2014/04/03

エイプリルフールの新聞記事にご注意!

4月1日に新聞を読む時は注意が必要だ。そう、「エイプリルフールズデー」(April Fools' Day)。日本語では「万愚節」とか「4月ばかの日」とか訳すらしい。この日のいたずらや、いたずらに担がれた人を「エイプリルフール」(April Fool)という。

日本の新聞は真面目そうだから、嘘の記事など出さないかもしれないが、どうなんだろう。出したら、本気にした人から苦情が殺到しそうだ。

台湾と香港では、『ニュー・メディア』(New Media)紙が今年「台湾で初めて出産した人気パンダが寄生虫のため重病になり、安楽死させられるかもしれない」というエイプリフール記事を掲載したところ、大騒ぎになり、台北市長にお叱りを受けたとか。

南アフリカは欧米の伝統(?)を踏んで、もっともらしい、でっち上げ記事が新聞に掲載される。過去にも「売春が合法になった」とか「大麻が合法になった」とかいう記事が4月1日の紙面を飾った。どんな突飛なことでも実際にあり得る国だから、よっぽど注意しないと騙されてしまう。

『ザ・タイムズ』(The Times)紙の今年のジョークは、ここ数年、物議を醸(かも)し出している「Eトール」(E-Toll)に関したもの。今年2月からハオテン州で実施されている、高速道路料金の自動回収制度である。
Eタグ(The Star
電子タグ「Eタグ」(E Tag)をフロントガラスに取り付け、新設された大量(本当に沢山ある!)の料金ゲートを通る度に、登録したEトール口座からお金が引き落とされる。Eタグをつけないでも登録しておけば、車のナンバーから料金ゲートを通過したことがわかり、やはりEトール口座から引き落としがある。登録をしていない人には、車のナンバーから割り出した車の持ち主に後日、郵便で請求書が届く。料金ゲートを通過して7日以内に払わなければ、請求料金が3倍くらいになる。

料金ゲート(TimeLive

Eタグをつけておけば便利そうだが、システムの入札の仕方とか料金の設定とか徴収料金の行き先とか、そもそも何故このシステムを導入する必要があるかに限りなく納得できない部分があったため、市民の大反発を買い、市民団体が裁判を起こすまでになった。強気の政府はそれを押し切って実施に踏み切ったものの、車を運転しない人や既に何年も前に死亡した人に請求書が届いたり、偽造ナンバープレートを装備した車の高速代金が正しいナンバープレートの持ち主に請求されたりするなど、多くの問題が浮上している。更に、意識的に登録しない市民や請求書が来ても支払わないドライバーが多いことから、莫大なお金をかけてEトールを導入したのに、高速料金回収率は10%以下という。

『ザ・タイムズ』は4月1日、「読み取り機械のデザインに欠陥があるため、時速113キロで走行する車のナンバープレートを読み取れない」との「内部告発」を一面で「スクープ」した。Eトールのシステムを請け負ったオーストリアの会社の内部文書や、システム管理担当官のコメントまで掲載する念の入れよう。

ジョークということがわかるのは、システムの名前から。「Prying on Every Person Holding Out Legally」。「合法的に屈せず頑張っている人を一人残らず嗅ぎ出す」といった意味で、とてもシステムの名前とは思えないどころか、Eトールに反対する人の命名っぽい。しかも、このシステムの通称は頭文字を取った「Poephol」というが、アフリカーンス語で「poep」は「おなら」、「hol」は「穴」、併せた「poephol」は英語の「asshole」、つまり「馬鹿野郎」を意味する。

そこまでちゃんと記事を読まず、本気にして時速113キロで高速道路を走っても問題ない。高速料金はチャージされるものの、Eトールが設置してある高速道路は制限速度が時速120キロだから、スピード違反で捕まることはない。

『ザ・スター』(The Star)紙の偽記事はもっとわかりやすかった。「西ケープ州の州知事で、第一野党DA(民主連合)の党首ヘレン・ジレ(Helen Zille)が多額の税金を使って自宅を改装する」という一面記事だ。ジレ知事の安全を守るため、「除染機能を持つジャクージ」「警備監視システムがあるシアター」「地下シェルターの役目を果たすジム」「テニスコートとしても使われる緊急ヘリポート」など数々の「最新警備設備」が設置されるという。改装予算は2000万ランドだが、「誰でも知っている通り、こういったものは予算オーバーするのが常だがら、西ケープ州は2億4600万ランドを用意している」とアラン・ウィンデ州財政局長談。

南ア国民なら誰でも知っている、ジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領の自宅改装をからかった記事だ。当初の予算2000万ランが蓋を開けてみると2億4600万ランド(約24億6000万円)まで膨れ上がり、「大統領の身の安全を守る警備対策」という名目で、「消火用の水溜場」と称して豪華プールを設置するなど、湯水のように税金を使ったズマ大統領は「何も悪いことをしていない」と強気である。

ズマ大統領といえば、エイプリルフール記事ではないが、フェイスブックで面白いジョークを見つけた。「Jabula Ltd Solely South African」のページだ。アイルランドのダブリンにある会社らしい。


「郵便局がズマ大統領を絵柄とした切手を発行したが、封筒にくっつかない。大統領は激怒し、詳細な調査を命令した。大統領特別調査委員会が150万ランド費やして調査を行い、一か月後、以下の調査結果を発表した。

1.切手に問題はない。
2.切手の糊に問題はない。
3.使用者が糊のついていない側に唾を吐きかけていた。」

つまり、「ズマ大統領の顔に唾を吐きかけていた」というジョークである。

国民の大部分に尊敬されていないズマ大統領、汚職にまみれた無能なズマ政権。でも、5月の総選挙では、やっぱり与党ANC(アフリカ民族会議)が大勝するんだろうなあ。

(参考資料:2014年4月1日付「The Times」、「The Star」など)

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