ロシェルさん(News24) |
ロシェルさんの両親は娘の「自殺」を信じなかった。そして行動を起こした。私財を投じて弾道学や科学捜査の専門家を雇い、個人的に捜査を続けたのだ。なにしろ警察が当てにならないのだから。更に、国が起訴してくれないため、2010年には検察官の役割を果たす弁護士を雇い、個人でヘンドリクスを起訴した。
えっ? 個人が刑事訴追できるの?
日本ではどうか知らないが、南アフリカではできるのである。「犯罪手続法」(Criminal Procedure Act)によると、検察当局が起訴しないと決めた場合に限り、被害者が当局から許可を取って、容疑者を起訴できる。被害者が死亡している場合は配偶者や子供、また、配偶者も子供もいない場合は一番近い親族にその権利がある。
勿論、個人で刑事訴追するとなると、捜査や裁判に莫大な費用と時間がかかる。警察と検察の仕事を個人でやらなけらばならないのだから。専門家や弁護士を雇うだけでなく、裁判所の部屋や機材の借り代まで払わなければならない。よほどの財力と覚悟が必要である。裁判が長引けば長引くほど、費用はかさむ。ストレスだって大変なものだろう。
そのため、個人による刑事訴追は南アフリカでも非常に珍しい。ロシェルさん殺人事件裁判を除くと、一番最近のケースは1985年だった。
2014年7月、ヘンドリクスに有罪判決が下った。個人による刑事訴追で有罪判決が下ったのは、南アフリカ史上初めてという快挙。
だが、ロシェルさんの両親が喜んだのもつかの間、刑の内容が決まるのは9月末という。ところが、刑の内容は10月になってもまだ決まらなかった。社会福祉局と矯正省の報告書がまだ提出されていないから、 というのがその理由。裁判はその後も延期に延期を重ね、今週やっと再開された。
一日も早く刑の内容が決まり、ロシェルさんの両親を安心させたいものだ。しかし、ヘンドリクスが判決を不服として控訴したら、裁判はまだまだ続く可能性がある。その場合、検察当局が裁判を引き継いでくれないのだろうか。一般市民にその費用まで要求するのはあんまりだと思う。
(参考資料:2014年7月10日付「News24」、2015年4月8日付「The Times」など)
【関連ウェブサイト】
Criminal Procedure Act 51 of 1977
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