2015/08/30

サイにゾウの皮膚を移植 密猟犠牲者の救助

イテンバ(iThemba)は南アフリカのクワズルナタール州で暮らすメスのサイ。8月の初め、密猟者に襲われ、2本のツノのうち1本を切り取られた。なんとか命を取り留めたものの、一緒にいた赤ちゃんは殺されてしまった。

密猟者に襲われ傷ついたイテンバ(Saving the Suvivors

密猟者の攻撃には負けなかったが、傷口から細菌が入ったりしたら、それが元で死んでしまう可能性がある。

野生動物専門の外科医、ヨハン・マレア(Johan Marais)によると、少しでも骨の付け根部分が残っていれば、そこにガラス繊維製の覆いをネジで取りつけるのだが、密猟の犠牲者はそれができない。末端価格が金よりもコカインよりも高価なサイのツノから最大限の利益を搾り取るため、密猟者がツノを根こそぎ取り去ってしまうからである。

そこでマレア医師が試みた奥の手は?

なんと、自然死したゾウの皮膚を傷口に移植すること!

マレア医師が剥製(はくせい)師の力を借りて様々な動物の皮膚でテストしたところ、柔軟性、耐久性、軽さの3点でゾウの皮膚が一番!という結果が出たのだ。

手術が成功したかどうかは2、3週間経たないとわからない。成功した場合、12か月から16か月治療を継続するという。

治療を受けるイテンバ(Saving the Survivors

今回イテンバの手術費を出してくれたのは、NGO「Saving the Survivors」。密猟などの犠牲となり、心身に大きな傷を負ったサイを助ける団体で、2012年に設立された。ツノを切り取られたサイ、負傷したサイ、ワナにかかったサイなどが対象となる。該当するのは南アフリカ全国で年間80-120頭。今後、益々増加すると見られている。

マレア医師のチームの仕事はサイに限定されないが、それでも野生動物の密猟増加により大忙しだ。国中を飛び回って、負傷した動物たちの治療に当たっている。「毎年、治療する動物の数が増えている。特に、サイとゾウに関して連絡を受けることが多い」とのこと。

(参考資料:2015年8月17日付「The Star」など)

【関連ウェブサイト】
Saving the Suvivors

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