ギニアで最初に被害者が出たのは昨年の12月。エボラだと特定されたのが2014年3月。その後、シエラレオネ、リベリア、ナイジェリアへ被害が拡大した。WHO(世界保健機関)によると、8月18日現在で2473名が感染し、1350名が死亡(死亡率55%)。ギニアでの死亡率推定は64%。だが、WHO発表の死亡率はあてにならないといわれる。「もしかしたらエボラが原因かもしれない」という感染疑い例まで数に入れてあるためだ。実際の死亡率はずっと高いと見た方がよさそうだ。
8月14日現在の感染状況(Centers for Disease Control and Prevention) |
ところが、シエラレオネで特に被害が大きいケネマ(Kenema)地方の医療高官モハメッド・ヴァンディ(Mohamed Vandi)さんによると、今回のエボラ伝染はギニアの外に広がる必要はなかった。局地的な小流行にとどまった可能性が高いというのだ。
すべては、ひとりの伝統的治療師から始まったという。
ソコマ(Sokoma)はギニアとの国境に近い、シエラレオネの寒村。そこに住む伝統的治療師が「私にはエボラを治す力がある」と豪語したのだ。それを聞きつけたギニアの患者たちが国境を越えて続々とやってきた。当の伝統的治療師は感染して死亡。この辺りの葬式では、親戚が死者の体に触れることになっている。エボラウィルスは簡単に感染するため、伝統的治療師のウィルスが葬式参列者の間に広まり、その多くが亡くなった。そして、その人たちの葬式に集まった人々が感染・・・という具合に、ネズミ算式に拡大したというのだ。
ヴァンディさんが働くケネマで最初の死者が出たのは6月17日。設備の整わない田舎の病院は、ふいをつかれて対処しきれない。2か月で277人が死亡し、うち12人が看護婦だった。恐れをなした看護婦100人がストライキに突入した。
シエラレオネきってのエボラ専門家ウマール・カーン(Umar Khan)さんは100人以上の命を救った後、感染して亡くなった。
ソコマ村の伝統的治療師の元にギニアから患者がやって来て以来、シエラレオネ全体で848人が感染し、うち365人が既に死亡している。
「エイズが治せます」などと誇大広告を行い、藁にもすがる思いの患者を食いものにしたりする伝統的治療師・祈祷師は南アフリカにもいる。しかし、どうやらこのシエラレオネの治療師は、エボラがどんなに簡単に感染する恐ろしいものか知らなかったらしい。本人は自業自得かもしれないが、シエラレオネの人々にとってはまったく厄介なことをしてくれたものである。
(参考資料:2014年8月21日付「The Star」など)
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