泣いてもわめいても、世界に1頭しかいないキタシロサイのオス「スダーン」。そのスダーン君の暮らしぶりを動画で見つけた。(スーダン出身なので国名を取って名付けられたのだが、「スーダン」は英語では「スダーン」と発音される。以下紹介する動画内で「スダーン」と発音されているので、ここでもスダーンにしておく。)
1日24時間、武装した警備員に守られているスダーンとメス2頭。ツノを狙う密猟者対策だ。それでも万全を期して、スダーンのツノは切り取ってある。
スダーンと護衛の警備員たち(The Dodo) |
3頭はチェコ共和国の動物園から、ケニアの保護区にやってきた。警備員曰く、「雪がたくさん降るところで、コンクリートの中で暮らしていたんだ」。
スーダン生まれとは言え、動物園で30年以上暮らしたスダーンと、動物園生まれのナジンとファツ。3頭とも人間の姿に慣れている。警備員たちも、四六時中3頭と一緒にいて、情が移ってきた。
警備員たちはスダーンについてこう語る。
「名前を呼ぶとやってくる。お腹の下や耳の後ろを掻いてもらうのが好き。」
「危険じゃないよ。来園者や俺たちに愛嬌をふりまくんだ。」
その仲むつまじい姿がこれ。
確かによく慣れている。可愛い。サイとこんなに遊べるなんて、羨ましい!
・・・その反面、この状況は異常、と感じるのも本心だ。
野生動物は野生のままで生きるべきだと思う。たとえ保護区という隔離された空間で生きるしかないにしても、ペットじゃないんだから、人間との接触は極力避け、人間に介入されない生活を送るのが本道。だが、密猟者にツノを狙われ、1日24時間の警護がつくスダーンには、それが許されない。
しかし、寒いチェコの動物園の、それもコンクリートに囲まれた狭い空間の中で人生の大半を過ごしたスダーンにとって、たとえこんな状況でも、アフリカの大草原で余生が送れるのはハッピーエンドなのだろう。このまま密猟の犠牲にならず、天寿を全うして欲しいものだ。
そして、サイが密猟を心配することなく、伸び伸びと野生に生きれる日が来ることを切に、切に願っている。
【関連記事】
サイにゾウの皮膚を移植 密猟犠牲者の救助 (2015年8月30日)
絶滅まで秒読み段階 全世界に僅か5頭のキタシロサイ (2015年3月21日)
「ゾウとサイの日」 絶滅が危惧される野生動物の保護に日本人が立ち上がった! (2014年10月24日)
アフリカのサイをオーストラリアへ 苦肉の絶滅防止対策 (2014年2月18日)
2020年にクルーガー公園からサイがいなくなる可能性。最新報告書が予測する絶望的な未来。(2013年1月13日)
サイのツノの新しい効用? 「二日酔い」の薬用に密猟 (2012年12月30日)
サイを「合法的」に「密猟」する方法 (2011年7月28日)
サイの密猟急増 絶滅を見込んでの在庫増やし? (2011年4月5日)
0 件のコメント:
コメントを投稿