2014/07/05

「趣味は殺し」の19歳。13歳でサイ、14歳でゾウ。

「アフリカで猛獣狩り」を楽しむ欧米人、特に有力者や有名人の得意げな写真がソーシャルメディアや雑誌に掲載され、非難を浴びる。そんな事例が、近年とみに増えてきた。

最近息子に王位を譲ったスペインのフアン・カルロス前王は、2012年、ボツワナでゾウの狩猟を楽しんだことがばれて、WWW(World Wild Fund for Nature世界自然保護基金)スペイン支部の名誉会長職を解かれた。1968年に創設されたWWWスペイン支部には「名誉会長は国王」という規定があったが、スキャンダル後、圧倒的大多数の支持で規定は削除され、国王を名誉会長職から罷免したのだ。フアン・カルロス王は2006年にも、ロシアで慣れたクマを射殺したのがばれて物議を醸したことがある。(ボツワナでは、2013年に狩猟が全面禁止となった。)

今、一番非難を浴びている白人ハンターは、テキサス州のチアリーダー、ケンダル・ジョーンズ(Kendall Jones)。弱冠19歳。初めて撃ち殺した「猛獣」はシロサイ。13歳の時だ。14歳で初めてのゾウを殺す。その後もアフリカにちょくちょくやって来ては、狩猟農場などに大金を支払って、動物を殺しまくっている。

ケンダル・ジョーンズは「公人」(public figure)としてフェイスブックページを持っている。そして、自分が殺した動物とのツーショットを誇らしげにアップする。(以下の写真は、ケンダル・ジョーンズのフェイスブックから。他にも、カバ、シマウマ、カモシカなど、趣味で殺した動物は数知れない。)

狩猟用に繁殖させられることが多いライオン
絶滅の危機に瀕するゾウ
絶滅の危機に瀕するサイ
激減しているヒョウ
バッファロー

南アフリカでは、絶滅の危機にあるサイやゾウも、許可制であるとはいえ、狩猟が許されている。また、繁殖しやすいライオンは、殺すために飼われ、繁殖させられている。生まれてからずっと、餌をもらって檻や囲いの中で過ごすのだ。小さくて可愛いうちは、観光客にだっこされて写真を撮ったりする商売に使われることもある。狩りをしたこともなければ、危険な目に遭ったこともない。体は大きいが、心情的には飼い猫かもしれない。それが、大人になり立派なタテガミが生えてくると、狩りに使われる。金持ちハンターの前に連れ出され、「猛獣狩り」の標的になるのだ。

(絶滅の危機にある動物に狩猟許可を出したり、「カン詰ライオン」と呼ばれる狩猟を合法とする南アフリカ政府に大きな問題があるが、ぼろ儲けで資金豊かな狩猟業界は強力な圧力団体なのだろう。)

金さえ積めば誰だって「ハンター」になれる。銃の使い方も知らない初心者、それも酔っ払っていたりすると、ライオン1頭殺すのに数十回も引き金を引くことがある。こんなへたくそ「ハンター」の場合、ライオンは囲いに入ったままだ。何が何だが訳がわからず、おたおたしているライオンに、至近距離から引き金を引くわけだ。この「ハンター」の周りには、狩猟農場のプロのハンターがついているので、素人ハンターには何の危険もない。そして、射止めたライオンの傍に誇らしげに立ち、写真撮影をして喜ぶ。

ケンダル・ジョーンズは13歳から殺しまくっているベテランのハンターだから、仕留めるのに何十発も使うような、惨めな姿は晒さないだろう。しかし、「金持ちの娯楽」に変わりはない。サイやゾウを一頭殺すには、数百万円の料金がかかるのだ。庶民が楽しめる趣味ではない。お金持ちのお嬢さんのお遊びである。

勿論、ケンダル・ジョーンズ自身、悪いとは思っていない。自分がサイやゾウなどを殺すことが「野生動物保護に役立ち、アフリカの村人たちに食料を供給している」とフェイスブックに何度も誇らしげに書いている。7月3日の投稿では、「南アフリカでシロサイが2万頭もいるのは狩猟産業のおかげ」と主張している。6月15日には、自分が殺したゾウの肉を村人たちに配っている動画をアップ。「この動物一頭だけで、100家族以上を養える」と嬉しそうだ。

しかし、ゾウはアフリカの人々が通常食べる食料ではない。それに、100家族以上に肉を配ったとしても、1日か、せいぜい数日分だろう。ところが、ケンダル・ジョーンズがゾウ一頭殺すのを我慢して、浮いた数百万円で鶏を買って寄付すれば、村に持続的な食料が供給される。

ネットで調べたところ、他のアフリカ諸国より概ね物価が高い南アフリカでも、生きたヒヨコ一匹が50円くらいだった。ゾウ一頭殺すのが例えば500万円だとすると(サイはもっと高い。サファリ代等は別にかかる)、ヒヨコが10万羽も買えてしまう。ヒヨコばっかりそんなに村で飼う必要はないので、ヒヨコは数百羽にして、残りのお金で他のものを買おう。牛、ブタ、飼料、種、農機具・・・。ケンダル・ジョーンズがゾウを殺すのをもう一頭我慢してその分寄付してくれれば、村に診療所や学校が建つ。水道だって引けるだろう。本当にアフリカの人のことを考えているのなら、ゾウやサイを殺すより、もっと役に立つお金の使い道が沢山ある

また、狩猟産業が野生動物保護に貢献するとの主張も、どうかと思う。狩猟農場ほど儲けは多くはないかもしれないが、動物を見せるだけで殺さない「エコツーリズム」(ecotourism)をビジネスにしている個人や会社だって数多くある。狩猟を伴わなくても、大事な商売道具である野生動物の保護・繁殖に一生懸命努めるに違いない。ボツワナがその良い例である。大体、「殺すために繁殖させる」=「動物保護」という論理には納得できない。(ボツワナでは別の意味で問題がある。「ボツワナでバッファローを追う(2)第二の難関 」)

結局、殺すのが楽しくて殺しているのだろう。野生動物保護やアフリカの人々に貢献しているなど主張するのは止めてもらいたい。

しかし、ケンダル・ジョーンズのフェイスブックページを「いいね!」している人が、今現在で44万6847人もいるのには驚いた。この記事を書いている間に、「いいね!」が数千人も増えている。銃が好きなアメリカ人や南アフリカの狩猟業界にとっては、アイドル的存在なのかもしれない。

南アフリカでは、アフリカでケンダル・ジョーンズにハンティングさせないようにしよう」という署名運動が始まったらしい。また、ケンダル・ジョーンズがフェイスブックに投稿した写真を削除するようマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)に求める署名運動がAVAAZ.orgで行なわれ、17万5000人が署名。フェイスブックは残酷な数枚を削除することに同意した。

ケンダル・ジョーンズ本人は、自分の言動にショックを受けた世界中の人々の非難をもろともしない。「狩猟反対派がネガティブな投稿をしたり、私の写真をシェアしてくれたお蔭で、いいね!が48時間で600も増えたわ。この手に限る!」と大喜び。

2015年にはスポーツチャンネルで番組を持つことになったという。勿論、ケンダル・ジョーンズの「ハンティングアドベンチャー」(hunting adventure)を追う番組だ。

最新のフェイスブック投稿は7月4日。「私の家族、友だち、支持者の皆さん、独立記念日おめでとう!」 この投稿に「いいね!」が9万以上、シェアが1128回。なんだか気が重い。(本人はジンバブエで狩りを楽しんでいるらしい。)

一緒に投稿された写真はこれ。



ロブ・ダンバー(Rob Dunbar)というアメリカ人がコメントしていた。

「こんなに立派な歯を持っているのに、誰もこの象牙目当てに彼女を狩猟しようとしていないのは驚きだ・・・。」(このコメントは削除された。)

やはりアメリカ人のキャリー・ルーク・レブロン(Carrie Luke Revron)は、「自分の娘には、マイリー・サイラスやリンジー・ローハンやキム・カーダシアンといった人より、ケンダルを見習って欲しい」とコメントしている。(私の娘だったら・・・やっぱりケンダルを見習うのはイヤだ。)

しかし、自称「野生動物保護論者」のこのハンター、一体、一生の間、何頭のサイ、ゾウ、ライオン、ヒョウ、バッファロー、カバ、シマウカ、カモシカなどなどなどの命を、自分の楽しみのために奪っていくのだろうか。彼女がお婆ちゃんになる頃には、サイもゾウも存在していないかもしれないけど。。。

(参考資料:2014年7月2日付「The Times」、6月23日付「Africa Geographic」など)

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2 件のコメント:

  1. 病気ですね、家族や友人含めて。
    全ての遺産は野生動物保護団体に寄贈すると遺書書いて、エボラで死ねばいい。

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  2. 殺しが趣味の醜い面の女め、子供を産むなよな。

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