「社会でどんなに差別されても、夫と一緒にいるのが一番幸せ」という女性も中にはいるかもしれないが、これはジェンダー専門家370人を対象とした、G20のイメージ調査の結果だ。
カナダが1位を占めたのは、男女平等を促進する政策、医療ケアへのアクセス度、暴力や搾取に対する対策などで高成績を上げたため。
G20(ジートウェンティ)は、「Group of Twenty」の略。主要国首脳会議(G8)に参加する8か国、欧州連合、新興経済国11か国の計20か国・地域からなる。
具体的には、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、ロシア、トルコ、欧州連合、中国、日本、韓国、インド、サウジアラビア、インドネシア、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、そして南アフリカ共和国。
一人あたりのGDPは、一番少ない南アでも世界25位くらいだから、世界の金持ち国の集まりといってよいだろう。従って、この19か国(欧州連合は国でないので除く)で順位が低いと言っても、全世界レベルでみれば、それほどひどいと言えないかもしれない。
以上を含みおいて、結果をみると。。。
カナダに次いで、上位を占めるのはドイツ、イギリス、オーストラリア、フランス。総合6位のアメリカ合衆国は、「子供を産む権利」と「安価なヘルスケア」という2項目で評価が分かれた。
一方、順位が低い方の1位はインド。2位はサウジアラビア。
インド国民の大多数は貧しい。サウジアラビアは金持ちだ。しかし、女性問題の著者、ニコラス・クリストフ(Nicolas Kristof)氏は「共通点がある」という。両国とも、「特権階級に属していない限り、Y染色体を持っているかどうかで、全く違う人生を送ることになる」からだ。
因みに、南アフリカは下から4番目だった。
以下、調査を行った団体「トラストロー」(TrustLaw)のHPから、順位と理由を引用する。
インド
子供の結婚、胎児・幼児殺し、性目的の人身売買、家庭内の奴隷労働、家庭内暴力、高い妊婦の死亡率。
インドネシア
メキシコ
中国
胎児・幼児殺しが多いため、出生時の男女比率が世界でも目立って不均等。
ロシア
ブラジル
韓国
アルゼンチン
イタリア
日本
アメリカ合衆国
暴力、子供の結婚、性目的の人身売買、女性に対する搾取・嫌がらせ、医療サービスの不備。
南アフリカ
政界での女性の進出が目覚ましいにも関わらず、性的暴力や性の違いに起因した暴力が、世界でも最も高いレベルにある。
メキシコ
男性至上主義。深く根差した社会的経済的不平等のせいで、女性が医療ケアその他のサービスにアクセスしにくい。
中国
胎児・幼児殺しが多いため、出生時の男女比率が世界でも目立って不均等。
ロシア
暴力、子供の結婚、家庭内の奴隷労働。保守政治の台頭により、自由が益々制限されている。
ブラジル
社会的経済的不平等のため、出産などで必要な医療ケアが不十分。
韓国
ステレオタイプ化した女性観が根強いことと、家父長的文化により、女性の自由が制限され、社会進出がなかなかままならない。
アルゼンチン
ブエノスアイレスを除けば、女性は良い医療ケアや、性・出産に関する教育・サービズにアクセス出来ない。
イタリア
大きな進歩が見られるものの、低賃金や管理職になりにくいなど、未だ職場で差別されている。
日本
根強い家父長的文化のため、多くの女性が「子供が生まれれば、職場での役目が終わった」と教えられている。
アメリカ合衆国
教育を受けることはた易いが、医療ケアに万人がアクセスできない。
フランス
オーストラリア
イギリス
ドイツ
カナダ
医療ケアが無料で、良い産休システムがある。しかし、職場での進出がまだ不十分。
オーストラリア
法律や政策により、女性の権利が守られ、女性の自由が促進されているが、必ずしも現実に反映されていない。
イギリス
医療ケアが無料で、教育へのアクセスに優れ、ビジネス機会にも恵まれているが、政府内で女性の数が少ない。
ドイツ
女性の国家元首を持つ。しかし、企業の重役レベルでは、他のヨーロッパ諸国より女性の割合が低い。
カナダ
女性の権利を助長する政策がしっかりしている。女性に対する暴力や搾取を取り締まる法律が徹底して守られている。
(参考資料:2012年6月13日付「The Star」など)
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