2015/09/13

子犬のようにはしゃぐサイに複雑な気分

世界中にあと5頭しか生存しないキタシロサイについては、以前このブログに書いたことがある。(絶滅まで秒読み段階 全世界に僅か5頭のキタシロサイ

泣いてもわめいても、世界に1頭しかいないキタシロサイのオス「スダーン」。そのスダーン君の暮らしぶりを動画で見つけた。(スーダン出身なので国名を取って名付けられたのだが、「スーダン」は英語では「スダーン」と発音される。以下紹介する動画内で「スダーン」と発音されているので、ここでもスダーンにしておく。)

1日24時間、武装した警備員に守られているスダーンとメス2頭。ツノを狙う密猟者対策だ。それでも万全を期して、スダーンのツノは切り取ってある。

スダーンと護衛の警備員たち(The Dodo

3頭はチェコ共和国の動物園から、ケニアの保護区にやってきた。警備員曰く、「雪がたくさん降るところで、コンクリートの中で暮らしていたんだ」。

スーダン生まれとは言え、動物園で30年以上暮らしたスダーンと、動物園生まれのナジンとファツ。3頭とも人間の姿に慣れている。警備員たちも、四六時中3頭と一緒にいて、情が移ってきた。

警備員たちはスダーンについてこう語る。

名前を呼ぶとやってくる。お腹の下や耳の後ろを掻いてもらうのが好き。
「危険じゃないよ。来園者や俺たちに愛嬌をふりまくんだ。

その仲むつまじい姿がこれ。


確かによく慣れている。可愛い。サイとこんなに遊べるなんて、羨ましい!

・・・その反面、この状況は異常、と感じるのも本心だ。

野生動物は野生のままで生きるべきだと思う。たとえ保護区という隔離された空間で生きるしかないにしても、ペットじゃないんだから、人間との接触は極力避け、人間に介入されない生活を送るのが本道。だが、密猟者にツノを狙われ、1日24時間の警護がつくスダーンには、それが許されない。

しかし、寒いチェコの動物園の、それもコンクリートに囲まれた狭い空間の中で人生の大半を過ごしたスダーンにとって、たとえこんな状況でも、アフリカの大草原で余生が送れるのはハッピーエンドなのだろう。このまま密猟の犠牲にならず、天寿を全うして欲しいものだ。

そして、サイが密猟を心配することなく、伸び伸びと野生に生きれる日が来ることを切に、切に願っている。

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