4月7日(土)夜9時頃、ジョハネスバーグの北東、ハニーデュー(Honeydew)地域を運転していた男性が、武装した2人組にハイジャックされた。乗っていたのは「ゴルフ3」。フォルクスワーゲンの「ゴルフ」や「ポロ」は何故か人気があり、盗難の対象になりがち。「ゴルフ」と「ポロ」しか狙わない車両窃盗シンジケートもある。
犯人は男性をトランクに押し込め、走り始めた。
誰でも持っている携帯電話をこの男性も当然持っていることに、犯人たちは思い当たらなかったようだ。それが男性を救った。
車のトランクから、男性はガールフレンドにSMSを送った。ガールフレンドは直ちにツイート。9時11分のことだ。ガールフレンドのメッセージを「リツイート」(RT:retweet)=「再投稿」したのは7人。そのひとり、タニシャ・レディ(Tanisha Reddy)さんは「ピッグスポッター」(PigSpotter)にツイートした。
「ピッグ」=「ブタ」とは警察のこと。「スポッター」は「見つける人」。「ピッグスポッター」は、スピード違反の取り締まりや交通検問の情報を流すツイッターなのだ。10万9000人以上のフォロワーを持つ。
雪だるま式に情報が広がった。面識のない人々が一致団結して、ナンバープレート「DSS031GP」、エビ茶色のゴルフを見つけようと必死になった。警備会社や車両トラッキング会社もツイートに参加。
最初のツイートから2時間後の11時8分、「警察がハイジャック車を見つけた」とレディさんがツイート。ハイジャック現場から南に250キロ離れたところだった。
警察の検問にぶち当たった犯人たちが、車を乗り捨て、徒歩で逃走したのだ。
トランクの中から、男性が無傷で救助された。
ツイッターやフェイスブックなど、情報があっという間に広まるソーシャルメディア(social media)。無責任な、または悪意から発した偽情報が独り歩きする危険性も高い。
東日本大震災の後、「日本政府は震災の義援金を捕鯨に流用している」というデマがフェイスブックなどで広まり、反日感情が高まったり、日本政府に抗議が寄せられたり、署名運動が起こったりした。ここ南アフリカでも、かなり教育程度の高い人たちから「日本はひどい」と面と向かって言われたことがある。「それはデマだ」と反論したら、「そんなこと、何故わかるの!?!」と怒鳴られた。「テレビが言っていた」からと自説を曲げない、一昔前の田舎の老人を思い起こした。
ともあれ、今回はソーシャルメディアが良いことに使われた例。めでたし、めでたし。
(参考資料:2012年4月9日付「The Star」など)
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