喜びで胸が一杯になったミーナ・ラムラカン(Meena Ramlakan)さん(42)の頬に、滝のような涙が流れる。大騒ぎの観衆に手と腰を振りながら、ステージに上がったミーナさんを花火と大拍手が迎える。
首にはセカンド・プリンセスのタスキ。頭には王冠。手にはトロフィー。
3000ランド(3万6000円)はたいて買ったサリーは無駄ではなかった。ジョハネスバーグからダーバンまで約600キロ運転し、宿泊代に8000ランド(9万6000円)も使ったけど、無駄ではなかった!
一方、観衆の中には「話が違う」と感じた人もいたに違いない。
確かに、主催者のHPにはこう書いてある。
「ミセス・インド・南アフリカに参加するには、プロのモデルや美人コンテストの優勝者である必要はありません。話をするのがうまく、頭が良く、前向きで、他の人にとってインスピレーションとなりさえすれば良いのです。」
(「会話上手で、且つ頭が良くて、且つ前向きで、且つ他人にインスピレーションを与える」女性が「美人コンテストの優勝者」より劣ったものという価値観がチラついて可笑しいが、それはさて置く。女性を見かけで評価することの是非に関する議論もあるが、それもここでは置いておく。)
「インド系南ア人の既婚者」という限定つきとは言え、一応「美人コンテスト」なのである。HPの掲載写真を見ても、「ミス・ワールド」や「ミス・ユニバース」より年長で太目で洗練されていないのは当然のことながらも、「きれいな奥さん」と近所で評判になる程度の女性ばかりである。
「Mrs India SA」のHPより |
優勝は出来なくても2位か3位には・・・とひそかに王冠に目をつけていたそれなりの「美女」は愕然としたことだろう。
残念ながら、ミーナさんの喜びは長く続かなかった。翌日、プリンセスの地位をはく奪されてしまったのである。ジョアニー・レディ(Joanie Reddy)さんの得点が、間違ってミーナさんに加算されていたというのだ。タスキ、王冠、トロフィーはすべてジョアニーさんに渡された。
そればかりではない。フォトショップを使って、コンテストの写真からミーナさんは消されてしまった。ビデオも再編集され、ミーナさんはカットされる。傷に塩を塗りこむとは、まさにこのことである。
主催者は「ミーナさんの名前が呼ばれた時、皆ショックを受けた。最下位か下から2番目だったミーナさんが、セカンド・プリンセスになれるはずがない」、とケンもホロロ。
ミーナさんにとっては、まさに天国から地獄へ真っ逆さま。インド系南ア人100万人の中で、大恥をかいてしまったのである。落ち込みのあまり、食べることも寝ることもできないという。屈辱の涙が滝のように頬を流れるのだった。
(参考資料:2010年12月16日付「The Star」など)
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