クワズールーナタール(KZN)州教育省では、幽霊退治の真っ最中。実際は教鞭をとっていないのに、小中高校で教えていることになっている税金泥棒の取締りである。
教師に限らず、南アフリカにはこういった税金泥棒が結構いる。公務員として名簿に名前が載っていて、給料を貰っているのに、実は働いていない。日本でも最近、既に死亡しているのに届を出さず、生きているものとして家族が年金を受け取る例が問題になったが、これも南アフリカでは目新しいことではない。
政府支給の老齢年金は、現在月1000ランド強(約1万2000円)。63歳以上の男性と60歳以上の女性のうち、財産及び収入が規定額以下の南ア国民及び永住権所有者が対象となる。働いている期間、給料から貢献する必要はない。勿論、財産・収入の条件を満たし、この金額で生活できるのは、貧しい人だけだから、中流以上は元気なうちに自力で貯蓄するしかない。
日本円にしてみれば微々たる支給額だが、2010年第2四半期の失業率が25.3%、仕事を探すのをあきらめた人を含めると34%を超える中、お爺さんやお婆さんの年金に一家全員が頼っている家族も多い。老齢年金、子供の扶養手当、障害者手当てなどはあるが、公的な失業保険はない。
既に死んでいる人を選挙人登録し、与党に「投票」させるのも、南アフリカではそれほど一般的ではないが、隣国ジンバブエをはじめとして、アフリカではよく使われる手だ。
KZN州では、既に10万人以上の教師が幽霊かどうか調べたという。うち、一体「幽霊」が何人いたものやら。次の作業は、存在する個々の教師が教育省に提出した証明書のチェック。そもそも証明書が本物で、教壇に立つ資格があるのかどうかを確認する。また、「教える」資格があった場合でも、今教えている科目やレベルを教える資格があるのかどうか調べていくわけである。
税金の無駄遣いを減らすだけでなく、教員のレベルアップの一助となることを祈っている。
(参考資料:2010年9月7日付「Business Day」など)
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