南アフリカ国税庁(South African Revenue Service: SARS)が昨日発表したところによると、2009/10年度に所得税を払った個人は590万人。2002/03年度の340万人から73%も増加した。
これは大変喜ばしい。というのは、南アフリカでは全国で1200万人、つまり人口の約4分の1もが、なんらかの福祉手当を受給しているからだ。ちゃんと税金を払っている人が増加すれば、福祉手当を受け取る人数の減少と福祉手当を払う財源の増加につながる。
SARSでは大幅増加の理由を次の4点にあるとする。(1)経済成長、(2)フォーマルセクター就業者の増加、(3)SARSの徴税拡大努力。そして、(4)税金を払う人が元々少な過ぎたこと。
フォーマルセクター就業者というのは、法人税を払っている企業などに勤めている人。源泉徴収があるから、所得税を払わないわけにはいかない。一方、インフォーマルセクターというのは、路上で物を売っている人、家政婦、個人の乗合タクシー営業者など、会社形態をとらない自営業やその従業員などで、法人税も所得税も払っていない。本人が申請しない限り、SARSには実態がつかみづらい。
所得税を払っていない人の銀行口座に多額の入金があればシッポをつかむことが可能だが、現金商売が殆どだし、また、銀行口座を持っていない人も多い。持っていても、入金額が少ない口座をいちいち調べるのは、そこから得られるかもしれない僅かな税収を考えると、SARSにとって労力の無駄。
そこで、SARSでは数年にわたり、大々的なキャンペーンを実施。期限までに納税者申告をすれば、それまで払わなかった税金をすべてチャラにするというもの。73%という納税者大幅増加は、このキャンペーンの成果が大きい。
統計局(Statistics South Africa)によると、15-64歳の人口3135万人から、学生や主婦や働く意欲のない人を除いた労働人口は1711万人。そのうち、就業人口は1280万人。内訳は、農業を除いたフォーマルセクター897万人、インフォーマルセクター201万人、農業65万人、メード・庭師など個人の家庭に雇われている人が117万人。失業者は431万人。失業率25.2%。
2009/10年度の所得税は総額20億7000万ランド。歳入の35%にあたる。2008/09年は31%だった。
歳入の第2位はVATの25%。Value Added Tax(付加価値税)の略で、日本の消費税に当たる。率は商品価格の14%。食料品にはかからないが、サービスには課せられる。因みに、法人税は23%で第3位だった。
2009/10年度の場合、課税所得が5万4200ランド(約65万円)以上ある個人は所得税を払う義務があった。しかし、SARSの税金恩赦キャンペーンにもかかわらず、納税者申告をしていない自営業者がまだ数百万人いると見られている。
(参考資料:2011年1月25日付「Business Day」など)
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