仕事で何度か、ボツワナでキャンプをする機会があった。
国立公園のど真ん中、ライオンやハイエナやゾウやバッファローなどがいるところに、特別な許可を取って、
柵も何もなしにキャンプを張る。といっても、設営はプロのスタッフがやってくれる。通算で50泊くらいしただろうか。
1日24時間サファリ状態。夜、まわりに人の気配がないキャンプを取り囲むのは、
漆黒の闇。頭上には、大きなカゴに山盛り入った星をワシづかみにして振り撒いたような、
満天の星空。くっきりと白い天の川は「
ミルキーウェイ」(ミルクの道)という英語がぴったり。聞こえるのは野生動物の声だけ。そして、信頼できる、腕の超確かなガイド、シェフ、スタッフがサポートしてくれる。焚火と鍋だけで、こんなに美味しい料理ができるなんて感動もの。
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左上や下部の星が見えないところは木があるため |
ボツワナという国がまた素晴らしい。1966年の独立時には、世界でも最貧困国のひとつだった。それが1970年代初頭、ダイヤモンドの発見により一躍裕福になる。しかし、権力者が富を独占し、私欲を肥やし、国民の生活を顧みない国が多かった当時のアフリカには珍しく、大統領をはじめとして立派な政治的指導者に恵まれた。
「ダイヤはいつか枯渇する」と、観光と教育に力を注ぐ。10年間の義務教育は無料。公共の医療機関も無料。
環境保護にも余念がない。チョベには、世界のどこよりも多くのゾウが集まる。一時はゼロだったサイの再導入も、大統領の全面バックアップを得て始まった。大型動物のハンティングどころか、
狩猟は全面禁止。公園内に銃の持ち込みはできない。陸軍の密猟取締り班が目を光らせ、
密猟者はその場で射殺される。また、外国人観光客の国立公園入場料や公園内宿泊料をかなり高く設定する一方で、ボツワナ国民・居住者は誰でも払えるような安値で公園を楽しめる。
国民性も好感が持てる。特に南アフリカから来ると、その違いに愕然とする。もちろん、どこの国にも色々な人がいるものの、ボツワナ国民は概ね、温厚で働き者。民度が高い。
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南を南アフリカ共和国、西と北をナミビア、東をジンバブエ、北をザンビアに囲まれた内陸国(Wikipedea) |
すっかりボツワナファンになってしまった私。なんとか応援したい。
そういうわけで、昨年日本に一時帰国した際、ボツワナという国と国民、そしてキャンプサファリの素晴らしさを熱っぽく吹聴していたら、「行ってみたい!」という声が続出。そこで、参加者を募り、今年のゴールデンウィークにプライベートツアーを企画してみた。一橋大学イノベーション研究センターの
米倉誠一郎教授(兼日本元気塾長兼プレトリア大学日本研究センター顧問兼NPO「アフリカ象の涙」顧問)と一緒に南アフリカに来たことがあるメンバーを中心とした、夫婦2組(1組は新婚旅行!)、シングル女性3名、シングル男性1名、それに私の計9名。