2013/07/26

世界で一番お金がかかる都市はルアンダ。東京、首位から転落。

ルアンダ(Luanda)と言われて、どこかすぐわかる人はかなりのアフリカ通。「1990年代中頃に大虐殺があった国じゃないの?」という人は、残念賞。あれはルワンダ(Rwanda)でした。

ルアンダはアンゴラ(Angola)の首都。地図でみると、ナミビアの北、南アフリカの北西に位置する。国境を接しているのはナミビア(南)、コンゴ民主共和国(北)、それにザンビア(東)。ポルトガルの元植民地。人口2000万人弱。一人頭のGDPは6346ドル(2012年推定)、世界で107位。

「アンゴラって、アンゴラヤギとかアンゴラウサギから取れる、セーターなんかに入っている繊維? すると、アンゴラはアンゴラヤギやアンゴラウサギのふる里?」・・・ではありません。そっちは「Angora」。

(外務省HP)
頻繁に国際メディアに取り上げられる都市ではないが、そのルワンダがコンサルタント会社「メーサー」(Mercer)が毎年行っている「世界生活費調査」(Worldwide Cost of Living Survey)で、昨年の一位東京を押しのけて栄冠を手にした(って、必ずしも自慢できるわけじゃないけど)。世界214都市で行われた、外国人の生活費比較調査だ。

映画のチケット一枚はチューリッヒで20.66ドル、シンガポール9.28ドル、ジョハネスバーグ5.91ドル、ロンドンでは20.10ドル。コーヒー一杯の値段はチューリッヒで5.98ドル、シンガポールで4.84ドル、モスクワで8.29ドル。豪華な2寝室アパート(家具なし)の場合、ルアンダで月6500ドル、モスクワで4600ドル。

物価が低い国でも、駐在員が快適に暮らすためには、かなりの出費を強いられるものだ。多くのアフリカ諸国のように、インフラが整っておらず、物資が不足しており、一般国民が非常に貧しく、贅沢三昧が出来るのは一部エリートと外国人駐在員だけ、というような国で、外国人が本国レベルの生活をしようとしたら結構大変である。

この調査のベースになっているのは、ニューヨークの物価。つまり、対ドル為替レートも順位に大きく影響する。去年と今年の調査の間にユーロが米ドルに対して9.4%強くなった一方、アジアの都市の半数は弱くなったために順位が落ちた。

その良い例が日本。昨年は東京、大阪、名古屋がトップ10に入っていたが、今年は東京の3位だけ。円が24%も安くなったためだ。

今年の上位10位は、
1    ルアンダ(アンゴラ)
2    モスクワ(ロシア)
3    東京(日本)
4    ンジャメナ(チャド)
5    シンガポール(シンガポール)
6    香港(中国)
7    ジュネーブ(スイス)
8    チューリッヒ(スイス)
9    ベルン(スイス)
10  シドニー(オーストラリア)
4位のンジャメナ(N'Djamena)はルワンダ以上にマイナーだろう。チャド(Chad)の首都だ。チャドは人口1000万人強、一人頭のGDP1865ドル(2012年。出典はIMF)、世界第150位。中央アフリカにあるフランスの元植民地。国境を接するのはリビア(北)、スーダン(東)、中央アフリカ共和国(南)、カメルーン(南西)、ナイジェリア(南西)、ニジェール(西)。随分と国境を接する国が多いが、それもそのはず、海を持たない、アフリカのど真ん中の国である。

(外務省HP)
では、外国人は何故、よりによってルアンダやンジャメナに住むのだろうか?

アンゴラにはダイヤモンド、石油、金、銅が豊富にある。また、国連が「世界で7番目に貧しい」というチャドでは石油が見つかった。金やウランが埋蔵されているという話もある。両国とも長年の内戦で苦しんだが、今は平和である。外国企業が安心して投資できるのだ。

残念ながら、他のアフリカ諸国同様、儲けているのは一部エリートのみ。国民の大多数は貧困にあえいでいる。アフリカの豊かな資源が国民全体の生活向上に結びつく日が、いつか訪れるのだろうか。

(参考資料:2013年7月24日付「Business Day」など)

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1 件のコメント:

  1. 「アンゴラは、飛び地のカビンダがコンゴ共和国とも国境を接しています。」とのご指摘を頂きました。地図を見ると確かに・・・。ありがとうございました!

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