2010/06/21

遠路はるばるW杯観戦 ゴーカートや自転車でアフリカ縦断

南アフリカは遠い。東京からジョハネスバーグまで、1万3500キロ強。飛行機の直行便なし。合計17、8時間機上の人となる。下手をすると、乗り換え時間を含めて2日がかり。想像するだけで、腰が引ける人もいるだろう。その点、ジョン・トラボルタは優雅だ。自家用ボーイング707を自分で操縦してやって来た。庶民は辛い。といっても、ヨーロッパの庶民はまだいい。日本と同じ北半球とはいえ、そのまま南下するだけで時差も殆どないのだから。

ところが、ヨーロッパからわざわざ時間をかけてやってくることに、喜びを感じるサッカーファンもいるのだ。

例えば、44人のオランダ人グループ「オレンジ・トロフィー」。バン、トラック、バイク、フォルスワーゲン「ビートル」の計22台に分乗し、4月3日オランダ出発。チュニジア、リビア、エジプト、スーダン、エチオピア、ケニア、タンザニア、マラウィ、ザンビア、ボツワナ、レソトを走破し、6月11日に南アの首都プレトリアに到着した。

たとえ2カ月以上かかっても、友達グループでワイワイやりながら旅するのは楽しいし、安全度も増す。砂漠、ジャングル、高山など過酷な地形や気候でも、エンジン付きのマシーンならなんとか乗り切れる。だが、ブラジル人のホゼ・ジェラルド・デ・ソウザ氏は、たったひとりでパリからやってきた。それも、足踏み式ゴーカートで。

出発したのは、2008年5月。1万7300キロ、3049時間のアフリカ縦断の旅。最も危険だったのは、西サハラ。夜は2度、昼間は48度という極端な気温がもたらす苦しさだけではない。いつ地雷を踏みつけるかわからないという恐怖もあった。コートジボアールでは反乱軍の恩を受けたり、刑務所に泊めてもらうなど、意外な人の優しさにも触れた。

52歳の男性によるこの命がけの旅は、貧しい国の子供たちに多い目の病気、白内障と緑内障に対する意識向上を目的としたもの。ライオンズ・インターナショナルの慈善事業の一環だという。

その上をいくのが、ロブ・フォーブス氏。なんと故郷のイギリスから、自転車、水泳、ランニングで目的地ラステンバーグまでやってきた。失業したのをよい機会と、趣味のトライアスロンを生かして、「W杯で英国代表の試合を見る」旅に出ることにしたのだ。

昨年10月1日に出発。イギリスからフランスへ渡るのにフェリーを使った以外は、鉄の意志と強靭な体と一台の自転車しか頼るものがなかった。ジブラルタル海峡は泳いで渡った。西アフリカ、中央アフリカからダーバンまで自転車で走る。毎晩、小さなテントを立てて寝た。砂漠では喉の渇きにあえぎ、熱帯雨林ではアリの群れに襲われた。暴雨の中、道なき道を進んだ。

ダーバンでは、89キロのコムレイズマラソンに参加。そこからまた、自転車でラステンバーグへ。念願のイギリス対アメリカ戦に間に合った。自転車の走行距離は、1万9千キロ。2大陸21カ国を訪れたフォーブス氏の旅の様子は、HP「Tri4Africa」(www.tri4africa.co.uk)で見ることが出来る。

苦労をかければ、到達の喜びも10倍、100倍。20時間弱の飛行機の旅で、弱音を吐いてる場合じゃないかも。

(参考資料:2010年7月13日&17日付「The Times」など)

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