2018/01/18

トランプ大統領誕生までを振り返る(4)アメリカ1番 2番は我が国! オランダのジョークビデオが大ヒット 各国で疑似ビデオ続々作成


2016年8月から2017年2月までに別ブログに書いたトランプ関連記事転載の第4弾は、『アメリカ1番 2番は我が国! オランダのジョークビデオが大ヒット 各国で疑似ビデオ続々作成』(2017年2月6日)。

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TV番組の司会者が言う。「第45代アメリカ合衆国大統領の就任式を世界中が見守る中、トランプは世界に対し明快なメッセージを送りました。”お前たちを散々な目に遭わせてやる”。」(視聴者の笑い声)「いや、使った言葉は多少違いましたが。」

画面に映し出されたのは、就任式でのトランプ。



From this day forward, it's going to be only America First. America First.

つまり、「(自分が大統領になった)今日からは、アメリカ第一だ」。

番組司会者が言葉を続ける。「仲良くやった方が無難なので、この小さい我が国をトランプに紹介することにしました。ある意味で、それが一番トランプにアピールできると思ったからです。」

目が覚めたらまずテレビ、寝る前にもテレビ・・・という、テレビ大好き人間のトランプ大統領に訴えるには、ビデオという視覚メディアを使うのが最善というわけだ。

(余談。先週、米MSNBCの早朝報道番組『Morning Joe』に出演中の下院議員が、いきなりカメラに向かって話しかけた。「大統領、あなたがこの番組を今見ていることを私は知っています。話があるから、電話ください」。番組の後、連絡があったとのことだ。大統領府でアポを取ろうとするより、テレビで直接呼びかけた方が早いなんて・・・。)

そして、オランダの紹介ビデオが始まる。


This is a message from the government of the Netherlands.
(これはオランダ政府からのメッセージです。)

外国語のできないトランプに分かりやすいよう、英語のナレーションである。それも、トランプ訛りの怪しいアメリカ英語。トランプと同じ語彙を使って、トランプと同じ話し方をする。

「親愛なる大統領閣下。オランダの紹介ビデオにようこそ。すごい(great)ビデオですよ。最高に素晴らしい(absolutely fantastic)。オランダ建国の父オレンジ公ウィリアムは、スペインを相手に戦いました。スペイン人はどうしようもない卑劣な人たち(total scumbags)です。我が国相手に80年戦いましたが、負かすことはできませんでした。完全な負け犬(total losers)です。」

「オランダ人はオランダ語を話します。ヨーロッパで一番素晴らしい(best)の言語です。オランダ語が一番素晴らしい(best)単語を持っています。他の言語は太刀打ちできません(failed)。デンマーク語なんて完璧な駄作(total disaster)。ドイツ語はちゃんとした言語ですらありません。偽物(fake)です。」

こんな調子で、どうでもいいことが延々と続く。自分に関することは限りなく自慢し、敵や自分に批判的な人は容赦なくこき下ろす典型的なトランプの話し方。しかも、「You love it」「It's true」「huge」「enormous」などトランプ表現をちりばめている。徹底的にトランプをコケにしているのだ。

締めくくりは、「アメリカ第一ということは良く理解しています。でも、第二はオランダだと言ってもいいですか?



このビデオは1月23日にユーチューブにアップされて以来、なんと2百万回に近い視聴回数を記録。そして、ヨーロッパ各国のトーク番組が同様の自国紹介ビデオを続々発表!

まず、ドイツ。(紹介ビデオ部分は1分47秒から4分52秒まで。)



抜群のユーモアとウィットに溢れ、オランダ版のパロディとしてかなりよく出来ている。「ドイツ第二」と言いつつも、締めくくりは「ところで、ドイツを破壊しようと核兵器発射の赤いボタンを押すときのために・・・。これがドイツです」とイタリアの地図を出すところがニクイ。世界情勢に疎いトランプは、ドイツがどこにあるかも知らないだろう、と暗に皮肉っている。


これは、デンマーク。(紹介ビデオ部分は0分21秒から4分29秒まで。)




スイス



ベルギー。(「ベルギー第二。いや、10番目でもいい。」)




リトアニア。(「リトアニア第三。」最初から2番目を狙っていないのが可笑しい。)



ポルトガル。(紹介ビデオ部分は2分08秒から6分39秒まで。う~ん、長い上に、出来栄えはいまいち。)



この後も、各国でTV放送が終わり次第、ユーチューブにアップされるという。まとめ役はドイツ。「Every Second Counts」(everysecondcounts.eu)というウェブサイトまで作成している。「一秒でも大切」という意味だが、「second」に「秒」と「第二」をかけた駄洒落だ。



ヨーロッパでは国だけではなく、オランダ北部のフリースラント州までビデオを作成。(「アメリカ一番。フリースラント二番」)




参加しているのはヨーロッパだけではない。

例えば、カザフスタン。(「第二はカザフスタンと言ってもいいですか? いや、存在に気がついてもらえれば嬉しいです。」)




そして、インドまで。(「多くの国が紹介ビデオを作成していますが、ひどいものです。インドは紹介ビデオ不要! インドは世界中に拡散しているからです。」)




唯一大真面目なのがメキシコビンセント・フォックス(Vincento Fox)元大統領が「トランプ大統領。メキシコはあなたを歓迎しない」、エンリケ・ペニャ・ニエト(Enrique Peña Nieto)現大統領が「メキシコは壁建設費用を払わない」と怒りの演説。

(このビデオ、なくなっていた。「この動画に関連付けられていた YouTube アカウントが停止されたため、この動画は再生できません」とのこと。)


メキシコとの国境に壁を築き、建設費用をメキシコに負担させるとか、メキシコからの輸入品に20%の関税をかけるとかいった過激な発言を続けるトランプに対し、メキシコの指導者の怒りはもっとも。ニエトはアメリカに出向いてトランプと会談することになっていたのをドタキャン。事態収拾のための電話で、トランプはメキシコに米軍を派遣すると脅した。国家元首の仲直り電話で脅迫するなんて、信じられないほどの外交常識、政治感覚欠如。子供の喧嘩じゃあるまいし。いや、子供の喧嘩の方がましだろう。

(オーストラリア大統領、メキシコ大統領との電話の内容が相次いでリークしたが、ホワイトハウス職員の忠誠心がかなり低いようだ。)

世界を巻き込んだ自国紹介ビデオシリーズ、日本からの参加はあるかな? 日本人は政治的お遊びが苦手だし、トランプに対する認識や理解や知識がそれほど深そうでないから、期待しない方が良いかも。。。

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