警察が司法大臣と王妃の不倫現場に踏み込み、大臣を逮捕。そんなショッキングな事件が起きたのは、南アフリカに隣接する小国スワジランドでのこと。国王は台湾を公式訪問中だった。
大臣は国王の幼友達。国王の不在時、王妃は軍隊の制服に着替え、兵隊のふりをして宮殿を抜け出し、大臣とホテルで落ち合っていた。ふたりの関係を嗅ぎつけたのは、諜報機関のエージェント。ンドゥミソ・マンバ大臣は辞任した。
ムスワティ国王はまだ42歳。ふたりの間には、5歳、3歳、0歳の子供3人がいる。王妃の座を危険にさらしてまで、彼女を不倫に駆り立てたものは何か、と野次馬根性をあおられるが、実はこのノタンド・ドゥベ夫人、ムスワティ3世の12番目の奥さんなのである。16歳の時国王に見初められ、現在22歳。国王は毎年のように新しい妻を娶っており、ノタンドの後にも2人と結婚した。
スワジランドは人口100万人強。国民の60%が1日1.25米ドル以下で生活している貧しい国だ。失業率約40%。HIVの感染率、世界一。成人の26%、20代に限定すると50%以上がHIV陽性といわれる。平均寿命は36歳。世界で一番短い。
国民が苦しんでいるのをよそに、アフリカ最後の絶対王政を敷き、贅沢三昧を楽しむムスワティ王は評判が悪い。揃いも揃って浪費好きの妻たちにそれぞれ宮殿と高価なBMWを与え、国王自身のマイカーのお値段は50万ドル。宮殿を3つも持っている。
妻選びは通常、伝統行事「リードダンス」(葦の踊り)の場で行われる。毎年国中から若い娘約2万人が集まり、国王の母親に葦を捧げ、労働を提供し、ダンスを披露するもので、本来は国王の妻選びとは関係ない。だが、ムスワティ王は、腰のまわり以外は裸同然の娘たちの中から、お気に入りの美女を選んで妻にしてしまうのである。
スワジ王は一夫多妻である。国内の平和を保つため、各部族からひとりずつ妻を娶るという政治的意図からだ。先代のソブザ2世が亡くなった時には、妻約70人、子供100人以上、孫が1000人以上いた。だが、妻たちは各部族の有力者の娘で、性格・資質が重視され、同じ場所に住み、移動もバスで全員一緒だったという。見初めた可愛い高校生を学校から拉致し、母親に訴えられたこともあるムスワティ王とは大違いである。
2004年には第5夫人と第6夫人の不倫が発覚。宮殿を去った。第5夫人は現在ロンドン、第6夫人は南アフリカのソウェトに住んでいる。今回の第12夫人の不倫発覚で、ムスワティ王は「恥をかいた」とカンカン。不倫情報を外部に漏らした人間を突き止めると息巻いているらしい。
さて、ノタンド王妃とマンバ元大臣の運命やいかに? イスラム教国とは違い、セックスには大らかなお国柄のおかげで、一番重い処分でも元大臣は国外追放、王妃は両親の家に軟禁で済みそうだ。加えて、賠償金代わりに、牛の提供を求められる可能性もあるとのこと。
(参考資料:2010年8月1日付「Sunday Independent」 など)
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