プーチン側近時代のヤストルジェムブスキー(The Times) |
2008年に退官してから、どういう経緯からか、アフリカでドキュメンタリー映画の制作を開始。2012年、プロデューサー兼監督として初めての作品を発表。アフリカの部族の生活を描いた『Africa, Blood and Beauty』(アフリカ 血と美しさ)だ。
ドキュメンタリー映画監督になったヤストルジェムブスキー(Bank of Cyprus Cultural Foundation) |
野生動物を殺すのも好きらしい(Sportsmen on Film) |
最新作は今年公開された『Ivory: A Crime Story』(象牙 犯罪物語)。3年かけて、30か国で撮影。250時間もの映像を1時間27分にまとめた。制作費用100万ドル。野生のゾウが15分に1頭という空恐ろしいペースで、象牙目当ての密猟のために命を落としている現状を憂えて制作したというこの映画は、中国、ベトナム、タイの大物象牙バイヤーを名指しで非難している。
『Ivory: A Crime Story』ポスター(IMDb) |
既にモントリオール、ローマ、ニューヨークなどの映画祭で賞を受賞。ローマ法王も、ナイロビでゾウの密猟について話をする前に、この映画の短縮版を見て予習したという。
(『Ivory: A Crime Story』の公式予告編。ショッキングな映像も含まれています。)
3年前、環境問題に熱心なレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)に予告編を見せた。プロジェクトに財政援助をしてくれるか、映画の語り手になってくれることを期待していたが、どちらも実現しなかった。
レオナルド・ディカプリオ(Wikipedia) |
それもそのはず。ディカプリオは象牙目的の密猟に関するドキュメンタリーを自分で制作したかったのだ。
ディカプリオがエグゼクティブプロデューサーを務めたドキュメンタリーは『The Ivory Game』。2016年9月にトロント映画祭で初演され、高い評価を受けた。
『The Ivory Game』ポスター(IMDb) |
ディカプリオの作品もヤストルジェムブスキーの作品も、アカデミー賞の呼び声が高い。相乗効果を生み出して、ゾウの密猟に対する意識向上、世論の盛り上げ、密猟取り締まり強化、象牙の需要減少に貢献してくれることを切に願っている。
(『The Ivory Game』の公式予告編。)
【参考資料】
"Saving the elephant is movies' cause du jour" (2016年12月8日付『The Times』)
"Prominent Russians: Sergey Yastrzhembsky" など
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