公然とオンラインショッピングで大麻を売るサイトが、南アフリカに少なくともふたつはある。
ひとつはハウテン州のフォーブラザーズ(www.4brothers.co.za)。その名の通り、4人の兄弟が2010年9月にHPを開設。バラエティに富んだ商品を説明書きと写真で紹介。「ハンマー」(ハンマーで殴られたような衝撃感があるのだろうか)、「オーロラ」(「とても素敵なメンタルハイ」)、「ビルダー」、「ベラドンナ」。。。。「サトリ」なんて商品もある。
お値段は1グラム125ランド程度(1500円)。「高いが路上で買うより安全」と消費者には好評だ。
南アフリカでは大麻は違法。それをインターネットで公然と販売する裏には、確固としたポリシーがあった。「大麻は安全で健康的だから、合法にすべき」という信念である。栽培・販売を合法化することで、南アの経済発展にも貢献できるという。
ジェイコブ・ズマ大統領や検察庁(National Prosecuting Authority:NPA)に合法化を求める手紙を書いたが黙殺されたので、インターネット販売を開始した。
フォーブラザーズ商品をオンラインで購入するには、18歳以上の身分証明を提示し、以下の免責条項を受け入れる。
「私は個人使用の目的で大麻を購入しようとしています。犯罪を犯す意図は全くありません。また、政府による不法且つ不当な禁制が、大逆であることを理解しています。」
一方、「南アフリカ大麻大使館」と自称するのは、www.cannabis.co.net。
「このウェブページと掲載情報は、成熟した精神を持つ人間が対象」とし、「未成熟の精神を持つ成人はこのページから退出し、真実を扱えるほど成熟してから戻って来てください」とある。
南ア警察のエリート捜査班で組織犯罪・経済犯罪を担当する「ホークス」のスポークスマンによると、今のところ捜査を開始する予定はない。それどころか、「違法なことを公然とするのは、『ハーイ。僕は犯罪者です。逮捕してくださ~い』と言ってるみたいで、馬鹿げている」とあきれる。
NPAでは、警察が動き出さないことには、起訴するかどうか決められないという。
「犯罪」を犯す側と取り締まる側の双方がこうまでおっとりしているのは、日本と違って、大麻が大したことと思われていないからだ。簡単に入手できる、安価なリクリエーションドラッグなのだ。
また、歴史的背景もある。反アパルトヘイト運動の中で、強力な市民社会が形成された。特に都会に住む人々は、国家権力による抑圧に敏感で、言論の自由や人権の保護に熱心である。
売春や大麻の合法化が活発に議論され、大麻が教えの中心をなすラスタ主義の信奉者が、トレードマークの赤、黄、緑のニットの帽子をおおっぴらにかぶっているお国柄でもある。
大麻の合法化を求めるウェブサイト「Below the Lion」は、4人兄弟の写真入りインタビューを掲載している。
http://www.belowthelion.co.za/a-spliff-a-word-with-4-brothers-an-online-coffeeshop-for-south-africans/
(参考資料:2011年1月23日付「Sunday Times」など)
上記の大麻販売ウェブサイトは、ふたつとも削除されました。(ポリシーを持って面白いことをするサイトが、少なくともふたつ減ったという意味で)残念です。
返信削除4人兄弟のインタビュー記事はまだ健在。英語がわからなくても、4人の無邪気でキュートな写真をご覧ください。