TIは、日本を含む世界約100ヶ国に拠点をもつ国際NGO。NPO法人「トランスペアレンシー・ジャパン」(Transparency International Japan 略称:TI-J)のHPによると、「国内・国外において、汚職・腐敗の防止を促す社会システムを構築、腐敗との闘いをリードする市民社会組織」。
世界中で調査に協力した人々の31%が、過去1年間に公務員に賄賂を支払ったという。では、南アフリカは?
なんと47%! ふたりに一人が公務員に賄賂を払ったのだ。世界平均を大幅に上回っている。(自慢にもならないが。。。) 今まで賄賂を払ったことがある、ではない。過去1年間限定の数字だ。
カテゴリー別にみると、(複数回答)
登録・許可取得に賄賂を払った人 39%登録・許可取得というのは、運転免許証とか、車両の登録とか、出生証明書の発行とかであろう。土地関連機関に払う賄賂は、土地・家屋登記や家の改築許可を早くしてもらうとか、甘くしてもらうとかであろう。税金関連機関は税務署。公益事業は電気、水道などに関することだろう。
警察に賄賂を払った人 36%
司法機関に賄賂を払った人 30%
土地関連機関に賄賂を払った人 20%
税金関連機関に賄賂を払った人 16%
公益事業関連機関に賄賂を払った人 13%
教育機関に賄賂を払った人 11%
医療機関に賄賂を払った人 9%
南アフリカでの調査には、人種・性別・年齢などの人口構成を反映して選ばれた1000人が協力。いずれも都会に住む人たちで、マンツーマンのインタビューを行なった。直接会ってのことだから、「払っていない」と嘘をつく人はいるかもしれないが、払っていないものを「払った」と大げさに言う人はまずいないだろう。つまり、上の数字より多くの人が賄賂を払った可能性がある。
では、実際に賄賂を払った経験があるなしは別として、国民が持つイメージに目を移そう。
国民が「腐敗している」と思うナンバーワンは警察。回答者の83%が、「警察は腐敗している」と感じている。以下、
政党 77%一番「腐敗度感」が低いのは一般国民が殆ど接触を持たない軍隊、というのは納得できるとしても、NGOが腐敗していると感じている人が43%もいるのは意外。
公務員 74%
議会 70%
医療機関 55%
企業 54%
司法 50%
NGO 43%
メディア 40%
教育機関 32%
宗教団体 24%
軍隊 11%
野党DA(民主連合 Democratic Alliance)の警察担当スポークスウーマン、ダイアン・コーラー・バーナード(Dianne Kohler Barnard)曰く、「警察が腐敗していると多くの国民が感じていることに驚きはない」。
「警察官は車を止めるたびに賄賂を要求する。賄賂を払うのを拒否した人を脅す。犯罪の被害者宅に調書を取りに行っては盗みを働く。何千人もの警察官が犯罪歴を持っている。」
つまり、警察に対するイメージは見事に現実を反映しているわけだ。
リア・ピイェガ(Riah Phiyega)警察長官は7月11日、「今の会計年度中に、警察内の汚職を取り締まる班を設立する」と約束。「国の犯罪取締りに成功するためには、まず自分の家をちゃんとする必要がある。たとえ身内でも、厳しく取り締まるつもりだ。」
2012年6月から2013年6月の間に、525人の警察官が汚職により解雇されたという。汚職警官が解雇されていて喜ばしいと見るべきか。処分を受けた警官の数が少なすぎる、と憤るべきか。(賄賂を請求したり、盗みを働いたりした警察官全員を解雇してしまったら、南アフリカから警察官が殆どいなくなってしまうかもしれないが。。。)
因みに、日本での調査結果は?
賄賂を払った人の割合は、
登録・許可取得に賄賂を払った人 2%少数とはいえ、賄賂を払ったことを認めている人がいるんですね~。
警察に賄賂を払った人 0%
司法機関に賄賂を払った人 0%
土地関連機関に賄賂を払った人 4%
税金関連機関に賄賂を払った人 1%
公益事業関連機関に賄賂を払った人 1%
教育機関に賄賂を払った人 0%
医療機関に賄賂を払った人 2%
次に、腐敗していると感じている人の割合は、
警察 61%政党、議会、メディア、教育機関、宗教団体、軍隊に対しては、南ア人より厳しい! 3人に1人が「自衛隊が腐敗している」と感じているわけだが、具体的にはどういうことだろう。
政党 80%
公務員 66%
議会 76%
医療機関 47%
企業 41%
司法 29%
NGO 38%
メディア 60%
教育機関 55%
宗教団体 74%
軍隊 35%
実際に賄賂を払った人がゼロなのに、61%もが腐敗していると感じている警察にいたっては、なんだか可哀想な気がする。
(参考資料:2013年7月12日付「The Star」など)
【関連HP】
Transparency International
トランスペアレンシー・ジャパン
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