2015/03/28

子供の取り違え 先祖の意見は?

仮にXさんとしておく。子供のプライバシーを守るため、名前が公開されていないからだ。

Xさんは2013年に離婚した。元妻は息子の養育費を請求。かねてから似ていない息子に疑念を抱いていたのか、XさんはDNA検査を要求した。元妻の浮気を疑ったのだろう。

検査の結果はXさんの思った通り。息子として育てて来た少年はXさんの息子ではなかった。ところが、なんと、元妻も母親ではなかった

調査の結果わかったこと。「息子」が生まれた2010年のあの日、ボックスバーグ(Boksburg)にあるタンボ記念病院(Tambo Memorial Hospital)で、助産婦がふたりの赤ちゃんのファイルか名札を混同してしまったのだ。Xさんと元妻の子供は息子ではなく、娘だった。

報告書をまとめたプレトリア大学児童法センター長、アン・スケルトン(Ann Skelton)は子供をそのままにしておくよう勧めた。実の親ともコンタクトを持つ一方で、生活するのは育ての親の方が良いというという意見だ。

Xさんはスケルトン氏の報告書を拒否。弁護士を通じて、(1)自分が探してきた心理学者が別の報告書を作成すること、(2)慣習法の専門家の意見を聞くこと、(3)自分の受けたトラウマに対処するためカウンセリングを継続すること、そして(4)先祖問題の専門家の意見を聞くことを要求した。

Xさんはズールー族だが、取り違えられた娘を育てた家族はペディ族。子供を取り換えて元に戻した場合、先祖がどう反応するか知りたいというのだ

先祖の反応を知りたいなら、伝統的祈祷師に相談すれば良いのに。。。

Xさんは「伝統を大切にする」建前とは裏腹に、DNA検査とか弁護士とか裁判とか専門家とか、要求することは現代的でありドライである。普通の人は上記の(1)‐(4)など裁判所に要求しないであろう。しかも、自分のトラウマばかり心配するXさんの心の中に、一番トラウマを受ける可能性のある当の子供は不在っぽい。

母親たちはさすがに現実的。両方の母親が取り違えられた子供たちと一緒にグループカウンセリングを受けている。産みの親と育ての親と子供たちが定期的に顔を合わせる場を専門家を交えて持ち、現実に無理なく適応しようというわけだ。

Xさんの要求(1)に対する裁判所の判断は、Xさんが探してきた心理学者と既にこの件に関わっている心理学者が共同で報告書を作成すること。報告書の提出期限は5月末。裁判官は「子供たちのためを考慮することが一番大切」という。そりゃもっともだろう。Xさんには欠けている視点のような気がするが。

Xさんの離婚は妻の浮気疑惑が原因だろうか。としたら、浮気しなかったことがわかって、Xさんは元妻とよりを戻したがるだろうか。子供を取り換え直したいというのだから、元妻とよりを戻して、「正しい」子供と3人で暮らしたいのだろう。

私が元妻だったら断るだろうな。こんな自己チュー男、別れて良かったですよ。

(参考資料:2015年3月24日付「The Times」)

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