2011/06/20

ベネチア・ビエンナーレに南アフリカ館 16年ぶり

「第54回ベネチア・ビエンナーレ」が6月4日に開会した。2年に一度開かれる、世界最大規模の国際美術展だ。過去最多の89か国が参加。日本館は、束芋(たばいも)さんの個展「てれこスープ」。

かつてアパルトヘイト政策のために世界の除け者だった南アフリカは、1968年から主催者に参加を拒否された。アパルトヘイトが終わってからも、公式に参加したのは1993年と1995年だけ。

その南アフリカが16年ぶりに戻って来た。

立役者は「ギャラリー・モモ」(Gallery Momo)の経営者、モナ・モコエナ(Monna Mokoena)。南ア芸術文化省とローマの南ア大使館の全面協力を得た。

参加アーチストは3人。

「ソフィー」
メアリー・シバンデ(Mary Sibande)は1982年生まれ、ジョハネスバーグ在住。曾祖母も、祖母も、母親もメイドだったという。2007年、ロココ調ドレスを着るアフリカ人メイド「ソフィー」(Sophie)というキャラクターを生み出し、一躍有名になった。

参加作品は新作の「Lovers in Tango」。ファイバーグラスで作った実物大の兵士たちを、男女の像が率いるもの。

リンディ・セイルズ(Lindi Sales)は1973年生まれ、ケープタウン在住。紙を使った作品で知られる。出品作は「Satellite Telescope」。レーザーで切り取ったパースペックスガラスを、天井から吊り下げたインスタレーションだ。

ダーバン出身でアメリカ在住のシーモン・アレン(Siemon Allen)は、インスタレーションを主に作成してきた。ベネチア・ビエンナーレでは、巨大なレコードラベルを出品している。

南アフリカからの参加は、残念ながら、単純に「めでたい!」と喜べない。プロセスが怪しいというのである。

税金を使い、国を代表しての参加なのに、ギャラリーオーナーが責任者になった。しかも、参加アーチスト3人のうち、南ア在住の2人はギャラリーモモの「子飼い」。

億万長者のコレクターがヨットで買い付けに来ると言われる、ベネチア・ビエンナーレ。超金持ちクライアントがつけば、ジョハネスバーグでギャラリーをやっているのとは、桁が違う大儲けが期待できる。

実は当初、参加アーチストは4人の予定だった。ところが、有名アーチスト、ズウェレツ・ムテトワ(Zwelethu Mthethwa)が、「不透明さ」を理由に参加を取り下げ。「本当の意味で大きなインパクトを与えることが出来る、もっといいアーチストがいる」とインタビューで語り、アーチストの選定に疑問を挟んだ。

勿論、モナ・モコエナは疑惑を全面否定している。

ベネチア・ビエンナーレは、11月27日まで。

リンディ・セイルズのHPはwww.lindisales.com
シーモン・アレンのHPはwww.siemonallen.org

(参考資料:2011年5月29日付「Mail & Guardian」など)

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