2013年8月、ケニアでのこと。2人の男性が同じ女性と結婚することに合意した。南アフリカのジェイコブ・ズマ大統領をはじめとして、アフリカで一夫多妻というのは良く聞くが、一妻多夫というのは珍しい。
「一妻多夫」(polyandry)には2種類ある。夫たちが血縁関係にある「父性一妻多夫制」(fraternal polyandry)と、夫の間に血縁関係がない「非父性一妻多夫制(non-fraternal polyandry)だ。
一妻多夫制を取る社会の多くは(1)環境が厳しい、(2)男の死亡率が高い、または男が留守のことが多い、(3)社会の構成員(といっても大抵「男」を指すのだろうが・・・)が平等の権利を持つ、という。
最も良く知られた「一妻多夫制」社会はチベット。兄弟全員がひとりの女性と結婚することで、それでなくても狭い土地を、兄弟間で分配する事態を避けることができる。一人または少数の兄弟だけが相続する社会では、遺産を相続できない男たちは僧侶になったりする。日本の場合だと、婿養子に行くという手がある。だが、兄弟全員が同じ相続権を持つ社会で、全員が結婚して家庭を持つと、土地財産が細切れになってしまう。ただ、チベットの一妻多夫制は中国共産党に禁止されてしまったので、現在の実態は不明とのこと。
アフリカでも、ケニアのマサイ(Masai)族やナイジェリア北部のイリグウェ(Irigwe)族には、伝統的に一妻多夫があるそうな。
しかし、今回のケニアのケースはちょっと変わっている。
女性は2人の子供を持つ寡婦。シルヴェスター・ムウェンドワ(Sylverster Mwendwa)さん、エリヤー・キマニ(Elijah Kimani)さんの2人と、4年以上愛人関係にある。ムウェンドワさんもキマニさんも、この女性を心から愛しており、女性の方も、ひとりを選ぶことは出来ないという。そこで「境界線を決め」「平和を守るため」、女性がふたりの男性の両方と「結婚」することになったもの。
といっても、3人で一緒に住むのではない。男性ふたりは仲良しこよしで、心が広く、女性が他の男性と関係を持っても気にしない・・・というわけではないからだ。女性の家にライバルの男性ふたりが期間を決めて交代で住み、顔を合せるのを避けることで、血生臭い事態が発生するのを避けるとか。ふたりとも、女性の子供の養育に責任持つという。
一妻多夫はこの3人が属する社会の伝統的習慣ではないものの、女性の母親は喜んでいるらしい。
愛には色々な形がある。3人とも大人だし、関係者全員が幸せなら、社会に迷惑を掛けない限り、別にいいじゃないかと思う。それでも、男女の仲は難しい。いつまで続くことやら。。。
ところで、この女性の子供たちは、ムウェンドワさんとキマニさんの両方を「お父さん」と呼んでいるのかな?
(参考資料:2013年8月28日付「The Times」など)
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