Foul! Andrew Jennings著 (HarperSport, 2006)
2010年サッカーワールドカップ開催地に決まった時、南アフリカ中が沸いた。サッカーというスポーツに対する熱狂だけではない。「スタジアムの前で物を売れば儲かるのでは?」「金持ちの外国人に部屋を貸せば儲かるのでは?」といった個人の漠然とした夢や、政府やエコノミストによる雇用や投資のソロバン勘定まで、経済効果に対する様々な期待があった。それがW杯が近づくにつれて、経済効果は単なる甘い夢、現実はFifaのひとり勝ちであることに国民がウスウス気づきはじめた。
著名なスポーツジャーナリスト、アンドリュー・ジェニングズによるFifaの暴露本『Foul!!』が南アでも脚光を浴びるようになったのには、そんな背景がある。巨額の賄賂、選挙の不正工作、不明朗な会計、チケット販売のスキャンダルなど、これでもか、これでもか、と限りのない人間の強欲が暴かれる。これほど好き勝手なことをカゲ、日向を問わず繰り返してきて未だ無傷の、Fifaやその幹部の生命力が空恐ろしい。
長年のスポンサーだったマスターカードに嘘をつきとおし、最終的には契約を反故にしてVisaカードに乗り換えた時は、流石のブラッターも年貢の納め時かのように見えた。マスターカードが法廷に持ち込み勝訴したのだ。ところが、「Fifaはマスターカードとの契約を守らなければならない」という判決にも関わらず、2010年W杯のスポンサーはVisaカード。
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