南アフリカは失業率が高い。公式発表で約25%、実際は40%と言われる。そのため、雇用拡大が政府にとって大きな課題だ。
しかし、「何でもいいから仕事を作れば良い」というものでもない。高校進学率が97%、国民のほぼ全員が読み書き算数できる日本とは事情が違う。20歳以上の国民のうち、高校卒業以上の教育程度を有するのは白人65%、インド系40%、カラード17%、黒人は僅か14%。
とすると、手っ取り早いのは、公共投資で肉体労働者を増やす?
ところが、誰でも出来る職をいくら増やしても、雇用拡大につながらるとは限らない。
アドコープ(Adcorp)社の分析によると、働きたくない人間が沢山いるのである。
貯金を食い潰して生活している失業者でも、「職を提供されたら働く」という人は僅か43.3%。国の援助を受けている人だと、何と11.1%!「働かなくても国が面倒を見てくれるから、働かないに越したことはない」と考える人が余りに多いのだ。
因みに、公的援助を受けていない人の失業期間は、平均16か月。援助を受けている人の場合、平均21か月。
南ア国民約5千万人のうち、約1020万人が国から何らかの援助を貰って生活している。人口の20%以上だ。一人当たりの受給額平均は、年9539ランド(約10万円)。
強力な労働組合も、労働市場に負の影響を与えているという。
労働組合に加入していない人のうち、「残業をしてもよい」と答えたのは17.8%。それに対し、残業を気にしない労働組合員は9.3%しかいない。してもよい残業の時間は、非組合員2.4時間に対し、組合員0.9時間。一日ではなく、一週間の時間数だ。
元々、働くのが嫌いな国民性なのかも。。。
もうひとつの問題は、黒人優遇政策。大卒の黒人が12か月以内に仕事を見つける可能性は、白人より34%も高い。そのため、国外に出たり、起業したりする白人が多い。
更に、企業が求める人材を大学が生みださないのも問題という。管理職、エンジニア、法律、金融、会計、医療などの分野で80万人も人手が不足しているのに、芸術、人文、社会科学の分野の大卒60万人もが仕事を見つけられないのである。
南アフリカの労働市場は、重層的な問題を抱えている。
(参考資料:2012年1月11日付「The Times」など)
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