初等中等教育を管轄する「基礎教育省」(Department of Basic Education)では、毎年3月、公立と私立の学校に通う児童・生徒を対象として、アンケート調査を行っている。その「2009-2010年版」が最近公表され、ショキングな実態が明らかになった。
昨年度の調査では、2008年に妊娠した小学3年生が全国で17人もいた。小学3年生である。10歳にもなっていない少女がレイプされ、17人もが妊娠したのだ。それが翌2009年には、109人に急増していた!
2008年に妊娠した小学4年生は69人、2009年には107人に増加。5年生になると、その数は更に増え、2009年の場合、297人もが妊娠していた。
妊娠した生徒数が一番多いのは、7-9年生という。日本の中学1-3年生だ。
2009年、全国で4万5276人もの小中高校生が妊娠した。(そのうち、何人が出産したのだろうか。。。)
これらはアンケートに正直に答えた子供たちの数だから、実際に妊娠した女の子はもっと多いはず。更に、レイプされたものの、幸い妊娠しなかった少女の数を想像すると、空恐ろしい。
幼い子供をレイプした男たちの殆どは、捕まっていない。捕まらないのだから、悪いという気も起らないだろう。そんな大人が大手を振って町を歩く。それを見て育った少年たちが、同じような行動に走る。。。悪循環である。
この調査ではまた、100万人もの子供たちが、父親のいない家庭で育っていることが明らかになった。そして、父親がいない家庭では勿論、父親がいる家庭の多くも、何らかの社会福祉手当に頼って生活している。
年長の少女たちの中には、児童手当を受け取るために、あえて妊娠する者も多いという。
何らかの社会福祉手当を受給している児童・生徒の数は、2009年に281万3976人、翌年には311万688人。東ケープ州では2010年、全児童・生徒の37%もが社会福祉手当を受け取った。ムプマランガ州では32%だった。その額、僅か月260ランド(約2600円)。
社会福祉手当に依存する子供たちの教育を担う学校の多くは、基本的な設備・施設すら整っていない。
なにしろ、全国の小中高校のうち、54%しか電話番号を持っていないのだ。Eメールアドレスを持っている学校となると、僅か25%。リンポポ州ではなんと、3%。(因みに、南アで唯一野党「民主連合」(DA)が取り仕切る西ケープ州では、98%もの学校がEメールアドレスを持っている。)
そのため、多くの学校では、個人の携帯電話が主な通信手段となっているという。
政府にお金がない訳ではない。実際、中央政府は教育に大きな予算を充てている。しかし、公務員が概して無能なことから、学校に基本的な設備がなかったり、教科書や文房具が届かなかったりしているのだ。
公務員が無能なのは、教育がひどいために、読み書き計算、論理的思考が出来る程度の能力のある人が全般的に少ないこと、労働倫理が欠落傾向にあること、そして、縁故採用により、能力よりコネが重視されること、などのためである。
教師の質もひどすぎる。
一方で、政界財界を牛耳る一部の金持ちは、コネの力で益々豊かになっていく。彼らは金にモノを言わせて、授業料の高い一流私立学校へ、自分の子供たちを通わせる。だから、公立学校がどうなろうと、知ったことではないのである。
一体、どこから手をつけたら良いのか。お先真っ暗な、南アの教育事情である。
(参考資料:2012年5月31日付「The Times」など)
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