2017/12/31

シリル・ラマポザってどんな人? ANC新党首、そして恐らく次期南ア大統領

2017年12月18日、南アフリカ与党ANC(アフリカ民族会議)の党大会で、シリル・ラマポザ(Cyril Ramaphosa)副大統領が新党首に選出された。対抗馬はジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領の元妻ンコサザナ・ドラミニ=ズマ(Nkosazana Dlamini-Zuma)。得票数は2440対2261。わずか179票の差。

まず、有効投票数が4701という少なさに驚く。総選挙で6割以上の得票率を過去20年以上勝ち得てきた与党の党首、そして恐らく次期大統領が5000人以下の投票で決まったわけだ。わずか2440人が人口5000万人以上の国の次期大統領を決めたことになる。

次に、ラマポザの勝利が僅差であったことに驚く。

2017/12/14

トランプ大統領誕生までを振り返る(3)トルドーの気配り組閣 トランプの「ワニで沼地を満たす」組閣

2016年8月から2017年2月までに別ブログに書いたトランプ関連記事転載の第3弾は、『トルドーの気配り組閣 トランプの「ワニで沼地を満たす」組閣』(2016年12月21日)。

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カナダの首相がかっこいい。ジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)。フランス語読みではジュスタン・トリュドー。1971年クリスマス生まれの、もうすぐ45歳。去年第29代首相に就任したときは弱冠43歳だった。父親は第20・22代首相のピエール・トルドー。父親が首相だったときに生まれ、一旦は教鞭を取るものの、父の死後政界入りした。

見た目は「いいとこのお坊ちゃん」風キュート。これまで何度かインタビューを聞いた限りでは、頭脳明晰で進歩的、ユーモアがあり温かみに溢れる。「私はフェミニスト」と公言し、女性の地位向上に理解がある。堕胎に関しては「プロチョイス」(pro-choice)、つまり当事者である女性に選択の権利があるという立場。

大麻の合法化に賛成。大麻の普及を促進したいわけではなく、合法化することによって、子供たちを公に守り、違法麻薬販売で儲けている犯罪者を一掃することが目的という。また、これまでないがしろにされてきた、先住民の保護・援助にも力を入れている。更に、先進国の間で反難民感情が高まる中、人道的な立場から難民の受け入れに熱心である。

トルドー首相の理念は、組閣にはっきり表れている。適材適所、半数以上が女性(首相を除く閣僚29名のうち15名)、国の多様性を反映(シーク教徒4名、先住民2名など)、障害者2名、地域バランスへも配慮(全州から閣僚を選出)・・・。気配りの細かいこと!

トルドー首相(最前列中央)と閣僚たち

2017/12/12

あなたの世界観を変える200人の女性たち

2017年2月、ニュージーランドの出版社から長いメールが入った。

「男女不平等をテーマにしたプロジェクトを企画している。世界中の女性200人を取材し、400ページの本として出版する予定。また、写真とオーディオの展覧会を世界中で開催する。更に、収益の少なくとも10%を女性の保護や人権拡大に貢献している団体に寄付する。何百万人もの女性の生活を向上させ、世界中の男たちを啓蒙し、心を開かせる可能性があるプロジェクトだ。ついては、200人のひとりになってくれないか。OKなら、3月9日か10日にジョハネスバーグでインタビューしたい」という内容。

あまり表に出るのは好きではないので、テレビ出演(こんなところに日本人がいた、みたいな)などは全部断ってきたが、人権問題に長年関わってきた良心的な出版社であるし、世の中のためになりそうなプロジェクトなので、あまり深く考えず承諾する。普段まったく世の中に貢献していない身としては、せめてこのくらいのことでもしないとバチがあたろう。

メールに添付されていたPDFの説明書によると、「世界中の様々なバックグラウンドを持つ女性200人へのインタビューを基にした、画期的な本と国際的な展覧会」。

「様々なバックグラウンドを持つ女性」って・・・?

「有名な女性、無名な女性。華々しくもてはやされている女性、社会の周縁にいる女性。裕福な女性、貧乏な女性。黒、茶、赤、黄、白。逆境に打ち勝った女性、先頭に立つ女性。被害者と英雄。聖人と罪びと。あまりにも多くの女性たち、少女たちが基本的な自由や平等を求めていまだに戦っている今このときに、私たちを啓発し、鼓舞し、ポジティブな変化をもたらしてくれる女性たち。」

なぜ私なんぞに話が来たか不明だが、それなりの理由があるのだろう。「多様性」(diversity)に花を添えるくらいか。(「無名」の「黄色人種」代表?)

2017/12/07

トランプ大統領誕生までを振り返る(2)柵になるかもしれないトランプの壁

2016年8月から2017年2月までに別ブログに書いたトランプ関連記事転載の第2弾は、『柵になるかもしれないトランプの壁』(2016年11月18日)。大統領就任に選出されてから初めてのテレビインタビューを見て、候補者トランプが選挙中に行った公約を、大統領に選出されたトランプがどう考えているかをまとめたもの。

この一年ではっきりしたのは、米国民の30-35%がトランプの熱烈なファンであり、トランプの言うこと(その多くが虚言)を鵜呑みにするということ。公約を守らなくても全然OK。それどころか、トランプのツィッターをフォローする支持者たちは、トランプが公約を実現していると思い込んでいる。「有言実行の素晴らしい大統領」と信じている。

「公約を破れば支持者が納得しないのでは?」というのは、まったくの懸念だった。
 
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11月13日、米CBS「60 Minutes」(シックスティ・ミニッツ)がドナルド・トランプ(Donald Trump)の独占インタビューを放映した。2000万人ものアメリカ人が見たという。第45代アメリカ合衆国大統領に選出されてから、初めてのテレビインタビューだ。インタビュアーは1991年から「60 Minutes」で働くベテランジャーナリスト、レスリー・スタール(Lesley Stahl)。

「60 Minutes」の撮影現場(CBS News

選挙運動期間中、トランプはかなり無責任で扇動的な公約を繰り返した。それを信じて投票した人も多いだろう。選挙公約をどの程度実現するつもりか、支持者にとっても、反対者にとっても気になるところ。

トランプの姿勢・考えと公約をまとめてみる。

1.移民問題
現状では、外国人はチェックもなく米国に入り放題。テロリストも野放し。犯罪者やレイピストを送って来ているメキシコとの国境に、高くて厚い壁を築き、費用はメキシコに出させる1000万人以上の不法移民を子供も含め国外退去させる。イスラム教徒の入国を一時的に全面禁止する。

2.ヒラリー・クリントンのEメール問題
大統領に就任したら直ちに、特別捜査班を任命し、ヒラリーを有罪にして投獄する

3.国民健康医療制度
2000万人の国民をカバーする通称「オバマケア」(Obamacare)は「完全な失敗」(total disaster)なので撤廃する。

4.外交
プーチン、フセイン、金正恩などの独裁者は素晴らしいクリミア自治共和国のロシア強制編入は問題ない。ロシアと協力して、イスラム国を倒す。テロリストは家族まで殺すべき拷問OK分担金を払っていないNATO加盟国が苦境に陥っても助けない日本、韓国が自衛できるよう、核兵器を持たせてもよい。(最後の点に関しては、選挙後「言っていない」と否定しているが、インタビューに答えて明言している映像がしっかりある。確言した映像や音声が証拠としてあるのに、平気な顔をして「言っていない」と否定するのは、トランプにはよくあること。)

5.経済・貿易
アメリカの産業・経済を復興させるため、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)やNAFTA(北米自由貿易協定)から脱退し、輸入品への関税を大幅に引き上げる。所得税の課税方法をシンプルにし、富裕層の所得税率を大幅に下げ、遺産税を撤廃する。

6.国内政治の改革
腐りきっている政治を一新する。自分ほどアメリカの政治システムに精通している者はいないから、自分だけが改革できる

7.人権
妊娠中絶に反対。中絶した女性は罰せられるべき。最高裁の裁判官は、中絶反対派を選ぶ。

8. 環境
地球温暖化は科学者の支持を得ていない空論

・・・などなどなど。

2017/12/06

「あなたは生涯の父」 カトリック神父が明かしたムガベ辞任の裏話 ジンバブエ

2017年11月15日、ジンバブエ国軍がロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領を自宅監禁し、首都の要地を占拠した。その直後、与党Zanu-PFグレース派に対する将軍たちの不満に耳を傾けるため兵舎に急いでいたカトリック神父のフィデリス・ムコノリ(Fidelis Mukonori)に、エマーソン・ムナンガグワ(Emmerson Mnangagwa)から電話が入る。

「ババ(お父さん)と、どうしても話したい。」

ムガベと話す仲介役を頼まれたのだ。

ムガベ、ムナンガグワ、軍隊に信頼されているムコノリ神父(CNN