ」「ガラクタ」並みに落とされてしまった。

このところ情けないニュースばかりで、なかなかブログを書く気になれなかったが、久しぶりに元気になる話を耳にした。

麻薬中毒のギャングが立ち直り、環境に優しい洗剤などの製造販売会社を設立したという。

2017/03/04

フォードクーガ 約50台が炎上したのに、お粗末な対応

フォードクーガ」(Ford Kuga)を日本語でグーグルしてみた。「低燃費なのにパワフル!」「走破性能や疲労度の少ないシートなど、高い実用性」「俊敏な走りは大きな魅力」・・・。

いいことばかりだなあ。南アフリカでは売れない車なのに。なにしろ、2015年以来、南アフリカ、スワジランド、ボツワナの3か国で、約50台もが走行中にいきなり火を噴いてしまっているのだ。今では「フォードクーガ」という名前だけで新車、中古車とも買い手がつかない。

炎上するクーガ(BBC News

2015年9月のある日、ショーン・トンプソン(Sean Thompson)さんは愛車のクーガを車庫に入れた。その夜、トンプソンさんにトラッキング会社から電話がある。トンプソンさんの車のバッテリーが上がりかけているから様子を見た方が良いという。エンジンを切ったはずなのに・・・。怪訝に思って車庫に行くと、なんと!車が燃えていた。そして、ドアが開かない!

翌日、クーガをフォードに持って行く。フォードは「前回の定期整備を行ったのはうちじゃない」と責任を取ることを拒否。保険会社も「フォードの整備がいい加減」と支払いを拒否。トンプソンさんは修理に約30万円払うはめになる。

整備工曰く、「エンジンが切ってあるのに、電気系統がまだ動いている」。トンプソンさんは直ちにフォードにメールで連絡。「誰かが死ぬことになるかもしれない」から、「他のオーナーに警告しクーガの電気系統をチェックした方がよい」と勧める。フォードから返事はなかった。

2017/01/21

人種差別と親切心 軽トラの荷台で檻に入った黒人女性の写真がソーシャルメディアで炎上

軽トラックの荷台に座る女性。檻の中にいるようだ。

Denise Rens/Oos-Kaap Plaaswerkers Opstand/Facebook (TimesLive)

東ケープ州クラドック(Cradock)近くで撮影されたこの写真を、農場労働者の団体が1月19日フェイスブックに投稿し、ソーシャルメディア上で大反響が起こった。日本では「炎上」というのだろうか。

「黒人女性を家畜のように檻に閉じ込め、トラックの荷台に載せて運ぶなんて、運転手はレイシスト(人種差別主義者)の白人に違いない」という思い込みから、南アフリカのフェイスブックやツイッターなどで怒りの投稿、コメントの嵐が吹き荒れたのだ。

2017/01/10

メイドからセレブシェフに 人生を変えたリアリティTV

3か月前キム・カーダシアン(Kim Kardashian)に銃を突きつけ、強盗を働いた容疑者のうち16名が逮捕されたとのニュースを先ほどCNNで見た。(我が家にはテレビがないので、テレビのニュースはユーテューブで見ている。)事件が起きた時は格別注意を払わなかったのだけど、今日のニュースによると、奪われたのは900万ユーロ相当の宝石! 11億円相当以上の宝石を身に着けていたわけだ。

有名であることで有名な、リアリティTVのスター、キム・カーダシアンの2015年度の所得は5250万ドル(約60億円)。ツイッター、フェイスブックなどソーシャルメディアのフォロワーは数千万人に上るという。何の才能もなさそうに見えるカーダシアン一家だが、TVとソーシャルメディアを最大限に利用して大金を儲けているのだから、大衆の欲するところを嗅ぎ分ける、類まれなる才覚があるといえる。

リアリティTV、特にタレント発掘のコンテスト形式の番組は、才能はあるがコネも資力ものない無名の人が一躍有名になる機会を与えてくれる。『ブリテンズ・ゴット・タレント』(Britains Got Talent)で人生が変わった歌手スーザン・ボイル(Susan Boyle)はその好例であろう。



最近の南アフリカでは、シポカジ・ムドラコモ(Siphokazi Mdlakomo)さんがいる。ケープタウンで住み込みのメイドをしていた2014年、『マスターシェフ 南アフリカ』(MasterChef South Africa)に出場。ダイナミックな人柄と、逆境に負けず人生に挑戦するメイドというキャラが受け、第2位の栄冠を勝ち取り、賞金10万ランド(約85万円)を手にした。39歳だった。

前列中央の小さい女性がシポさん(Mail Online

シポさんは東ケープ州の寒村で生まれ育ち、21歳の時、仕事を求めて大都市ケープタウンにやってきた。手に職がない多くの黒人女性同様、メイドになる。料理は働きながら身につけた。