2012/07/30

あなたは死んでいます!?! 運転免許更新に行ってビックリ

ロナルド・バーソロミュー(Ronald Bartholomew)さんは、運転免許の更新に行って腰を抜かした。「あなたは一年前に死亡しているから、免許更新は出来ません」と言われたのだ。80歳という高齢だが、まだピンピンしている。

ロナルドさんの運転免許は7月24日に失効した。それでも、運転を続けるという。しかし、警察に尋問されることを恐れて、高速道路や長距離運転は避けるつもりだ。

「だって、死人が運転してるなんて、どうやって説明したらいいんだ?

運転免許を更新するには、まず、内務省へ行って、死んでいないことを証明する必要がある。手続きに2か月もかかる上、料金約700円。

「私が犯した過ちではないのに、料金を払わなければならないとは!」 ロナルドさんは絶句する。

私の知り合いの中には、運転免許証に記載された生年月日が父親のものになっていた若者や、性別が「男性」になっていた女性がいるが、いずれも運転免許を発行する役所の事務的な手違い。

内務省の記録で死んでいるとなると、誰かが「死亡届」を出したのだろう。南アフリカの永住権や国籍を取得するために、外国人が内務省の職員にワイロを払って、南ア人と法律上、密かに結婚してしまうというのが一時よくあった。知らない間にナイジェリア人が夫になっていた、という女性に会ったことがある。今回のように死亡扱いにされたというのは、保険金目当ての犯罪絡みか?

ランドバーグ運転試験場のマネージャー、チャールズ・ファンデルヒアヴァール(Charles van der Heever)さんは否定する。老人が運転するのを心配して、家族が死亡届を出すことがタマにあるそうだ。ロナルドさんの場合も、家族の仕業だったことが調べでわかったという。

確かに80歳の老人が運転して事故に遭ったり、事故を起こしたりするのを家族が心配するのは理解できる。本人はしっかりしていると思っても、ハタからみると危なっかしいこともあるだろう。しかし、死亡届を出すとは余りにも過激・・・。

ある一定の年齢になったら、ちゃんと運転できることを証明するためにテストを受けさせるよう法律で定めるなど、他に手段がありそうなものだが。。。

大体、生きている人間の死亡届を出すのは、法律に触れないのだろうか。家族の愛情から生まれた行為でも、ロナルドさんの人権を無視してはいないだろうか。


(参考資料:2012年7月27日付「Northcliff Melville Times」)

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2012/07/15

海賊に誘拐された南ア人カップル 20ヶ月監禁される

「海賊」といえば、「大海原を舞台にした、男のロマン」。

ジョニー・デップ(Johnny Depp)が演じる『パイレーツ・オブ・カリビアン』(Pirates of Carribean)シリーズのジャック・スパロウ(Jack Sparrow)。『フック』(Hook)でピーターパンの敵役、フック船長を演じたのは、ダスティン・ホフマン(Dustin Hoffman)。古くは、エロール・フリン(Errol Flynn)の『海賊ブラッド』(Captain Blood)。。。



ハリウッド映画の海賊たちは、ヒーローでも、悪漢でも、常軌を外れたスケールの大きさを感じさせ、どこかすがすがしい。(「ヒゲ」と「化粧」と「カツラ」と「カブリモノ」は必須?)

勿論、彼らがスクリーンの中にいるから、私たちは平気で笑ったり、ドキドキしたりできるのだ。

ところが、ブルーノ・ペリツァーリ(Bruno Pelizzari)とデビー・カリツ(Debbie Calitz)は、本物に遭遇してしまった。それどころか、捕虜になり、20ヶ月も監禁されてしまった。。。

2012/07/10

両足義足の短距離走者 ロンドン五輪に出場

公式HPより
両足にカーボン義肢をつけて走る南アフリカのスプリンター、オスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius)が、自前の足を持つアスリートに混ざって、ロンドン五輪に出場する。あだ名は「ブレードランナー」(Blade Runner)。

1986年11月22日、ヨハネスブルグ生まれの25歳。膝から足首までを構成する脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)のうち、生まれつき腓骨がない。生後11か月で、両膝から下を切断。

根っからの頑張り屋、スポーツ好きなのだろう。障害をもろともせず、健常者と共に、ラグビー、水球、テニス、レスリングを楽しむ。いずれもかなりの腕前だった。

2003年6月、ラグビーで膝をひどく痛め、リハビリ中の2004年1月、ランニングを開始。現在、プレトリア大学商学部で、経営学とスポーツサイエンスを専攻している。

走り始めた2004年には早くも、アテネの夏季パラリンピックに参加。100メートル走で銅メダル(11秒16)、200メートルでは金メダル(21秒97)を獲得。いずれも、ライバルは義肢1本の選手だった。

2005年、健常者を対象とした南アフリカ陸上選手権で、6位という好成績を収める。2006年の障害者世界陸上選手権では、100メートル、200メートル、400メートルで3冠。翌年、100メートル、200メートル、400メートルで世界記録。

ここまで快進撃を続けると、「2008年の北京五輪に、健常者として出場したい」という夢を持つようになったのも当然だろう。

2012/07/04

西アフリカで『ハムレット』 「常識」の適応範囲


ピエール・バヤール(Pierre Bayard)著『How to Talk About Books You Haven't Read』(読んでない本について話す方法)を読んだ。(フランス語からの英訳)

「読んでない本について話す方法」といっても、普通のハウツーものではない。著者はパリ大学でフランス文学を教える大学教授。この本も、ふざけた題名からは期待外れの、マットーな文芸評論だった。

文芸評論の常として、概ね退屈だったが、中にひとつ面白い話があった。「主人公」は西アフリカのティヴ(Tiv)族。ナイジェリアとカメルーンに、合計約600万人が生活している。

そもそもの発端は、アメリカ人の文化人類学者ローラ・ボハナン(Laura Bohannan)が、「アメリカ人にシェイクスピアはわからない」とイギリス人に一蹴されたこと。「人間の性(さが)は世界中どこでも同じ!」というボハナンに、イギリス人は「証明してみろ」と挑戦した。

そこでボハナンは、アフリカにリサーチ旅行に出発する時、シェイクスピアの『ハムレット』を鞄に入れた。文化が違うティヴ族にも『ハムレット』が理解できることを証明するために。