2014/07/28

「ブラック・イズ・ビューティフル」に囚われる必要はない ナイジェリアの女性ジャーナリスト

ケニアのモデルで社交界の花、ヴェラ・シディカ(Vela Sidika)が先月、「大金を注ぎ込んで肌を漂白した」と認めた時、サハラ以南アフリカのソーシャルメディアで大論争が起こった。その多くは批判という。

ヴェラ・シディカがインスタグラムにアップした写真。漂泊の前と後。(blAck americaweb.com

これに対し、ナイジェリア人のジャーナリスト、写真家、弁護士であるセデ・アロンゲ(Sede Alonge)が英『デイリー・テレグラフ』紙に反論を投稿した。もっともな意見だと思うので、以下、要旨を紹介する。

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私が住むナイジェリアでは、何百万人もの女性たちがコウジ酸配合の石鹸や、ヒドロキノン (hydroquinone) によりメラニン色素形成を抑えて白く見せる「フェードクリーム」(fade cream)や、ヤギの乳配合のシャワージェルなど、美白効果があるといわれる製品をこぞって使っている。中には、肌に直接、漂白効果のある薬品を注射する者もいる。

ところが、シディカが「私は自分の外見に誇りを持っている。アフリカ社会は偽善的」と正直に述べたところ、自分が属する人種に対する裏切りとか、白人コンプレックスの表れだとか、大きな非難を浴びてしまった。

2014/07/19

ノーベル文学賞作家ナディン・ゴーディマ、逝く

7月13日、ナディン・ゴーディマ(Nadine Gordimer)が亡くなった。享年90歳。ベッドで寝ている間に、安らかに息を引き取ったとのこと。ごく最近、書き物をしている姿を見たという証言がある。最後まで頭もボケなかったのだろう。まさに大往生。理想の逝き方。

晩年のナディン・ゴーディマ。最後まで毅然としていた。(Varsity Breakout

「シネマヌボー」(Cinema Nouveau)という、小粒だが良質の作品を揃える映画館で、その小さな姿をよく見かけた。年配の付き人といつも一緒だった。

1990年の後半だっただろうか、自宅に伺ったことがある。パークタウンウェストという、昔からの閑静な住宅街に立つ古い家だった。アパルトヘイト時代、当局に追われる解放運動家を自宅にかくまった話などを聞いた。物静かな人だった。

政治意識が高く、アパルトヘイト政権への反対を明言するものの、デモの先頭に立ったり破壊工作をしたりするタイプではないゴーディマにとって、文学でアパルトヘイトの欺瞞や理不尽さを淡々と描くことが一番性にあった抵抗運動だったのだろう。アパルトヘイトが提起した倫理問題や人種問題についての作品を発表し、『バーガーの娘』(Burger's Daughter)、『ジュライの人々』(July's People)などは南アフリカで発禁処分となった。

1923年11月20日、ジョハネスバーグの東にある田舎町スプリングズの近くで、ユダヤ系の家庭に生まれる。父親はラトビア出身の時計職人、母親はロンドン出身。倫理観や政治意識が高かったのは母親の方だった。黒人が直面する貧困や差別に心を痛め、黒人の子供を対象とした保育園を開いたほど。

母親はナディンの心臓が弱いことを心配し、殆ど学校にやらなかった。家でひとりで過ごすことが多かった子供時代に、文章を書き始めた。作品が初めて出版されたのは1937年、15歳の時。子供向けの短編だった。大人を対象とした小説が初めて出版されたのは16歳の時。1951年、『ニューヨーカー』誌に短編を発表。国外でも知られるようになる。

2014/07/05

「趣味は殺し」の19歳。13歳でサイ、14歳でゾウ。

「アフリカで猛獣狩り」を楽しむ欧米人、特に有力者や有名人の得意げな写真がソーシャルメディアや雑誌に掲載され、非難を浴びる。そんな事例が、近年とみに増えてきた。

最近息子に王位を譲ったスペインのフアン・カルロス前王は、2012年、ボツワナでゾウの狩猟を楽しんだことがばれて、WWW(World Wild Fund for Nature世界自然保護基金)スペイン支部の名誉会長職を解かれた。1968年に創設されたWWWスペイン支部には「名誉会長は国王」という規定があったが、スキャンダル後、圧倒的大多数の支持で規定は削除され、国王を名誉会長職から罷免したのだ。フアン・カルロス王は2006年にも、ロシアで慣れたクマを射殺したのがばれて物議を醸したことがある。(ボツワナでは、2013年に狩猟が全面禁止となった。)

今、一番非難を浴びている白人ハンターは、テキサス州のチアリーダー、ケンダル・ジョーンズ(Kendall Jones)。弱冠19歳。初めて撃ち殺した「猛獣」はシロサイ。13歳の時だ。14歳で初めてのゾウを殺す。その後もアフリカにちょくちょくやって来ては、狩猟農場などに大金を支払って、動物を殺しまくっている。

ケンダル・ジョーンズは「公人」(public figure)としてフェイスブックページを持っている。そして、自分が殺した動物とのツーショットを誇らしげにアップする。(以下の写真は、ケンダル・ジョーンズのフェイスブックから。他にも、カバ、シマウマ、カモシカなど、趣味で殺した動物は数知れない。)