2017/09/11

世界で最もストレスが大きい国は? ブルームバーグのランキング

アメリカの金融メディア企業「ブルームバーグ」(Bloomberg)は公表されている統計資料を駆使して順位をつけるのが大好きだが、そのひとつに世界各国のストレス度ランキングがある。

考慮しているのは以下の7項目。

  • 人口10万人当たりの殺人率
  • 一人当たりのGDP(購買力調整済)
  • 所得の不平等度(ジニ係数)
  • 汚職の認識度
  • 失業率
  • 都市の大気汚染
  • 平均寿命

まず項目ごとに点数をつける。たとえば、殺人率が一番低い国は0点、一番高い国は100点。残りの国には相対的な点数がつけられる。そして、7項目の点数を合計し、7で割った値をストレス度とみなす。


そうやって得られた値が正しいストレス度を表すかどうかには疑問がある。この7項目がストレスを測る上での適正な尺度であるかどうか、また、この7項目に均等な重要度を与えるべきかどうか、異論があることだろう。

そもそも何をストレスと感じるかは、個人によって随分違う。ひとりの人にとって耐えられないストレスになることが、別の人には全然気にならないかもしれない。それどころが、俄然やる気を起こさせる「元気の元」になる可能性だってあり得る。

それに、個人レベルでは、人間関係や仕事や健康や収入といった身近なことがストレスの大きな原因だろう。

しかし、ブルームバーグのランキングは、そのような主観的な要素は考慮せず、公に入手できる調査統計を用いている。

この7項目で点数が高い(つまり好ましくない)国の筆頭は、

  • 殺人率・・・エルサルバドル、ベネズエラ
  • 一人当たりのGDP・・・バングラディシュ、パキスタン、インド、ナイジェリア
  • 所得の不平等度・・・南アフリカ、コロンビア
  • 汚職・・・ベネズエラ、バングラディシュ、ナイジェリア
  • 失業率・・・マセドニア、ギリシャ、ボズニア、スペイン
  • 都市の大気汚染・・・モンゴル、パキスタン、エジプト
  • 平均寿命・・・ナイジェリア、南アフリカ、インド

総合点を世界地図で見るとこんな感じ。ストレスが少ないのが濃い青、多いのが濃い赤だ。


あれ、色のついていない国がたくさんある・・・?

そう、ブルームバーグが選んだ7項目全部の調査がされていない国が多いのだ。7項目すべての情報を得ることができたのは74か国。世界の国の4割弱だ。

色のついていない国の大部分がアフリカ、中東、中央アジア。北朝鮮も、マレーシアも、更にはニュージーランドも色がついていない。

入っていない国の方が多いことを頭に入れて、ランキングを見る必要がある。

さて、ストレスが高い国トップ10は・・・? (色のついていない国の数値が揃えば、順位が変動する可能性大。)


順位 国名 点数
1 ナイジェリア 70.1
2 南アフリカ 70.0
3 エルサルバドル 57.6
4 モンゴル 55.4
5 グアテマラ 55.1
6 コロンビア 53.6
7 パキスタン 52.7
8 ジャマイカ 52.3
9 マセドニア 52.0
10 ボリビア 51.5


ナイジェリアと南アフリカは殆ど同じ値。3位以下を大きく引き離している。

南アフリカでストレスが大きいというのは、住民として大いに頷ける。日々暮らしている限りにおいては、それが普通と感じているから、それほど気にならないが、日本やヨーロッパに旅行すると、「普通」と思っていた南アフリカの生活が、いかにストレスだらけかに気づき愕然とする。

1日24時間犯罪対策を怠らず、身の回りに常に気を配るストレス。公共サービス(市役所・電気・水道・警察など)がうまく機能せず、毎日が小さい戦いの連続であるストレス。数えだしたらキリがない。あれやこれやで、無意識のうちに神経がビリビリしている。それが普通の状態であり、神経がビリビリしていることにすら気がつかない。

ストックホルムの友人は、スウェーデンがいかにひどい国か、文句を言いだしたら止まらない。「ねえ、聞いてよ。ひどいだろう!」という彼に同情を示しながら、内心は「なんでそんなことが問題になるの?」。その程度の不満しかないなんて、羨ましい限り。

日本人も不満が多いけれど、外から見ると、色々な面で素晴らしい国だと思う。

ご参考までに、1位から74位までの全リストは以下の通り。ストレスが一番少ないのはノルウェー。次いで、ルクセンブルグ、スイス、スウェーデン、オーストラリア、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ドイツ、カナダ。日本は60位、アメリカは54位となっている。

順位 国名 得点
1 ナイジェリア 70.1
2 南アフリカ 70.0
3 エルサルバドル 57.6
4 モンゴル 55.4
5 グアテマラ 55.1
6 コロンビア 53.6
7 パキスタン 52.7
8 ジャマイカ 52.3
9 マケドニア 52.0
10 ボリビア 51.5
11 イラン 51.4
12 ベネズエラ 51.1
13 ボズニア・ヘルツェゴビナ 50.2
14 インド 48.9
15 エジプト 46.4
16 メキシコ 46.3
17 ブラジル 45.3
18 フィリピン 45.2
19 バングラデシュ 45.0
19 エクアドル 45.0
21 チュニジア 44.8
22 パナマ 44.3
23 ブルガリア 44.2
23 ペルー 44.2
25 インドネシア 43.8
25 ロシア 43.8
27 スリランカ 43.4
28 セルビア 42.7
29 中国 42.3
30 ギリシャ 41.8
31 アルゼンチン 40.1
32 トルコ 38.5
33 コスタリカ 37.8
34 ラトビア 37.5
35 タイ 37.1
36 クロアチア 36.1
37 韓国 35.9
38 リトアニア 35.8
39 ルーマニア 35.6
40 チリ 34.4
41 ベラルーシ 34.1
42 モーリシャス 33.9
43 ポルトガル 33.8
44 スペイン 33.1
44 スロバキア 33.1
46 ポーランド 32.8
47 ウルグアイ 32.4
48 イタリア 30.4
49 チェコ 30.3
50 ハンガリー 30.0
51 イスラエル 28.6
52 エストニア 28.1
53 キプロス 27.3
54 アメリカ合衆国 25.7
55 マルタ 25.4
56 スロベニア 24.6
56 イギリス 24.6
58 アイルランド 24.3
59 フランス 22.8
60 日本 19.9
61 ベルギー 19.4
62 シンガポール 19.2
63 オーストリア 17.1
64 オランダ 16.9
65 カナダ 16.6
65 ドイツ 16.6
67 アイルランド 15.4
68 フィンランド 14.9
69 デンマーク 13.8
70 オーストリア 12.2
71 スウェーデン 12.1
72 スイス 9.2
73 ルクセンブルク 7.1
74 ノルウェー 5.4



【参考資料】
World's most stressed countries – ranked
Prozac World: These Are The Most Stressed Out Countries
Bloomberg Best (and Worst)

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