2011/08/21

麻薬中毒者が一念発起、テコンドー世界チャンピオンに

つい3年前まで、ンフランフラ・ンドロヴ(Nhlanhla Ndlovu)さん(30)は麻薬に溺れていた。常用していたのはコカイン、マリワナ、エクスタシー。

クワズルナタール州のバリト(Ballito)出身。1999年に母親が死亡し、11年生(日本の高校2年生)で学校をドロップアウト。ガードナー(gardener)、つまり庭師として働いた。

庭師、というとなんとなくプロフェッショナルに聞こえるけれど、南アフリカでは教育も実務経験もない男性にとって、一番手っ取り早い職業。マダムに言われた通り、芝を刈り、雑草を取り、植物を植えたりするのが仕事。

間もなく酒と麻薬にはまり込み、地域の嫌われ者になった。なにしろ短気で喧嘩っ早い。ちょっとしたことで、人を殴ってしまう。

転機が訪れたのは、3万ランド(36万円)の窃盗容疑で逮捕された時。最終的には容疑が晴れたものの、2か月間刑務所で過ごした。釈放後、心機一転。地元の教会に通い出し、警備員として職を得た。

『サンデータイムズ』紙より
そこで蘇ったのが幼い頃の記憶。チャック・ノリス(Chuck Norris)の大ファンだったのだ。小学校の頃からチャック・ノリスの映画を見ては、真似をしていたという。

テコンドーの指導員、ティムール・クルマノフ(Timur Kurmanov)さんと知り合いになったのをきっかけに、弟子入り。昨年カザフスタンで開催された大会で、2つの銅メダルを獲得。そして先月、スコットランドでの世界大会で金メダル。超ヘビーウェイト(hyper-heavyweight)級。

現在、来年カナダで開催されるワールドカップに向けて、練習に励んでいる。

めでたし、めでたし・・・だが、ンドロヴさんが属するのは、グローバル・テコンドー・フェデレーション(Global Taekwondo Federation)、略してGTF。よく名前を聞く世界テコンドー連盟(WTF: World Taekwondo Federation)や国際テコンドー連盟(ITF: International Taekwondo Federation)とはまた別の組織。

元ITF最高技術委員長、故パク・チョンテ(Park Jung Tae)氏が1990年結成した団体で、世界30か国に支部を持つ(HPはこちら)。日本には支部がないため、日本語名がないのかもしれない。日本に支部が出来たらどうするのだろう。「グローバル」を「世界」と訳すとWTFと同じになってしまうし、「全世界テコンドー連盟」でもWTFとまぎらわしい。いっそのこと「地球テコンドー連盟」にするとか。。。

3年で世界チャンピオンになれるとは、ンドロヴさんがよっぽどすごいのか、GTFのレベルが大したことないのか。。。

ともあれ、オリンピックのテコンドーを牛耳っているのはWTF。ンドロヴさんがオリンピックで南ア代表として活躍することは、残念ながらなさそうだ。

(参考資料:2011年8月14日付『Sunday Times』など)

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南アでロマンス小説 著書は19歳の黒人青年(2010年8月23日)

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