欧米人が持つフィンランド人のイメージは「超寡黙」。『限りなく完璧に近い人々』(The Almost Nearly Perfect People)では、こんな実話が紹介されている。
著者マイケル・ブース(Michael
Booth)の友人(フィンランド人)が吹雪の中、義兄と車に乗っていたところ、とんでもない田舎で車が故障してしまう。30分後、やっと車が一台通りかかった。運転手は車を止め、故障した車のボンネットの下をチェックし、親切も修理までしてくれた。その間、交わされた言葉ゼロ。通りかかりの人が立ち去った後、著者の友人は義弟に言った。「いや~、ラッキーだったね~。一体誰だったんだろう?」 義弟は平然と、「ああ、あれはユッカだよ。僕の同級生だった。」
私の経験では、フィンランド人が「超寡黙」とは感じたことがない。むしろ、「口を聞かないのは言うことがないから」とか「口をきかないのはバカだから」とかいう理由で、ひたすら自己主張し喋りまくるアメリカ人より、余計なことを言わないフィンランド人の方が楽。日本人と似ているのかもしれない。
2018/06/14
2018/05/30
限りなく完璧に近い人々(3)根っからのアリさん型国民、ノルウェー人
2003年、皆既日食を生中継するというプロジェクトで南極に行った。「南極では南極に関する本を読みたい!」とスーツケースに入れたのが、ローランド・ハントフォード(Roland Huntford)著『The Last Place on Earth: Scott and Amundsen's Race to the South Pole』(地上最後の土地 スコットとアムンゼンの南極点到達レース)。
イギリスのスコット隊とノルウェーのアムンゼン隊の競争を同時進行形で比較分析する、600ページ近い大著である。著者のハントフォードはシャクルトンやナンセンの伝記も書いている南極通。しっかりしたリサーチもさることながら、文章がめちゃうまいため、優れたサスペンス小説のように読ませる。なにしろ南極にはこの本一冊しか持っていかなかったので、ブリザードでテントに閉じ込められ他にすることがなくても、「早く先に進みたい!」とハヤル心を抑えながら、毎日少しずつ読んだ。
大変な思いをして南極点に到着したスコット隊5人の目に映ったのはノルウェーの国旗。アムンゼン隊は5週間も前に、南極点に到達していたのだ。飢えと疲労と寒さから、南極で壮絶な死を遂げたスコットは、即座に国民的英雄となる。
しかし、ハントフォードによると、計画段階で勝負は既についていたという。現地の事情をあまり考慮にいれず、騎士道的な精神論で熱く突っ走ったスコットと違い、アムンゼンは事前の準備を怠らず、緻密な計画を立て、適切な装備と服装を整え、犬の扱い方を理解し、スキーを効果的に使った。そのお蔭で、スコット隊の苦労とは対照的に、アムンゼン隊の旅はスムーズに進んだ。アムンゼンは南極点到達物語を本に書いているが、あまりに淡々として、読み物としては全然面白くないらしい。(自身も冒険家で南極体験があるラナルフ・ファインズなどはハントフォードのスコット分析を批判し、スコットを擁護している。)
イギリスのスコット隊とノルウェーのアムンゼン隊の競争を同時進行形で比較分析する、600ページ近い大著である。著者のハントフォードはシャクルトンやナンセンの伝記も書いている南極通。しっかりしたリサーチもさることながら、文章がめちゃうまいため、優れたサスペンス小説のように読ませる。なにしろ南極にはこの本一冊しか持っていかなかったので、ブリザードでテントに閉じ込められ他にすることがなくても、「早く先に進みたい!」とハヤル心を抑えながら、毎日少しずつ読んだ。
大変な思いをして南極点に到着したスコット隊5人の目に映ったのはノルウェーの国旗。アムンゼン隊は5週間も前に、南極点に到達していたのだ。飢えと疲労と寒さから、南極で壮絶な死を遂げたスコットは、即座に国民的英雄となる。
しかし、ハントフォードによると、計画段階で勝負は既についていたという。現地の事情をあまり考慮にいれず、騎士道的な精神論で熱く突っ走ったスコットと違い、アムンゼンは事前の準備を怠らず、緻密な計画を立て、適切な装備と服装を整え、犬の扱い方を理解し、スキーを効果的に使った。そのお蔭で、スコット隊の苦労とは対照的に、アムンゼン隊の旅はスムーズに進んだ。アムンゼンは南極点到達物語を本に書いているが、あまりに淡々として、読み物としては全然面白くないらしい。(自身も冒険家で南極体験があるラナルフ・ファインズなどはハントフォードのスコット分析を批判し、スコットを擁護している。)
2018/04/12
限りなく完璧に近い人々(2)先のことを考えないハチャメチャなバイキングの子孫、アイスランド人
アイスランドは人口が少ないため、遺伝子の研究が行いやすい。そこで、「デコード」社は政府の許可を得て、国民の遺伝子を使って研究を行い、利益の一部を国民に還元しているという話だった。一企業が国民の遺伝子情報をすべて把握するなんて、倫理問題や政治問題になりそうだけど、なんと先進的、理知的、現実的なことか。北欧のイメージにぴったりだった。
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| (日経ビジネスONLINE) |
ところが、今回、『限りなく完璧に近い人々』(The Almost Nearly Perfect People)を読んで驚いた。将来のことを全然考えない、無茶苦茶なギャンブラーのような国民性なのだから。
2003年から2008年の間、アイスランドの3大銀行は1兆4000万億ドルもの資金を借り入れた。これはアイスランドのGDPの10倍に当たる。
中央銀行の外貨準備高が250億ドルの国の銀行にこんな大金を貸す方も貸す方だが、当時のアイスランド政府は心配するどころか、起業家が銀行から融資を受けることを推奨。銀行から多額の融資を受けた起業家たちは、そのあぶく銭を湯水のように使いまくったのだった。
たとえば、デンマークの大デパートやイギリスのサッカーチーム「ウェストハム・ユナイテッド」(West Ham United)を買収。デパートなんて、今どきとても賢い買い物とは思えないし、サッカーチームはまずビジネスで大成功し、使い切れないほどの余剰金が生まれてから購入を考えるべきだろう。
そして、普通の国民まで、「ナイジェリアの詐欺メールでしか使われないような、途方もない財務計画を諸手(もろて)を広げて歓迎した」。日本円で融資を受けたり、スイスフランで住宅ローンを立てたりしたのである。「腰まで魚の内臓につかっていたアイスランド人が、一瞬にして、購入するポルシェ・カイエンのオプションを比較するようになった」という。
誕生日パーティーで一曲歌ってもらうために、わざわざエルトン・ジョンを呼び寄せたり、プライベート・ジェット機をタクシーのように使ったり、シングルモルトウィスキー1瓶に5000ポンド(今の為替レートで86万円)払うのを何とも思わなかったり・・・。全く見返りのないものに、銀行から借りたお金を使い果たしてしまった。「銀行から借りたお金は利子をつけて返さなければならない」という基本の基本を理解していないとしか思えない。
2018/03/29
限りなく完璧に近い人々(1)世界で一番幸せなデンマーク人
The Almost Nearly Perfect People(限りなく完璧に近い人々)という本を読んでいる。副題はThe Truth about the Nordic Miracle(北欧の奇跡の真実)。著者はデンマーク在住のイギリス人作家・ジャーナリスト、マイケル・ブース(Michael Booth)。料理と旅を専門とするライターだ。『英国一家、日本を食べる』(亜紀書房。原題 Sushi and Beyond: What the Japanese Know About Cooking )という著作もある。
見返しの宣伝文にはこうある。
もうお気づきとは思うが、ガチガチの真面目な本ではない。しかし、しっかりしたリサーチと取材に基づいている。ニヤニヤ、時には大笑いしながら読み進めると、北欧5か国の現実と、そこに暮らす人々の姿が等身大で迫ってくる。
最初に取り上げられているのは、著者が住むデンマーク。著者の奥さんはデンマーク人。5章150頁に及ぶ内容なので、最も印象に残ったことをご紹介する。
英レスター大学(University of Leicester)心理学部が「生活満足指標」(Satisfaction with Life Index)なるものを発表した。それによると、世界中で最も幸せなのはデンマーク人という。著者にしてみれば解せない。「暗くて、ジメジメして、どんよりして、平坦で、小さな国土」に「ストイックで良識のある人々」が住む「世界一税率が高い」国が、世界で一番幸せな国?
ブースはデンマークの幸せの理由を探るリサーチを開始する。
見返しの宣伝文にはこうある。
世界中が北欧諸国の成功の秘密を知りたがっている。世界で一番税金多く払っているのに、何故デンマーク人は世界で一番幸せなのか? フィンランドの教育制度が世界で一番優れているのなら、何故フィンランド人は「スウェーデン人の男は皆ゲイだ」と未だに信じているのか? アイスランド人は本当に野放図なのか? ノルウェー人はあり余る原油収入をどう使っているのか? そして、何故、以上の全員がスェーデン人を嫌っているのか?
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| マイケル・ブーズ(amazon.co.uk) |
最初に取り上げられているのは、著者が住むデンマーク。著者の奥さんはデンマーク人。5章150頁に及ぶ内容なので、最も印象に残ったことをご紹介する。
英レスター大学(University of Leicester)心理学部が「生活満足指標」(Satisfaction with Life Index)なるものを発表した。それによると、世界中で最も幸せなのはデンマーク人という。著者にしてみれば解せない。「暗くて、ジメジメして、どんよりして、平坦で、小さな国土」に「ストイックで良識のある人々」が住む「世界一税率が高い」国が、世界で一番幸せな国?
ブースはデンマークの幸せの理由を探るリサーチを開始する。
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