2010/06/25

ブブゼラ 17世紀にもあった!?!

ブブゼラが世界的に有名になるにつれ、数人が「我こそは発明者!」と名乗りをあげている。

今のところ一番古いのは、クワズルナタール州のNazareth Baptist Church、通称「シェンベチャーチ」。1910年、「預言者」イサイア・シェンベ(Isaiah Shembe)が創始したアフリカ生まれのキリスト教一派。約400万人の信者を持つ。この預言者自らが、1910年にブブゼラを発明したというのである。

だが、1660年に描かれたこの絵に見られるように、ブブゼラもどきの耳障りなラッパはもっと昔からあったかも。

2010/06/23

Fifa会長が格安航空会社の無料チケットをゲット!?!

kulula.comが新聞の全面広告で、国際サッカー連盟(Fifa)会長セップ・ブラッターにW杯期間限定無料航空券をオファーして一週間。フォローアップの全面広告が出た。


セップ・ブラッターがオファーを受け入れたというのである!

ところが・・・
 「私どもが思っていたセップ・ブラッターさんではないものの、約束は約束。言ったことは守ります。」 !?!

そして・・・
 「私どものセップさんはwww.ImSeppBlatter.comでご覧いただけます。」

クリックすると。。。。。



そう、イヌ、である。ケープタウン在住のボストンテリア、「セップ・ブラッター」君。

セップ君の飼い主は、kulula.comの呼びかけが「Fifa会長のセップ・ブラッター」と特定していなかったことに目をつけ、愛犬を「セップ・ブラッター」と改名してImSeppBlatter@kulula.comに応募したのである。

「二言はない」というkulula.comのおかげで、セップ君とその飼い主はW杯期間中、飛行機乗り放題を楽しめることとなった。犬のブラッター君は一躍有名人。Facebookのページやツイッターのアカウントまで持っている。

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2010/06/21

遠路はるばるW杯観戦 ゴーカートや自転車でアフリカ縦断

南アフリカは遠い。東京からジョハネスバーグまで、1万3500キロ強。飛行機の直行便なし。合計17、8時間機上の人となる。下手をすると、乗り換え時間を含めて2日がかり。想像するだけで、腰が引ける人もいるだろう。その点、ジョン・トラボルタは優雅だ。自家用ボーイング707を自分で操縦してやって来た。庶民は辛い。といっても、ヨーロッパの庶民はまだいい。日本と同じ北半球とはいえ、そのまま南下するだけで時差も殆どないのだから。

ところが、ヨーロッパからわざわざ時間をかけてやってくることに、喜びを感じるサッカーファンもいるのだ。

例えば、44人のオランダ人グループ「オレンジ・トロフィー」。バン、トラック、バイク、フォルスワーゲン「ビートル」の計22台に分乗し、4月3日オランダ出発。チュニジア、リビア、エジプト、スーダン、エチオピア、ケニア、タンザニア、マラウィ、ザンビア、ボツワナ、レソトを走破し、6月11日に南アの首都プレトリアに到着した。

たとえ2カ月以上かかっても、友達グループでワイワイやりながら旅するのは楽しいし、安全度も増す。砂漠、ジャングル、高山など過酷な地形や気候でも、エンジン付きのマシーンならなんとか乗り切れる。だが、ブラジル人のホゼ・ジェラルド・デ・ソウザ氏は、たったひとりでパリからやってきた。それも、足踏み式ゴーカートで。

出発したのは、2008年5月。1万7300キロ、3049時間のアフリカ縦断の旅。最も危険だったのは、西サハラ。夜は2度、昼間は48度という極端な気温がもたらす苦しさだけではない。いつ地雷を踏みつけるかわからないという恐怖もあった。コートジボアールでは反乱軍の恩を受けたり、刑務所に泊めてもらうなど、意外な人の優しさにも触れた。

52歳の男性によるこの命がけの旅は、貧しい国の子供たちに多い目の病気、白内障と緑内障に対する意識向上を目的としたもの。ライオンズ・インターナショナルの慈善事業の一環だという。

その上をいくのが、ロブ・フォーブス氏。なんと故郷のイギリスから、自転車、水泳、ランニングで目的地ラステンバーグまでやってきた。失業したのをよい機会と、趣味のトライアスロンを生かして、「W杯で英国代表の試合を見る」旅に出ることにしたのだ。

昨年10月1日に出発。イギリスからフランスへ渡るのにフェリーを使った以外は、鉄の意志と強靭な体と一台の自転車しか頼るものがなかった。ジブラルタル海峡は泳いで渡った。西アフリカ、中央アフリカからダーバンまで自転車で走る。毎晩、小さなテントを立てて寝た。砂漠では喉の渇きにあえぎ、熱帯雨林ではアリの群れに襲われた。暴雨の中、道なき道を進んだ。

ダーバンでは、89キロのコムレイズマラソンに参加。そこからまた、自転車でラステンバーグへ。念願のイギリス対アメリカ戦に間に合った。自転車の走行距離は、1万9千キロ。2大陸21カ国を訪れたフォーブス氏の旅の様子は、HP「Tri4Africa」(www.tri4africa.co.uk)で見ることが出来る。

苦労をかければ、到達の喜びも10倍、100倍。20時間弱の飛行機の旅で、弱音を吐いてる場合じゃないかも。

(参考資料:2010年7月13日&17日付「The Times」など)

2010/06/17

快進撃 もう止まらないkulula.com

飛行機がジョハネスバーグに無事着陸。その直後の機内アナウンス。「ご乗客の皆さま、ジンバブエにようこそ。あら、ごめんなさい。ジョハネスバーグだったわ。」「空港ターミナルでは、危険な武器を持っているかどうかを探す身体検査がありますのでご了解ください。心配しないでね。武器をお持ちでない方は、ちゃ~んと貰えますから。」

多くの人命を扱う航空会社に、不真面目は許されない。そんな常識をくつがえすのがkulula.com(クルーラ・ドットコム)。機内アナウンスですら、こんな感じ。勿論、テレビ、ラジオ、新聞の広告もフザケタこと、この上ない。それも、バカバカしさが度を越して笑いを誘うものや、ピリッと風刺が効いたものなど、いずれもひとヒネリしている。クラスで人気のお調子者のような天真爛漫さに溢れ、憎めない。

最新の全面新聞広告は、またFifaとW杯ネタ。

見出しは、「お手頃な価格のフライトを、セップ・ブラッター以外の皆さまに提供しております」。え?っと思わせておいて、「ブラッターさんは無料です」と続く。

そして、本文。「やっと、あれがやって来ました。このようなエクサイティングなイベントに関わることができて、ワクワクしています。私どものサポートを表明するために、現在、全て込みで片道R410ランドからフライトを提供しています。勿論、あなたの名前がセップ・ブラッターでない場合に限ります。だから、セップ、国中のどんな場所でも、可能な限り最も便利な方法で行く必要があるなら、ImSeppBlatter@kulula.comにメールしてください。無料でお乗せします。このオファーは、今まさに行われているあのことの期間中のみ有効です。」

W杯、サッカー、2010年などFifaがメクジラ立てる言葉を一切使わずに、「W杯期間中、国内便航空券はR410(5300円)から」というメッセージをしっかり伝え、且つFifaをからかいまくっている。

エコノミーなど乗ることのないであろうブラッターが、格安航空会社を利用することはまずあり得ない。でも、もしブラッターにこの広告に応じるだけの度量があれば、kulula.comは喜んでもてなすだろう。にこやかに記念撮影をして、すべてを水に流すだろう。ブラッターを称える広告を打ち出すかもしれない。それをFifaやブラッターに期待しても無駄だろうが。

Fifaの弁護士は、相手を見て脅しの手紙を送るべきだった。一度火のついたkulula.comのオチョクリは、とどまるところを知らない。どうやら、W杯が終わるまで、Fifaをサカナにし続ける気配だ。

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2010/06/16

これで完璧 南アフリカW杯用語集

ついに開幕したアフリカ大陸初のサッカーワールドカップ(W杯)。3連敗してさっさと帰国の途につくと思われた日本代表が初戦勝利。「第1次リーグを突破できない史上初のホスト国」と陰口を叩かれていた南アフリカ代表は、初戦を引き分け国民を狂喜させたが、第2戦ではウルグアイに完敗した。
 
南ア代表チームは、アパルトヘイト廃止後の1992年に設立された。愛称は「バファナバファナ」(Bafana Bafana)。「バファナ」とは「少年たち」のこと。「バファナバファナ」と繰り返すと「ゴー!ゴー!ボーイズ!」と声援を送っているようなニュアンスになる。
 
2010年W杯のスローガンは、「Ke Nako. Celebrate Africa's Humanity」。「ケ・ナコ」は「It’s time」の意。南アにとって、アフリカにとって、「待ちに待った時がやってきた!」との意気込みが感じられる。
 
マスコットは「ザクミ」(Zakumi)。フサフサした緑の髪がライオンのタテガミを思わせるが、実はヒョウ。南アフリカを示す「za」とアフリカ諸言語で数字の10を意味する「kumi」から名付けられた。1994年6月16日生まれ。第1回民主総選挙が行われマンデラ大統領が誕生した1994年と、ソエト蜂起の記念日6月16日をくっつけたのだろう。当年16歳。ヒョウにしては随分お年寄りかも。
 
扱いにくいと不評の公式ボール「ジャブラニ」 (Jabulani)。「喜び」「幸せ」「祝福」を意味する男の子の名前だ。
 
昨年のコンフェデ杯で世界に知れ渡った応援ラッパ「ブブゼラ」(vuvuzela)。語源に関しては、ズールー語の「騒音を立てる」、タウンシップのスラング「シャワーを浴びる」など諸説ある。1970年代には既に、アルミニウム製がスタジアムで見られた。プラスチック製は2001年、南ア企業マシンケダネ・スポーツ社が月間500本の生産を開始。同社ではW杯期間中、150万から200万ランドの売り上げを見込んでいる。安い中国製は1本20ランドから。

南アサッカーファンの必需品その2は、「マカラパ」 (makarapa)。工事現場で使われるプラスチック製ヘルメットを改造したもの。元々、田舎から都会に出てきて、鉱山や工事現場で日銭を稼ぐ労働者のことだった。彼らが作業ヘルメットを持って故郷に戻ったことから、マカラパ(単数形はレカラパ)は、堅い帽子を指すようになった。
 
サッカーグッズ「マカラパ」の発明者は、アルフレッド・バロイ氏。興奮したファンが投げるビール瓶などから身を守るため、1979年、ヘルメットをスタジアムに持って行ったのが最初。現在では、ファンによるクリエイティブな手製のものから工場生産品まで、様々な色やデザインの「マカラパ」が目を楽しませる。200ランドから400ランド程度。
 
オフィシャルスポンサーである携帯電話サービスプロバイダーのMTNは、「アヨーバ!」(Ayoba)をW杯用広告スローガンに使用。流行らせようと一大キャンペーンを繰り広げている。「カッコイイ」「万事OK」を意味するスラングだが、サッカー場では「頑張れ!」「よくやった!」といった声援となる。

19日のオランダ戦で日本チームが得点したら、声を揃えて「アヨーバ!!」

 (2009年12月4日、「ジャブラニ」お披露目会でのベッカム)

2010/06/15

生きるか死ぬか


暇そうに日向ぼっこをしていたバッファローたちが急にソワソワ。走り出した群れを追うのは、若いライオンのオス2頭。一番後ろを走っていた若いバッファローがつかまった。このまま窒息死するまで、ライオンは喉を押さえつける。

目の前30メートルでいきなり始まった、生と死の葛藤。現実、というより、TVドキュメンタリーを見ているよう。必死に逃げるバッファローとなんとか追いつこうとするライオン。思わず、どちらにも声援を送ってしまった。

2010/06/11

虹の国の「第九」

ジョハネスバーグ交響楽団(JPO)、2010年第2シーズン最終週。珍しく、舞台に国旗がかかっている。演目は、シューベルトの第8番『未完成』とベートーベンの第9番『合唱』。無難且つ人気の交響曲だ。演奏の仕方から観客の反応まで、始まる前から想像がつく・・・と思っていたら、嬉しい驚きがあった。

まず、サッカーワールドカップ開催を記念しての国歌演奏。

南アフリカの国歌は、ちょっと変わった作りになっている。前半は『ンコシ・シケレリアフリカ』(Nkosi Sikelel’ iAfrika)。「神様、アフリカを祝福してください」を意味する。1897年、メソジスト派ミッションスクールの教師、イノック・ソントンガがヨハネスブルグで作曲した美しい讃美歌で、アパルトヘイト時代は、解放運動の集会でよく歌われた。

後半はアパルトヘイト時代の国歌『ディー・ステム・ファン・セイトアフリカ』(Die Stem van Suid-Afrika)、「南アフリカの呼び声」。いかにもヨーロッパ風の、元気に行進したくなる勇ましい曲。

この全く曲風の違う2曲をくっつけたため、非常にちぐはぐな感じがする。しかも、前半はコサ語、ズールー語、ソト語、後半はアフリカーンス語と英語、と5つの言葉で歌うようになっている。

前奏が終わり、歌の部分が始まる。観客の殆どが白人老人のJPOコンサートで、『ンコシ・シケレリアフリカ』を歌える人は少ない。10人もいない黒人、歌詞を知っている数人の若い白人、それに私くらいのもの。ところが、後半の歌声に圧倒されてしまうのでは・・・という懸念は危惧に終わった。

『ディー・ステム』を歌う人も余りいなかったのである。アパルトヘイトが終わって20年近く経ったとは言っても、何十年も歌ってきた国歌の歌詞を忘れるとは考えにくい。ヨハネスブルグの白人にイギリス系が多いせいだろうか(英系南ア人とアフリカーナは伝統的に仲が悪かった)、アパルトヘイトを連想させるものへの「臭いモノにはフタ」反応だろうか、それとも、アパルトヘイト時代の国歌を高々と歌うことに、一抹でも良心の呵責を感じるのだろうか。

『第九』の第四楽章で登場した地元の聖歌隊は、70人近い男女のうち、白い顔がたったひとつ。白人が9割近くを占めるオーケストラと対照的。全員が南ア人のソリストは、白人と黒人が半々。違う人種の人々が完全に溶け込むとはいかないまでも、ぎこちなく手を差し伸べ笑顔を交わす、今の南ア社会にどことなく似たものとなった。




出来栄えは、残念ながらとても「素晴らしい」とは言えない。ソプラノはキンキンするばかり。メゾソプラノは全然聞こえない。テノールは、大男なのに声に厚みがない。合唱団は素人っぽく、オーケストラは音が薄っぺらだ。

それでも、演奏が終わる頃には、オーケストラと歌い手と観客の心がひとつになった。指揮者が最後のタクトを振り下ろす。一瞬おいて、会場は「ブラボー!!」と沸きに沸いた。周りのおじいさん、おばあさんたちが、手が痛くなるまで拍手しながら、次々に立ち上がった。スタンディングオベーションを受けて、舞台の上の若者たちの顔が誇らしげに輝く。

手作りの温かさが感じられる、ホノボノとした素敵な一夜だった。


【関連記事】
ジョハネスバーグ交響楽団 ポストアパルトヘイトの西洋文化受難時代を生き抜く (2010年5月3日)

2010/06/08

南アフリカ共和国、南米に移動!?

日本人にとって、南アフリカは地理的心理的に遠い国。それはアメリカ人にとっても同じこと・・・なのだろうが・・・。

シカゴのとあるテレビ局が、ニュース番組で大チョンボ。地図にご注目ください。


なんと、アフリカ大陸の最南端に位置するはずの南アフリカが、南米に移っている。しかも、国境線が入っていないところを見ると、南米大陸全体になってしまったようだ。南アフリカ共和国は、国民の気がつかないうちに、いつの間にか南米を征服してしまった!?! とすると、カカは南アナショナルチームのメンバー?

史上最弱のホスト国と言われる南アフリカ。ブラジル選手を全員入れれば優勝できるかも。。。

2010/06/07

kulula.comのおフザケ逆襲

Fifaの脅しを受けて、さっさと広告を撤回した格安航空会社のkulula.com。バカに聞き分けがいい、と思ったら、タダでは引きさがらなかった。Fifaの抗議を組み入れた改訂版広告を打ち出したのだ。

色は前回と同じ。デザインも内容も殆ど同じに見えるが・・・。

前回のタイトルに入っていたTHE YOU-KNOW-WHAT(例のアノ)が「ワールドカップ」を連想させる、また、2010という数字を使ってはいけないというので、タイトルは「NOT NEXT YEAR, NOT LAST YEAR, BUT SOMEWHERE IN BETWEEN」(来年でもなく、去年でもなく、そのどこか中間)。

ポスター中央に位置するのは、スタジアムの代わりに吊り橋。サッカーボールはラグビーボールやスヌーカーボール、ブブゼラはゴルフのティー、Fifaが自分の商標だと主張する(!?!)南アの国旗は、ビーチタオル(?)に早変わり。

極めつけは、右下いる赤ちゃん。大きな眼鏡をかけている。「short-sighted」(近視)に「先見の明がない」 の意味があることから、目先の利益にとらわれ、駄々っ子のようにふるまうFifaを皮肉ったものとみられる。

権力を振りかざす大組織の横暴に対し、正面からムキになって立ち向かうのではなく、ノラリクラリとかわしてしまうあたり、武道の極意に通じるものを感じる。kulula.comに喝采を送りたい。

関連記事:
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Fifa会長が格安航空会社の無料チケットをゲット!?! (2010年6月23日)

2010/06/06

過熱するW杯商戦

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サッカーワールドカップ(W杯)開幕を目前にして、南アフリカではW杯商戦が熱く繰り広げられている。
 
世界不況の影響をモロに受けていたジュエリー業界は、W杯景気にホクホク顔。総重量900カ ラットのダイヤをちりばめた実物大サッカーボールには、既にヨーロッパのサッカーチームから購入のオファーがあるという。お値段は2000万ランド(約2億6千万円)。そこまでは手が出ないファンのために、1個8000ランド(10万4千円)のクリスタル製もある。 南アの国旗が刻まれた6角形の時計も人気アイテム。24カ ラットゴールド製が、195千ランド(253万円)。

「バファナバファナ」という名前のワインを見つけた。ナショナルチームの名前を勝手に使っていいの?とラベルを吟味したところ、しっかり南 アサッカー協会のロゴがついていた。さすが、商魂たくましい。    

W杯景気にあやかりたいのは、大企業も同じこと。オフィシャルスポンサーでなくても、Fifaの 機嫌を損ねない範囲で、なんとかサッカー熱を商売に利用しようと躍起だ。

携帯電話業界のオフィシャルスポンサーはMTN。ライバルのVodacomは、ファンがバファナバファナに携帯メッセージを送る「Join the Voice」キャンペーンを実施中。目標は1000万メッセージ。成功の暁には、ギネスブックに申請する予定。クリエイティブなメッセージには、一等の賞金100万ランドをはじめ、数々の豪華賞品が用意されている。ノーベル平和賞受賞の3人組、マンデラ元大統領、ツツ元大司教、FWデクラーク元大統領も既に激励メッセージを送ったとか。
 
ファーストフード業界とビール業界のオフィシャルスポンサー、マクドナルドとバドワイザーがファンパークに出店しないことを受けて、南ア企業のナンドーズとSABが名乗りを上げた。Fifaの条件は、ブランド名を出さないこと。それでも、800万から1000万本のビールが余分に売れるとSABでは見込んでいる。   

「ワールドカップ」という言葉も疑似ブランドも使わなかったのに、Fifaの怒りを買ってしまった企業もある。

 ケープタウンのグラント・アブラハムズ氏は2004年、キーリングのデザインを通産省に登録した。2010という数字、ブブゼラの絵、南アの国旗がついたものだ。最近、商標・知的所有権侵害を理由にFifaに訴えられたアブラハムズ氏、「いじめっ子の巨人」相手に戦い抜くと鼻息荒い。

格安航空会社kulula.comといえば、オチャラケたコマーシャルで有名。その広告「Unofficial National Carrier of the 'You-Know-What'」も、Fifaの逆鱗に触れた。「『例のアレ』のオフィシャルじゃない航空会社」とやったわけだが、「例のアレ」がW杯を指すというのである。それだけではない。ケープタウンのスタジアム、サッカーボール、ブブゼラ、南アの国旗などの図柄や「南アフリカ」という言葉も使うなという脅しまでかけてきたのだ。
  
W杯を連想させる可能性のあるもの全てを知的所有権の対象としてしまう横暴さとユーモアのセンスのなさに、Fifaの株が下がる結果となったばかりか、Fifaの圧力で取りやめになった広告はインターネットで広まり、却って宣伝効果が高まった。 
 
優勝チームが決まる711日まで、W杯とFifaを巡るこもごもの悲喜劇に、南アフリカ中が振り回されそうである。

2010/06/04

本:スポーツジャーナリストがFifaの醜態暴露

Foul!  Andrew Jennings著 (HarperSport, 2006) 

 2010年サッカーワールドカップ開催地に決まった時、南アフリカ中が沸いた。サッカーというスポーツに対する熱狂だけではない。「スタジアムの前で物を売れば儲かるのでは?」「金持ちの外国人に部屋を貸せば儲かるのでは?」といった個人の漠然とした夢や、政府やエコノミストによる雇用や投資のソロバン勘定まで、経済効果に対する様々な期待があった。それがW杯が近づくにつれて、経済効果は単なる甘い夢、現実はFifaのひとり勝ちであることに国民がウスウス気づきはじめた。

著名なスポーツジャーナリスト、アンドリュー・ジェニングズによるFifaの暴露本『Foul!!』が南アでも脚光を浴びるようになったのには、そんな背景がある。巨額の賄賂、選挙の不正工作、不明朗な会計、チケット販売のスキャンダルなど、これでもか、これでもか、と限りのない人間の強欲が暴かれる。これほど好き勝手なことをカゲ、日向を問わず繰り返してきて未だ無傷の、Fifaやその幹部の生命力が空恐ろしい。

長年のスポンサーだったマスターカードに嘘をつきとおし、最終的には契約を反故にしてVisaカードに乗り換えた時は、流石のブラッターも年貢の納め時かのように見えた。マスターカードが法廷に持ち込み勝訴したのだ。ところが、「Fifaはマスターカードとの契約を守らなければならない」という判決にも関わらず、2010年W杯のスポンサーはVisaカード。

この本が出版された2006年から今までの間に、一体何が起こったのか。アップデートした新版の発行が待ち遠しい。

2010/06/02

南アチームの秘密兵器 ブブゼラ

南アサッカー観戦の必需品といえば、「ブブゼラ」。プラスチック製、長さ約60センチのラッパだ。黄色など賑やかな色のものが多い。いかにも安っぽいが、バカにしてはいけない。便秘の象を思わせる、うっとおしい大騒音をかもしだす。

では、その威力やいかに。

最近ドイツの研究所で行われた比較実験によると、10センチの距離で123.9デシベル。スタジアムへの持ち込みが禁止されているエアホーンが123.2デシベル、VfBシュトゥットガルトのサポーターの歌声が121.4デシベル、カウベルが113.6デシベル、サンバドラムが110.5デシベルだった。ブブゼラの独り勝ちである。

因みに、飛行機のエンジン近くの騒音が120デシベル、前方2メートルの自動車の警笛が110デシベル、電車通過時のガード下が100デシベ ル、正面5メートルにいる犬の鳴き声が90デシベル程度。

人間の聴覚が耐えられる、騒音による苦痛の限界は、120デシベル。更に、100デシベルの騒音に15分さらされると、聴覚を害する危険があるというから、ブブゼラあっぱれ!と感心してばかりもいられない。

ひとつでも耳をふさぎたくなるほどうるさいのに、数万人が一度に鳴らしたら恐ろしいことになる。昨年のコンフェデ杯で、試合中絶え間なく響き渡るブブゼラに閉口した外国チームが、W杯でのブブゼラ禁止を提案したほどだ。

敵の戦意を削ぎ、戦略をかく乱することから、南アナショナルチーム「バファナバファナ」の「秘密兵器」「12番目の選手」と 評されることも。コーチのカルロス・パレイラは、スタジアムへのブブゼラ持参を南アファンに呼びかけている。

W杯のおかげで、以前はブブゼラに鼻もひっかけることのなかった高級 ショッピングモールでも、販売されるようになった。南アの国旗が描かれたW杯特別仕様や、ビーズ作 りの豪華版なども店頭を飾る。世界のファッションアイテムとなる日も近い?

(高級ショッピングモールに並ぶファッショナブルなブブゼラ)

(参考資料:2010年5月22日付「Saturday Star」など)