2017/09/04

口座に間違って大金が振り込まれた女子学生 ラッキー!と使い込み

ある日突然、自分の口座に1200万円振り込まれていることに気が付いたらどうしますか? どこから振り込まれたか、そして何らかの間違いであることを知っていたら・・・?

殆どの日本人は振り込んだ人に教えてあげるだろうなあ。。。

実は、「もしも」の話ではなく、南アフリカで実際に起こったこと。

舞台はイーストロンドン(East London)のウォルター・シスル大学(Walter Sisulu University)。2年生のシボンギレ・マニ(Shibongile Mani)は会計学を専攻する27歳。国の奨学金制度NSFAS(National Student Financial Aid Scheme)から月1400ランドの援助を受けている。

NSFASの奨学金でカバーされるのは学費、家賃、食費、本代、交通費だ。NSFASは奨学生ひとりひとりに口座を設け、カードを発行する。学生はそのカードを使って本と食料を買うことになっている。

今年6月1日、シボンギレのNSFAS口座にいつもの1400ランドではなく、1410万ランドが振り込まれた。1万倍の金額!

シボンギレはどうしただろうか? 即座にNSFASに間違いを通報? それとも、しばらく悩んでからNSFASに報告?

いやいや、「ラッキー!!」とばかりに、早速贅沢三昧の生活を始めたのだ。

縮れ毛の黒人はストレートヘアに憧れるらしく、ウィッグをつける女性が多い。憧れは南米産の人毛。でも何万円もするので、普通の人は安物の人工毛ウィッグを購入する。

シボンギレは自分と友人たちを大好きなビヨンセに変身させようと、ペルー産人毛のウィッグとデザイナーブランドの服で身を包んだ。

ペルー産人毛ウィッグをかぶって得意げなシボンギレ

そして、自分と友人たちに1台10万円以上のiPhone 7を購入。更に、豪華パーティーを日常的に開催。学生のパーティーの酒は安いビールと相場が決まっているが、シボンギレのパーティーで出された一番安い酒は、700ランド(6000円)のジョニーウォーカー・ゴールドだったという。

シボンギレの贅沢パーティー

当然、周りの学生たちは怪しいと思い始めた。

そんな時、シボンギレがNSFASカードを使ってスーパーで買い物をした時のレシートが誰かの目にとまった。レシートには学生の名前、学生番号などに加え、NSFAS口座の残金が記載されている。このレシートによると、シボンギレの口座残金は「13659249.13」。1365万9249ランド13セント。

ソーシャルメディアで流布したレシート

誰かがレシートの写真をソーシャルメディアでシェアした。シェアがシェアを重ねる。シボンギレの大名生活を可能にしたのが何だったのか、学生たちが思い当たるのに時間はかからなかった。

NSFASに問い合わせたのは、学生組織SASCO(South African Students Congress)ウォルター・シスル大学支部で役員を務めるサムケロ・ムカイ(Samkelo Mquhayi)さん。NSFASがチェックしたところ、間違って1410万ランドが振り込まれていたことがわかった。(6月分の奨学金支給がいつもより随分多かったのに、指摘されるまで2か月以上も気が付かないNSFASもトロいよな~。)

振り込まれてから、NSFASに使い込みがバレるまでの日数73日。使った金額計81万8000ランド(約700万円)。平均して1日に約1万1000ランド散財した計算になる。もしバレなければ4年も遊べていたわけだ。

SASCO支部長のゾリレ・ザミサ(Zolile Zamisa)さんは「この事件にショックを受けている」という。「何千人もの学生が生活に困っていることに対し、最近抗議行動を行ったばかり。それなのに、シボンギレは浪費生活を送り、高級シャンペンクラブなどで友だちの誕生会を開いたりしていた」。

シボンギレは何を隠そう、政党PAC(パンアフリカ会議)の学生組織Pasmaの幹部。活動家なのだ。学生が置かれた状況改善を求める立場にある人間が、奨学金を不正に使いまくっていたわけだ。

NSFASカードでは食料と本以外、買えないことになっている。ペルー産人毛ウィッグや、iPhone 7や、ジョニーウォーカー・ゴールドや、高級クラブの勘定には使えない。しかし、店によっては、食料を買ったことにして、現金をくれるところもあるらしい。大学当局は、シボンギレがどうやって高級品を購入したか捜査する予定。

一方のシボンギレは、コメントを求めた新聞『デイリー・ディスパッチ』(Daily Dispatch)に「間違いを犯したのはどう見ても私じゃない。大学とNSFASに電話してよ」とうそぶいた。

だが、強気は長く続かなかった。

犯罪法の専門家によると、「間違って振り込まれたと気が付いた時点で、窃盗を犯したことになる」。(もちろん、気が付いて直ちに返済すれば、問題なしだろうけど。)

それに、たとえ大学が甘く対処し、窃盗罪で逮捕されなくても、NSFASの奨学金は返済が原則。シボンギレは700万円の借金を抱えてしまった。

では、シボンギレはどうしたか。

まず『サンデータイム』(Sunday Times)紙の取材を受けることに合意したものの、震える声で「具合が悪いの」と言って泣き出し、その場を逃げ出した。後で記者にショートメッセージを送り「トラウマを乗り切るために、臨床心理士の治療を受けている」。また、故郷の村で伝統儀式を行ったという。お祓い・・・?

トラウマとか、お祓いとか、使い込みは自分の意思で行った行為なのに、ちょっと虫が良すぎない?


【参考資料】
"Party over for 'millionaire'" The Times(2017年8月31日)
"Therapy amid teas for SA's richest student" Sunday Times(2017年9月3日) など

【関連ウェブサイト】
NSFAS (National Studen Financial Aid Scheme)
SASCO(South Africans Students Congress)
Walter Sisulu University

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