今年は民間から力強い助っ人。大手アルコール飲料会社のブランドハウス(Brandhouse)が、ショック療法を取り入れた一大キャンペーンを張ることにしたのだ。名付けて、「Drive Dry」(素面で運転しよう)。
例えば、今週始まったテレビコマーシャル。一癖もふた癖もありそうな半裸の男たちが、自分自身のことや好みの相手について語っている。カメラが引くと、そこは留置場。部屋にひしめく男たちはどう見ても札付きの犯罪者である。意味ありげな字幕が画面に映る。「コイツラは、あんたにいい思いをさせたがってるんだ。」そして、決め手の一言。「飲んだら乗るな。」
男性の刑務所や留置場で、集団強姦が一般的に行われているのは周知の事実。「飲酒運転で逮捕され、留置場で一晩明かすことになると、身の保証はできないよ」といった脅し広告なのだ。
通常レイプの被害者と言えば女性だが、泣き寝入りするケースが殆ど。警察に通報するのは、25件に1件と推定されている。男が男に強姦された場合、男のコケンとかプライドとかが邪魔するせいか、通報率は更に低いという。勿論カウンセリングを受けることもなく、一生誰にも話せない心の傷を負うことになる。
受刑者の人権保護団体のゴールデン・マイルズ・ブドゥ(Golden Miles Bhudu)氏によると、この広告の描写は「正確」。刑務所や留置場では暴力、拷問、集団強姦、ギャング団の抗争、看守による虐待などが当たり前という。不注意や飲酒運転などが原因で留置所や刑務所のお世話になるハメになり、集団強姦や拷問の犠牲になるのはワリに合わない。「法律を守るのに越したことはない」「法律を破れば、その責任を取るには自分」というブドゥ氏、ブランドハウスの広告に好意的だ。
交通局も、この「民間とのパートナーシップ」を歓迎。南アでは毎年約6000人が、飲酒運転による交通事故で命を落としている。また、交通事故死した人の半数の血液から、100ml当たり0.05グラム以上のアルコールが検出されている。
刑務所の悲惨な状況や人権侵害を告発するとも取れる広告は、管轄官庁にとってかなり不名誉なものだが、今のところ政府から苦情は出ていない。ブランドハウスではテレビ、新聞、ビルボードといった一般的広告メディアに加えて、パブや洗車場などでポスターを貼ったり、インターネットで流したりする予定とのこと。
(参考資料:2010年12月4日付「Saturday Star」など)
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