かつて南アフリカの最高学府だった「ヴィットヴァータースランド大学」(University of the Witwatersrand)、通称「ヴィッツ」(Wits)。
アパルトヘイト時代はリベラルな学生が集まり、アパルトヘイト政権に反対したデモが繰り広げられ、警察の手入れが日常的だった時期もある。反アパルトヘイト運動に身を投じた在学生、卒業生も多かった。(安保反対で揺れた東大の拡大版みたいなものか。)一方で、経済界のエリートも多数生み出した。
ところが、アパルトヘイト後、どうも冴えないのである。昔からヴィッツと何かと比較され、東大に対する京大の観があったケープタウン大学は、花形学長を次々にゲットし、美しい土地の利も大いに利用し、「反アパのリベラル大学ナンバーツー」から、自他とも認める「南ア一の大学」として見事に生まれ変わった。
一方のヴィッツは、昔のプライドが邪魔をして世の中の動きについて行けなかったのか、冴えない学長が続出したためか、イメージダウンの一途を辿った。ジョハネスバーグという町のイメージも悪すぎる。優秀な学生がケープタウンに行きたいと思っても仕方ない。ヴィッツの卒業生としては、目に余る凋落ぶりが寂しい限りだ。