2010/08/11

絶滅の危機 ヒキガエルに愛の手を

ここはケープタウン郊外。雨が降る暗い夜道に現れた人々。懐中電灯をかざしながら、落し物でも探しているかのようにゆっくり動き回っている。時々しゃがんでは何かを拾い上げ、道の端まで歩く。

実は、ボランティアグループ「トードナッツ」(Toadnuts)の面々。直訳すると「ヒキガエル気違い」。世界でもケープ地方にしか生息しないWestern Leopard Toad(学名:Amietophrynus pantherinus)(和名は何でしょうね?)を守ろうという有志の集まりだ。

かつてはケープ地方の沿岸一帯に生息していたが、急速な都市化に伴い、棲みかがどんどん破壊され、現在その殆どが住宅地の庭に住む。だが、庭つきの家で優雅に一生を・・・というわけにもいかない。配偶者に巡り合い繁殖するには、水が必要だからである。とはいっても、町中のこと。なんとか池にたどりつかないといけない。

不便なところに住んでいると、最寄りの池まで5キロということもある。身長14センチのヒキガエルにとっては、ものすごい距離である。しかも車道を横切るという離れ業が要求される。無事交尾を終えたら、普段住んでいる庭まで戻るから、場合によっては何度も命がけの目に遭う。

このヒキガエルの繁殖期は、7月から9月の間の僅か数日間。大抵雨が降る夜で、しばしば満月の日が選ばれる。満月の夜でも雨が降っているから、運転手には見えにくい。そのため、多くが交通事故の犠牲となる。一匹のメスが産む卵は約千個。つまり、メス一匹が道路を安全に渡れるかどうに、千匹のオタマジャクシの命がかかっているのである。

そこで登場したのが「ヒキガエル気違い」。今年は7月22日、夜でも交通量が多いシルバーマイン道路に集合。101匹のヒキガエルを無事、道路の反対側まで届けた。それでも、約25匹が轢き殺されたという。この道を通るマイカー運転手に、雨の夜はゆっくり走るよう呼びかけている。

Western Leopard Toadは、絶滅の危機にさらされている。ケープ地方の皆さん、自宅の庭に住んでいるのを見つけたら池を作って、せめて「マイトード」の命だけでも助けては?



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(参考資料:2010年8月1日付「Sunday Times」など)

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