2012/03/29

警察官、オフィスを追い出され、車の中で犯罪捜査

刑事ものテレビドラマ。連続殺人事件に色めき立つ捜査陣。丁寧に手ががりを追い、犯人の目星がついた。番組終了まであと10分。逮捕に向かう前の、最後の打ち合わせに余念がない。BGMが緊張感を盛り上げる。

そこに裁判所の係員数名がなだれ込んだ。警察署が家賃を何か月も滞納したため、建物の持ち主が裁判所に訴え、強制退去の判決が出たという。が、が~ん!

驚く刑事たちを尻目に、裁判所の係員は机、椅子、本棚、コンピュータなどを次々と駐車場に運び出す。途方に暮れる捜査陣。犯人は無事、逃げ失せる。。。

・・・な~んてありえない筋書きが、南アでは現実に起こり得る。

ジョハネバーグ東部のベッドフォードヴュー(Bedfordview)地区の警察署は手狭だ。そのため、捜査班は警察署のすぐ近くに事務所を借りている。ところが、今月初め、捜査員35人が事務所から追い立てられた。机、椅子、事務機器など事務所にあったもの全て、警察署の駐車場に捨てられてしまった。数か月、家賃を滞納したのが原因。

この事務所の捜査官が事務所から追い出されたのは、これが初めてではない。車の中に事件簿を持ち込んで、仕事をしているという。不憫に思った地元住民たちが、新しい警察署建設のため、資金調達に協力すると申し出たが、州の警察当局に断られてしまった。

これであきれたり、驚いたりするのはまだ早い。

2012/03/26

クーデターでマリに閉じ込められた環境活動家

西アフリカのマリ共和国で、クーデターが起こった。同じアフリカ大陸にあるのに、南アフリカの人にとって、マリは殆ど関心のない遠い国。ましてや、日本人にとっては地球の果てだろう。

元フランス領。海を持たない内陸の国。人口1450万人。農業を主な産業とする貧しい国だ。1960年独立。腐敗した軍事政権が1968年から続いていたが、1991年の「三月革命」(March Revolution)で学生、労働組合員などを中心とした国民が立ち上がる。最初は大統領の命令を聞いていた軍だったが、自国民に銃を向けることを拒否する兵士が増加し、遂に軍が大統領を逮捕。翌1992年、民主的な多数政党制国家に生まれ変わった。それ以来、アフリカでも政治的社会的に最も安定した国のひとつとされてきたが・・・。

3月22日、下士官のグループが大統領府を占拠。政府を解散させ、憲法を停止したのだ。


とは言っても、やはり遠い国。新聞の見出し程度の認識だった。

ところが、今日、知り合いのデイヴィッド・フィッグ(David Fig)氏がフェイスブックに投稿。マリの首都バマコ(Bamako)にいるという。人間とは現金なもので、急にマリが身近になり、動向が気にかかり始めた。

デイヴィッドは環境問題、特に核の専門家だ。1994年、南アフリカの第一回民主総選挙の直前、アフリカ民族会議(ANC)が主催した核問題のコンフェレンスで知り合った。

以下、デイヴィッドの投稿(原文は英語)。

2012/03/18

「コニーを捕まえろ」 先進国の驕り? ウガンダ

KONY 2012。ユーチューブにアップロードされた、約30分のビデオだ。私はなんと!8185万3498回目のビューアー。日本語字幕版もある。

 

「KONY」とはLRA(Lord's Resistance Army)、「神の抵抗軍」の指導者ジョセフ・コニー(Joseph Kony)のこと。

ジョセフ・コニー
1961年、ウガンダ北部のオデク(Odek)村に生まれる。両親はアチョリ(Acholi)族の農民ルイジ・オボリ(Luizi Obol)とノラ(Nora)。父親はカトリック教会、母親は聖公会に属する。

1980年代の半ば、アチョリ族の居住区では、キリストの再臨を信じる前千年王国説(Premillennialism)に基づいたグループが乱立。コニーも同様のグループを開始する。

「神のスポークスマン」を名乗り、「聖霊」の意志を人間に伝えるとするが、教えの中身は神秘主義、アチョリ民族主義、キリスト教原理主義のゴッタマゼ。「十戒」の実現を目指し、銃弾を跳ね返す「聖油」を使用する。

2012/03/13

象も悲しんだ 環境保護活動家ローレンス・アンソニーの死

ロバート・レッドフォード(Robert Redford)が監督・主演した『モンタナの風に抱かれて』(1988年)という映画をご存知だろうか。

原題は『The Horse Whisperer』。直訳すると「馬に囁く人」。苦痛や恐怖を与えてしまう伝統的な「アメとムチ」手法ではなく、馬の本能やコミュニケーションシステムに精通し、馬にとって精神的負担が少ない、自然で優しい方法で調教する名人だ。

初代の「囁き手」は、アイルランド人のダニエル・サリヴァン(Daniel Sullivan。1810年死亡)。虐待を受けたりしてトラウマを抱える「問題児」のリハビリを得意とした。馬を前にして立ち、いつのまにか成功してしまう。その姿が馬に囁きかけ、馬と心を通わせているように見えたことから、「ホース・ウィスパラー」=「馬に囁く人」と呼ばれた。

南アフリカには「エレファント・ウィスパラー」と呼ばれる男がいた。そう、「象に囁く人」である。

ローレンス・アンソニーと象たち(財団HPから)

2012/03/08

ジョハネスバーグで一番年寄りの木 「老衰」で倒れる

2月25日土曜日の朝、ジョハネスバーグで一番古い木が突然倒れた。推定年齢160歳。病気の痕跡はない。枯れていたわけでもない。どうやら、天寿を全うしたようだ。

高さ60メートル。大人4人が手をつないで一周する、幹の太さだった。

オッペンハイマー家の庭にあったユーカリの木だ。

(「スター」紙Moeletsi Mabe撮影)
ジョハネスバーグの真ん中にあるオッペンハイマー家の敷地は、「ブレントハースト」(Brenthurst)と呼ばれる。1906年建設の母屋は、大統領府の設計も手がけた、高名なイギリスの建築家、ハーバート・ベイカー(Herbert Baker)による。1922年からオッペンハイマー家が所有している。

2012/03/04

マンデラ カナダでは未だ「テロリスト」扱い

「私はこういう人間だ」という「自分像」と、他人から見た「私」が違うのはよくあること。一般に「義賊」と形容されるロビン・フッドでも、金品を奪われた被害者にしてみれば、とんでもない「悪党」に違いない。

南アフリカの現与党「アフリカ民族会議」(ANC)は、人種差別撤廃を求める「解放運動」(liberation movement)だった。運動に身を投じた人々は「解放運動家」であり、「自由の闘士」(freedom fighter)を自認した。

国民が自国政府に対し、基本的人権を求めるのは当然、と私たちは思う。破壊工作を行ったこともあったが、それもアパルトヘイト政権の厳しい弾圧に遭ってのこと。

右の頬をぶたれて、左の頬を差し出すのは美しい行為かもしれないが、相手が同じ土俵に立っているのでない限り通用しない手だ。ずっと強大で、妥協の余地のない相手だと、頬が赤く腫れるどころでは済まない。半殺し、いや、下手をすると殺されてしまう。

世界中から非難されたアパルトヘイト。国際連合は「人類に対する犯罪」(crime against humanity)と呼んだ。「アパルトヘイト政権」=「悪」、「解放運動」=「善」という、単純な色分けが「常識」となっているように当時は思えた。

ところが、「アパルトヘイト」を非難する多くの先進国政府にとって、それは「常識」でも何でもなかったのである。