2018/03/22

『ブラックパンサー』の大ヒットで、架空の王国「ワカンダ」のホテルサーチが急増

世界中で大ヒットとなったマーベルスタジオ(Marvel Studios)初の黒人スーパーヒーロー映画『ブラックパンサー』(Black Panther)。


主人公ティ・チャラ(T'Challa)はアフリカの小国ワカンダ(Wakanda)出身。高度な科学技術を誇る超文明国だが、表向きは発展途上国として、欧米列強の植民地化を逃れ、何百年も平和と繁栄を保って来た。

(ヨーロッパ諸国が19世紀末のベルリン会議で、現地の意向をまったく無視してアフリカを分割した歴史的経緯を映画製作者は知らないのか、それともストーリー上都合が悪いから忘れることにしたのか。ワカンダが目立たないように努力したからといって、避けられた運命ではないのに。「ファンタジーだから歴史は関係ない」と割り切ることもできるけど、世界に関心がない超大国アメリカの映画だから、ここまでアフリカの歴史を無視できるのだろう。)

ティ・チャラは父王の死後、新国王に即位しながらも、スーパーヒーロー「ブラックパンサー」としても活躍。(動物のパンサーが生息するのはアメリカ大陸。アフリカにいるのはレパードだけど、アメリカの漫画が原作だからパンサーなのだろう。)

南アフリカのベテラン俳優、ジョン・カーニー(John Kani)と息子のアタンドワ・カーニー(Atandwa Kani)が主人公の父親ティ・チャカ(T'Chaka)の年取ってからと若き日の姿として出演している。

ジョン・カーニー

『ブラックパンサー』は南アフリカでも大ヒット中。もっとも、主人公役のアメリカ人俳優チャドウィック・ボーズマン(Chadwick Boseman)のアフリカ風訛りの英語が、下手くそでわざとらしいと苦笑を誘ってはいるが。ジョン・カーニーが指導を試みたのだろうか?

チャドウック・ボーズマン

映画大ヒットのおかげで、ワカンダ王国は世界中でとても有名になった。架空の国だと理解していないファンが多いらしく、ホテルのブッキングサイト「ホテルズドットコム」(hotels.com)などで、ワカンダのホテルを探す人が急増しているという。

ここでバケーションを楽しもうと考えているのか?

ワカンダ、またはそれと似た名前を持つ町などにとっては朗報。「ワカンダ」をネットでサーチした無知なファンが、ウェブサイトにやって来てくれるからだ。

米ウィスコンシン州のウォーターパーク「ワカンダ」(Wakanda)ではウェブサイト訪問者が昨年比620%増。米イリノイ州の町ウォコンダ(Wauconda)とマコンダ(Makonda)ではそれぞれ25%と40%増。フィジーのワカヤ(Wakaya)は235%増。日本の「ワッカナイ」まで恩恵を受け、55%以上増。

ホテルズドットコムのイザベル・ピンソン(Isabelle Pinson)さんは、「我が社のホテルポートフォリオは世界200か国以上を網羅していますが、ワカンダはまだカバーしていません。現在検討中です」と茶目っ気たっぷりにコメントしている。

私はまだ観ていないので、お薦めできるかどうかは言えませんが、日本版予告編はこちら。



【参考ウェブサイト】
'Black Panther' fans are trying to book hotels in Wakanda, Sunday Times(2018年3月18日)

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