2018/03/29

限りなく完璧に近い人々(1)世界で一番幸せなデンマーク人

The Almost Nearly Perfect People(限りなく完璧に近い人々)という本を読んでいる。副題はThe Truth about the Nordic Miracle(北欧の奇跡の真実)。著者はデンマーク在住のイギリス人作家・ジャーナリスト、マイケル・ブース(Michael Booth)。料理と旅を専門とするライターだ。『英国一家、日本を食べる』(亜紀書房。原題 Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking )という著作もある。


見返しの宣伝文にはこうある。

世界中が北欧諸国の成功の秘密を知りたがっている。世界で一番税金多く払っているのに、何故デンマーク人は世界で一番幸せなのか? フィンランドの教育制度が世界で一番優れているのなら、何故フィンランド人は「スウェーデン人の男は皆ゲイだ」と未だに信じているのか? アイスランド人は本当に野放図なのか? ノルウェー人はあり余る原油収入をどう使っているのか? そして、何故、以上の全員がスェーデン人を嫌っているのか?

マイケル・ブーズ(amazon.co.uk
もうお気づきとは思うが、ガチガチの真面目な本ではない。しかし、しっかりしたリサーチと取材に基づいている。ニヤニヤ、時には大笑いしながら読み進めると、北欧5か国の現実と、そこに暮らす人々の姿が等身大で迫ってくる。

最初に取り上げられているのは、著者が住むデンマーク。著者の奥さんはデンマーク人。5章150頁に及ぶ内容なので、最も印象に残ったことをご紹介する。

レスター大学(University of Leicester)心理学部が「生活満足指標」(Satisfaction with Life Index)なるものを発表した。それによると、世界中で最も幸せなのはデンマーク人という。著者にしてみれば解せない。「暗くて、ジメジメして、どんよりして、平坦で、小さな国土」に「ストイックで良識のある人々」が住む「世界一税率が高い」国が、世界で一番幸せな国?

ブースはデンマークの幸せの理由を探るリサーチを開始する。

2018/03/25

世界で最も幸せな国民はフィンランド人 2018年世界幸福度レポート

国連機関のSDSN(Sustainable Development Solutions Network)が、「2018年世界幸福度レポート」(World Happiness Report 2018)を発表した。編者はコロンビア大学(Columbia University)、ブリティッシュ・コロンビア大学(University of British Columbia)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(London School of Economics and Political Science)のトップ経済学者。2015年から2017年にかけて、ギャラップ(Gallup)社が世界156か国で行ったアンケート結果を分析したものだ。

2018年世界幸福度レポートの表紙

上位10か国は以下の通り。

1. フィンランド
2. ノルウェー
3. デンマーク
4. アイスランド
5. スイス
6. オランダ
7. カナダ
8. ニュージーランド
9. スウェーデン
10. オーストラリア

上位10か国の顔ぶれは去年と一緒。大きな違いは、去年5位だったフィンランドが1位になったこと。(去年の1位はノルウェー。)

この報告書によると、国民の幸福度を左右する要因は6つあるという。国民一人当たりのGDP、社会福祉、平均寿命、自分の人生を自分で決めることができる自由、 寛容性、汚職のレベルである。

世界一の経済大国アメリカ合衆国は18位(2016年は13位、2017年は14位)。国が裕福だからといって、国民が幸福とは限らない。

2018/03/22

『ブラックパンサー』の大ヒットで、架空の王国「ワカンダ」のホテルサーチが急増

世界中で大ヒットとなったマーベルスタジオ(Marvel Studios)初の黒人スーパーヒーロー映画『ブラックパンサー』(Black Panther)。


主人公ティ・チャラ(T'Challa)はアフリカの小国ワカンダ(Wakanda)出身。高度な科学技術を誇る超文明国だが、表向きは発展途上国として、欧米列強の植民地化を逃れ、何百年も平和と繁栄を保って来た。

(ヨーロッパ諸国が19世紀末のベルリン会議で、現地の意向をまったく無視してアフリカを分割した歴史的経緯を映画製作者は知らないのか、それともストーリー上都合が悪いから忘れることにしたのか。ワカンダが目立たないように努力したからといって、避けられた運命ではないのに。「ファンタジーだから歴史は関係ない」と割り切ることもできるけど、世界に関心がない超大国アメリカの映画だから、ここまでアフリカの歴史を無視できるのだろう。)

ティ・チャラは父王の死後、新国王に即位しながらも、スーパーヒーロー「ブラックパンサー」としても活躍。(動物のパンサーが生息するのはアメリカ大陸。アフリカにいるのはレパードだけど、アメリカの漫画が原作だからパンサーなのだろう。)

2018/03/18

ヒロイン役は南ア人ソプラノ! METライブビューイング

ガエターノ・ドニゼッティ(Gaetano Donizetti)のコメディ・オペラ『愛の妙薬』(L'elisir d'amore)が最高に楽しかった。主な歌手全員、歌がうまいだけでなく、かなりの役者である上に、息がぴったり合っている。人を笑わせるのはむずかしいと思うのだが、抜群の演技とタイミングに喝采した。


主役の単純で間抜けな貧農、ネモリーノ(Nemorino)を演じるのは、アメリカ人テノールのマシュー・ポレンザーニ(Matthew Polenzani)。



いい人なんだけど、一生の伴侶にするにはお人好しすぎて多少の不安がある(と私は思う)ネモリーノは、美人で聡明で、根は優しいがちょっと高慢な富農の娘アディーナ(Adina)に一途な恋をしている。動画はネモリーノが歌う有名なアリア『人知れぬ涙』(Una furtiva lagrima)。


アディーナ役は南ア人ソプラノのプリティ・イェンデ(Pretty Yende)。1985年3月6日、南アフリカの田舎町に生まれた。生まれて初めてオペラに触れたのは16歳の時。ブリティッシュエアウェイズ(British Airways)のコマーシャルで、レオ・ドリーブ(Léo Delibes)のアリアを耳にし、オペラの虜になった。



南アの音楽学校を優等で卒業後、ミラノのスカラ座付属学校で学ぶ。ヨーロッパで数々の賞を勝ち取り、2012年スカラ座デビュー、2013年ニューヨークのメトロポリタンオペラデビュー。もちろん才能と努力の賜物だろうが、現代のシンデレラ物語である。

2018/03/14

日本文化祭 プレトリアで開催

日本大使館主催の「日本文化祭」(Japan Cultural Expo)が2018年3月1日から3日、プレトリアのショッピングモール「ブルックリンモール」(Brooklyn Mall)で開催された。


日本・南ア外交関係樹立100周年記念行事の一環とのこと。

・・・えっ? 日本・南ア外交関係樹立100周年記念ということで、2010年に大々的に色々なイベントが行われたはず・・・。個人的にもその一環で、2010年プレトリアの国立劇場で絵画の個展を大使館主催で開催したし、2011年には100周年記念の目玉である「日本研究センター」を、プログラムディレクターとしてプレトリア大学ビジネススクール内に立ち上げた。

その100年前の1910年は日本名誉領事が任命された年。今年の100年前にあたる1918年は、プレトリアに日本領事館が開設された年。そういうわけで、またもや「100周年記念」の年となったわけだ。