2010/05/14

アンゴラ人富豪の息子誘拐事件

5月9日午前9時半、南ア在住のアンゴラ人でダイヤモンド富豪、ファウスティーノ・アモエス氏の息子サミュエル君(5歳)がジョハネスバーグの教会で誘拐された。

犯人からの身代金要求電話に震える声で答える母親、側で盗聴器・逆探知機を駆使する捜査官、身代金の金額と受け渡し場所に同意する両親、犯人逮捕に全力をあげる警察、数日間報道規制をしき、動向を見守るマスコミ・・・と勝手に想像を膨らませていたら、翌月曜日には、まだコンタクトのない犯人に対し、息子を無事返してくれるよう訴えかける母親の写真が新聞に大きく掲載された。火曜日の朝、現金15万ドルと引き換えに、サミュエル君は母の腕に無事抱かれる。

サミュエル君の家族は全く対応してくれない警察を見限って、なんと優秀な私立探偵を雇い、自力で息子を取り戻したのである。

一部の例外はあるものの、南アの警察官は概ね無能と国民に思われている。盗難や交通事故で警察に届けに行っても、調書もろくにとれない警察官が多い。国民も、盗難保険や車両保険の申請に事件番号が必要だから届けるだけで、警察に期待しているわけではない。保険に関係なければ、重大な事件でない限り、届けないこともよくある。

だが、有名人や政界財界の大物が被害者だと、あっという間に犯人が捕まるから、やれば出来ないことはないのだろう。とすると、サミュエル君の場合は、父親が大富豪であるとは言え、一般には無名の人、それもアンゴラ人であることが警察の態度に影響したのだろうか。南ア黒人が周辺諸国のアフリカ人を嫌う傾向から、つい勘ぐってしまう。

大変なのはサミュエル君の今後である。本人の名前も顔も、15万ドルをポンと出す親の、職業も名前も顔も住所も大きく報道されてしまった。恐らく、全国的どころか、周辺諸国中に知られてしまったのではないか。二匹目のドジョウを狙う犯罪者から身を守るため、要塞のような家に住み、友達と遊ぶのにもボディガードがつくような子供時代を送らないですむことを祈っている。

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