ところが、南アフリカにいれば安全、と唱える予言者がいる。
「終末後の新世界構築の責任者」を自負するベルギー人、パトリック・ゲリル(Patrick Geryl)氏だ。2012年12月21日に、火山爆発、大地震、大津波が世界中で起こるが、ゲリル氏が用意した南アフリカの農場は安全という。避難場所として200ヘクタールの土地を購入し、過去5年にわたり、「南アフリカに避難しよう!」と人類を説得してきた。参加費約100万円。
今回の「終末予言」はマヤのカレンダーに基づくという。惑星が一直線に並んで、地球の重力に異常が起こり、別の惑星が地球と衝突し、太陽面が激しく爆発し、ひっちゃかめっちゃかの挙句、人類が死に絶える・・・というものらしい。
「予言」に便乗した映画も出来た。ジョン・キューザック(John Cusack)主演のハリウッド大作『2012』(2009年)の他にも、ビデオ屋直行、テレビ映画を含めて、ざっと調べただけで5本くらい見つかった。
一般の受け止め方は概ね、面白がるか冷やか。「終末予言」はこれまで何度もあり、当たったためしがない。「またか」というのが実感だろう。そういえば、「ノストラダムスの大予言」というのもあったなあ。
「なんで2012年までなんだ。」「スペースがなくなったんだよ。」 |
「惑星が一直線に並ぶのは珍しく、次回は2040年9月8日。今年の12月には絶対起こらない。また、1962年、1982年、2000年など、そう遠くない過去に起こっているが、地球に目に見える影響はなかった。」
米ブラウン大学(Brown University)のマヤ文明専門家、スティーヴン・ヒューストン(Stephen Houston)は、「マヤ族とアステカ族を混同したところから、今回の騒動が起こった」と見る。
「マヤのカレンダー」としてよくネットに出てくるのが、真ん中に顔があるこの石。実物はメキシコシティの国立文化人類学博物館にある。
しかし、実はマヤ族とは関係がない。マヤ文明が滅びて4世紀後に、現在のメキシコシティに世界最大の都市(当時)を建設したアステカ族のものなのだ。そして、カレンダーでもなんでもなく、アステカ族の時間と空間のイメージを表したものという。
マヤ族は終末予言を持たない。ハリウッド映画向けの大災害や破滅に満ちているのは、アステカ族の神話だ。しかし、アステカ族のカレンダーは1サイクルが終わるとリセットしてフリダシに戻るので、過去でも未来でも、年や日を特定することは出来にくい。「'76」というのが1976年を指すのか、1776年を指すのかわからないようなもの、と説明するのはカリフォルニア大学リバーサイド校(University of California, Riverside)の研究者カール・タウブ(Karl Taube)。
マヤ族のカレンダーもリセットするが、サイクルの後に数字を加えることにより、サイクルの前後関係がわかるようになっている。つまり、時系列が記録されるのだ。だから、とっくに滅びている文明であるにも関わらず、マヤのカレンダーから2012年までも読み取れるのである。
しかし、世界は「終末」を迎えることなく、継続すると信じるマヤ族にとって、2012年は単なるリセットの年。いくつかの暦の組み合わせによるサイクルの終わりでしかない。
十干と十二支を組み合わせると、60年でひとまわりとなり、還暦を迎える。それと似た感じか。甲子(きのえね)から始まって60年後にまた甲子。単なるサイクルであって、そこで世界が終わるわけではない。
マヤの場合、最低ふたつの暦を持つ。ひとつは365日で1サイクル、もうひとつは250日で1サイクル。このふたつだけ考慮すると、52年でひとまわりする。暦はこの他にもあるらしい。それらが西暦2012年12月21に当たる日に1サイクルを終え、翌日新しいサイクルが始まるわけである。
さて、12月21日まであと10日。ゲリル氏の南ア移住計画に乗った人は殆どいなかったらしい。それどころか、ゲリル氏本人も、南アに来ないようだ。面目を保つためか、「糖尿病のため、12月21日に南アフリカに行くことは不可能」と言い訳しているそうな。
「2012年までしかスペースがなかったよ。」「そりゃ、いつか大騒ぎする人が現れるだろうな。」 |
(参考資料:2012年12月10日付『The Times』、12月11日付『Huff Post』など)
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Patrick Gerylのいっている事は分かりますが、実際には人類は滅亡しません。私も彼の英文の本を2冊読みましたが、そういう事はおきないでしょう。何がおこるのかを正確につかんでいる存在は、このビデオで解決できます。
返信削除http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=h3CxmduVPc4#!