100%大成功!というわけではなかった。
- 世界が注目する中、男をあげようとしたズマ大統領が、ズマを支持しない与党ANC党員やANCを追い出された元党員から最低5回も派手にブーイングされ、栄光にひたるどころか、大恥をかいてしまった。(ジョハネスバーグが位置するハオテン州のANC支部は、ズマ大統領を支持していない。)
- 演説や説教を遮ったり、無視してペチャクチャお喋りしている参加者を、司会のシリル・ラマポザ(Cyril Ramaphosa)ANC副党首が「お客さんがみえてるんだ。恥をさらすな。きちんと振舞え!」、ノーベル平和賞受賞者のデズモンド・ツツ(Desmond Tutu)大主教が「南ア人は躾(しつけ)が行き届いていることを世界の皆さんに見せなさい!」と叱った。授業中や朝礼でお喋りを止めない子供が先生に叱られているみたいだな~。
- 手話の通訳者が勝手に自分なりの「手話」をねつ造して「同時通訳」したため、テレビを見ていた、耳のきこえない人々がわけがわからず困った。(手話が出来ない自称手話通訳をANCが雇ってしまったらしい。この人、以前にもANCの大会で「同時通訳」したとか。ANCにコネがある人なのだろう。)
一番人気はバラク・オバマ(Barak Obama)米大統領。さすが、演説のうまさに定評があるだけのことはある。
オバマ大統領がキューバのカストロ大統領と握手する歴史的場面もあった。1959年から今回までの間にアメリカとキューバの大統領が握手したのは、2000年、国連での一回だけ。
「Mail & Guardian」より |
マンデラ邸でばったり会った写真家のグラアム(詳細は「ネルソン・マンデラ、逝く 弔問客であふれるジョハネスバーグの自宅前」)は、フェイスブックに素晴らしい写真をアップし、こうコメントをつけた。
「ソウェトの追悼式はおかしなイベントだった。それに比べて、ハウトンのマンデラ邸の雰囲気は、ごく普通の南アフリカ人の気持ちを本当に反映しているように感じられた。」
まったく同感です。
今日から3日間、マンデラの遺体は大統領府「ユニオン・ビルディング」(Union Building)で弔問客を迎える。置きっ放しではなく、軍の病院から毎日「通勤」するらしい。朝7時に病院出発。通行する道路は他の車が通れないよう封鎖。国民は沿道で見学できる。8時に棺桶を大統領府に設置。朝10時から12時まで家族とVIP、12時から5時半まで一般市民が、マンデラに最後のお別れを告げる機会を与えられる。
最後のお別れ、といっても、かなりせわしない。1時間に2000人を受け入れるために、一般市民は棺の前で立ち止まることは許されないからだ。「面会時間」が終了したら入れてもらえない。今日も、せっかく大統領府までハルバル出かけたのに追い返された人が沢山いたらしい。早目に行って列に並びなさい、と政府はいう。
遺体は土曜日、マンデラの魂に行き先を告げた後(これをしないと「魂」が混乱するとのこと)、東ケープ州のクヌ村まで空軍が空輸する。
日曜日の葬儀は当初、「家族、親戚、近い友人、政府・ANC高官など計70人程度しか参加しないプライベートなもの」という話だったが、結局、「国葬」になった。とはいっても、小さなクヌ村。宿泊設備も殆どない。
来る人を止めることは出来ないものの、特に「外国からの要人」にはクヌ村に来ないよう、政府はお願いしている。(警備も大変だろう。)だが、「せっかくここまで来たのに、葬式にも出ないで帰るのは嫌だもんね」という要人が多いらしい。飛行機が100機程度、ジョハネスバーグからクヌ村近くのムタタ空港まで飛んでくるという。(ムタタも田舎の小さな町だから、空港の規模だってたかが知れている。)
現地では現在、大忙しで、4000人収容できる葬式用大ドームを建設中。入れるのは家族と要人。
「Times Live」より |
葬式の肝心の部分はマンデラが属するテンブ族のしきたりに従って行われるとはいえ、なんだか葬式まで政府・ANCに乗っ取られてしまった観がある。
マンデラにゆっくりお別れを言いたい皆さん。「お祭り」が終わり、要人やセレブがいなくなり、マンデラに関する報道が収まり、世界や国内の目が他のニュースに移るのを待った方がよいかも。それから、思う存分お墓参りをしましょう。
それとも、マンデラの墓は産業のないクヌ村の一大観光名所になってしまい、墓前には土産店が立ち並び、「マンデラの足跡を辿るツアー」に組み込まれ、墓石とツーショットを撮る観光客が絶えず、平穏が訪れることは永遠にない・・・なんてことになるのだろうか。
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大統領府でのマンデラお別れ会、2日目は朝8時から夕方5時半まで一般の人が入れるとのこと。
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