「世界経済フォーラム」(WEF:World Economic Forum)の第23回アフリカ会議が5月8-10日、ケープタウンで開催された。
世界経済フォーラムはジュネーブに本部を置く非営利財団。毎年1月末にダボスで開催される年次総会では、会員企業千社のCEO、政治家、学者、それにNGO、宗教指導者、メディアの代表者が一堂に会して、世界を悩ます問題とその解決策を話し合う。
今回のアフリカ会議には、アフリカ各国から大統領、首相、外交官、閣僚、企業の代表などが集まり、アフリカ大陸における持続的経済発展の道を模索した。
WEFのHPにはこうある。
「2012-13年度、サハラ南部アフリカでは5%の経済成長が予測されており、アフリカは発展途上大陸から世界の経済成長の中枢へと変貌を遂げつつある。」
「世界銀行によると、アフリカのほぼ半分の国が中間所得レベルに達した。しかし、第一次産品の価格変動、格差拡大、若者の失業がアフリカ大陸の明るい前途に暗い影を射している。」
フォーラムに参加するアフリカの指導者たちは、競争力増強、持続的成長の実現、インフラ整備や経済の多様化の促進などを話し合う、とホスト国南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領は説明している。
つまり、「今は比較的高い経済成長を遂げているものの、多くの問題を抱えた貧しいアフリカをどう発展させるか」を話し合う、かなり真面目な会議なのである。
そこで顰蹙(ひんしゅく)を買ったのが、アフリカ大陸最後の絶対王政を敷く、スワジランドのムスワティ(Mswati)王。
5つ星の「タージホテル」(Taj Hotel)に高級車の一団が警察の護衛を受けて到着。ムスワティ王、現在13人いる妻のナンバーツー、ラマツァ(LaMatsa)夫人、執事、子供たち、毒味役(!?!)、それに複数のボディガードが計38室にチェックインした。
ムスワティ王と第2夫人は、194平方メートル(約60坪)の最高級スイートルーム。3泊の部屋代、約40万円。
タージホテルの一番安い部屋が1泊約1万7千円、3泊で約5万1000円。37室で188万7000円。おつき全員が一番安い部屋に泊まったわけではないから、部屋代だけで250-300万円かかったのではないか。
加えて、飛行機代、運転手・車両代、飲食費、お小遣い…と加算していくと、莫大な金額になるであろう。
何故、ヒンシュクを買ったかというと、スワジランドはサハラ以南アフリカで最も貧しい国のひとつであり、その原因は、国民のために何もしないどころか、散財に散財を尽くすムスワティ王にあるからだ。大体、「世界経済フォーラム」に子連れで来る必要などゼロである。
高経済成長を遂げるサハラ南部アフリカの中にあって、スワジランドの成長率は僅か0.3%(2011年推定)。失業率推定40%。HIV感染率世界一。49歳という平均寿命は、世界で下から4番目。
なのに、ムスワティ王の贅沢は留まるところを知らない。今年4月19日の45歳の誕生日には、高級車を大量に購入したといわれる。44歳の誕生日には、ジェット機を自分にプレゼントした。勿論、支払は全て国庫から。
不満を持つ国民は否応なく弾圧される。先月の絶対王政40周年記念では、民主化を求める活動家を厳しく取り締まったらしい。
スワジランドの経済は、完全に南アフリカに依存している。南アフリカとの貿易は輸出の約70%、輸入の約95%占めるといわれる。歳入の60%が南部アフリカ関税同盟(SACU:Southern African Customs Union)の配当金。それを管理するのは、南アフリカ。
つまり、南アフリカ政府は、スワジランドの民主化に本気であるなら、いくらでも圧力をかけることが出来る立場にあるのだ。
それをしないのは、ムスワティ王に体質が似ているズマ大統領にやる気がないからだろう。まさか、ムスワティ王を「あるべき理想の姿」(role model)と思っているわけではないだろうが。。。(ズマのことだから、思っているかも。。。)
(参考資料:2013年5月13日付「Sunday Times」など)
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