日本を抜いて、世界第2の経済大国になった中国。アフリカでも、躍進目覚ましい。
アフリカ各国政府との関係を強化し、空港、道路、政府関係の建物などの建設を請け負う。鉱物や木材を大量輸入する。(労働者は地元調達ではなく、主に中国本国から連れて来るので、雇用創出を期待したアフリカ各国にとっては期待はずれとなった。)
2007年には、中国最大の銀行(総資産では世界一)である中国工商銀行(Industrial and Commercial Bank of China: ICBC)が南アフリカ最大の銀行、スタンダード銀行(Standard Bank)の20%を取得。外国企業の直接投資としては、南ア史上最大。
一般庶民の生活とも無縁ではない。洋服、靴から台所用品、携帯電話、電気製品に至るまで、家の中は中国商品で彩られる。すぐ壊れるなど品質に対する不満は高いものの、圧倒的な安さのお蔭で、貧しい庶民でも多様な商品が入手できることを考えると、一概に文句も言えない。
この状況はナミビアでも同じだ。
ナミビアは大西洋に面した、南アフリカの北西の国。元ドイツの植民地。第1次大戦後は南アが占拠し、1990年に完全独立。日本の2倍ちょっとの国土を持つが、人口は僅か200万人強。人口密度は世界で2番目に低い。失業率約30%、広義の定義では50%以上になるという。人口の半数が、一日1.25ドルの貧困ライン以下で暮す。
こんな国にまで、中国旋風が吹き荒れている。それも新しい形で。
アフリカ人セールスマンが生まれているのである。
アフリカ大陸の東部や南部におけるビジネスの担い手は、歴史的に白人やインド人が主だった。製造業や商業では、黒人は大概使われるだけ。最近は黒人起業家も増えているが、セールスマンはまだ珍しい。
立役者はTIENSグループ。1995年創業の健康補助食品販売会社。本社は中国天津市。従業員約5000人。日本を含む世界110の国と地域でビジネスを展開している。
日本ではどのように売られているか知らないが、ナミビアなどアフリカ諸国での販売形態は、連鎖販売取引。所謂、マルチ商法である。
セールスマンは電池で動く、小さな「診断機」を使い、「患者」の手に弱い電流を流して、痛みを感じる箇所で「診断」する。例えば、親指の先端に痛みを感じると気管支炎の疑いがある。「診断」に従い、漢方薬の原理に基づいた商品を勧める。
医者に行くお金がなかったり、西洋医学を信用しない庶民に受けているという。元々アフリカには、植物を使った薬を調合する治療師に頼る伝統があるから、漢方薬は受け入れられ易いのかもしれない。「診断機」を使うところも、なんとなく科学的っぽくて信頼できると思われるのかもしれない。
「診断機」を購入する資金されあえば、経験や知識がなくても簡単にビジネスを始められることも、人気の秘訣かもしれない。
ナミビアでは保健省のお墨付きを得ていて、「頭痛からガンにいたるまで、あらゆる病を治した」と豪語するセールスマンもいる。
TIENSグループは現在、西はアンゴラから東はマダガスカルまでアフリカ13か国で展開。アフリカでの本部は、南アフリカとのこと。
(参考資料:2011年3月25日付「Mail & Guardian」など)
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