めちゃめちゃな請求書を送って来るジョハネスバーグ市が、市民の不満、マスコミの批判の集中砲火を受けてはや数年。改善の気配ゼロの中、先週、アモス・マソンド(Amos Masondo)市長とパークス・タウ(Parks Tau)財務部長が「危機」の存在を否定。それどころか、「ささいな問題が若干あるだけ」とうそぶいた。
これに真っ向から挑戦したのが、ブライアンストン地区に住むリチャード・オフレアティ(Richard O'Flaherty)氏。ジョハネスバーグ市に委託された未払い料金取り立て会社「インクェスト」(In-Quest)から、2億284万1609ランド(24億3410万円)の水道代請求が送られてきたというのだ。
『スター』紙の計算では、オリンピックプールを5439個一杯にできる水量、市水道局の年間予算の8%に当たる金額。
最初は大ショックを受けたオフレアティ氏。正気に返って、あまりのバカバカしさに、笑いがとまらなくなった。
早速、インクェスト社に電話。3回かけてやっと電話に出たアシュレイ・シン係員は、オフレアティ氏がこれまでの水道代をすべて払っていると請け合い、システム上の間違いを訂正すると約束してくれたが、その後同社とは連絡が取れなくなった。
どこからこんな間違いが起こったか。
オフレアティ氏の携帯電話に送られたメッセージはこれ。
Dear RICHARD VINCENT O'FLAHERTY-COJ Acc no.202841609 Reminder to pay outstanding balance of R202,841,609.00 or contact In-Quest 0114759919 or 0114758608
気がつきましたか? 気がつかない? もう一度じっくり読んでください。
そう、口座番号と請求額が同じ数字。口座番号を請求額として、インプットしてしまったのである。
オフレアティ氏の例は、氷山の一角。昨年11月以来、4万世帯以上が電気または水道を止められたが、その多くはちゃんと料金を支払った、またはとても払えない法外な料金を請求された挙句のことだ。
ジョハネスバーグ市の問題は、地方政府・中央政府に強力なコネを持つものの、経験も実績もない企業がITシステム改革の入札を得たことにあるという。
同じような問題が全国の自治体で起こっているため、地方自治体を担当するシケロ・シケカ(Sicelo Shiceka)大臣は、現在地方自治体の管轄となっている電気・水道・固定資産税などの取り立てを、国税庁に任せることを検討中。
さすが『メール&ガーディアン』紙に「クビ」を宣告されただけのことはある(2010年12月28日付「内閣の通信簿 「メール&ガーディアン」紙」参照)。自治体の行政力向上努力は最初から頭になく、他省に丸投げするつもりらしい。
国税庁は確かに、南アフリカで最も有能な(「唯一機能している」と言う皮肉屋も多い)役所だが、余分な仕事を任されすぎて、共倒れになることがないよう祈っている。
(参考資料:2011年2月1日付「The Star」、2月2日付「The Times」など)
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