2015/11/28

「ミスター・アグリー」 ジンバブエの醜男コンテストで新チャンピオン誕生

ジンバブエの醜男コンテスト「ミスター・アグリー」(Mr Ugly)で、新チャンピオンが誕生した。

11月20日、首都ハラレのシティー・スポーツ・バー(City Sports Bar)で開催された2015年度「ミスター・アグリー」コンテストで、優勝賞金500ドルを手にして大喜びしているのは、失業中のメイソン・セレ(Maison Sere)さん、42歳。歯が抜けた口と、縦横無尽のグロテスクな表情で、審査員の心をとらえた。

新チャンピオン、セレさん(eNCA

「優勝して嬉しい。接戦だったが、私のルックスのお蔭で優勝できた。前回は4位だった。優勝できたことを神様に感謝したい。チャンピオンに選んでくれた審査員の皆さんに感謝する」と記者会見で語った。

2015/11/08

キャンディー2個とタバコ1本のために失われた命

約半年前のゼノフォビア(Xenophobia)騒動時に命を落としたモザンビーク人の露天商エマニュエル・シトレ(Emmanuel Sithole)さん。襲撃の現場が一部始終カメラに収められ、更に事件が世界中に知れ渡ったことから、4人の犯人が迅速に逮捕され、このほど裁判で判決が下された。
 ゼノフォビア襲撃 モザンビーク作家ミア・コウトがズマ大統領に公開書簡
 ゼノフォビア殺人 被害者も加害者もどん底の生活
事件の経緯はいたってシンプル。4月18日の朝7時を回った頃、17歳の少年がシトレさんからキャンディー2個とタバコ1本を盗む。少年の後を追ったシトレさんは、少年の友だちに取り囲まれ、殺されてしまった。

襲われるシトレさん(Eyewitness News

11月6日、4人のうちのふたりムティント・ベング(Mthinto Bhengu。22歳。事件当初は「ムティンダ・ベング」と報道)とスフンド・ムジメラ(Sfundo Mzimela。21歳。同「スフンド・シェジ」)に殺人罪の有罪判決が下った。

シズウェ・ンゴメズル(Sizwe Ngomezulu。20歳)はシトレさんを襲った証拠がないとして無罪。襲撃したところが写真に写っておらず、証人もいなかったのだろう。

殺人の発端となる盗みを働いたアヤンダ・シビヤ(Ayanda Sibiya)は、運よく殺人犯にならずに済んだ。肉切り包丁を手にしているところを写真に収められたが、包丁をシトレさんに振り下ろすのを勇敢な通行人が押し止めたのだ。シビヤはその直後、シトレさんに蹴りを入れたため暴行罪、それに窃盗罪で有罪となった。

2015/09/30

ホモ・ナレディに会う

ホモ・ナレディ」(Homo Naledi)の実物が10月11日まで展示してあると聞いて、ユネスコ世界遺産「人類のユリカゴ」(The Cradle of Humanity)内にある「マロペン」(Maropeng)博物館へ行ってきた。我が家から車で1時間の距離にある。

南アフリカのこの辺り(Wikipedia


洞窟「ライジングスター」(Rising Star)内で、洞穴「ディナレディ」(Dinaledi)が見つかったのは2013年9月13日。同年11月から本格的な発掘調査が開始され、2014年3月に少なくとも15の個体に属する化石約1550個が発掘された。
発掘現場(Wikipedia

そして、2015年9月10日、ヴィッツ大学のリー・バーガー(Lee Berger)教授がジョハネスバーグで化石と新説の発表を行う。もしかしたら、人類の祖先の新種かもしれない、というのだ。名付けて「ホモ・ナレディ」。「ナレディ」とはソト語で「星」を意味する。

ホモ・ナレディはアウストラロピテクスとホモの両方の特徴を持っている。アウストラロピテクスに近いのは骨盤、肩、胸郭、親指以外の指、脳の大きさなど。ホモに似ているのは足、足首、椎骨、手首、親指、掌など。アウストラロピテスクスからホモへの移行途中の種なのだろうか。全般的な構造がホモに近いことから、バーガーらは「ホモ」属に分類することにした。

まだ年代が測定・推測されていないので、進化のどこに位置づけるのか難しいものの、「見つかった個体は死後、意図的にこの小さくて奥まった洞穴に運び込まれた」とバーガーたちは考える。初期の「埋葬」ではないか。つまり、ホモ・ナレディには「儀式」の概念があったというのだ。それが本当だとすると、「儀式」は「ホモ・サピエンス」や「ホモ・ネアンデルターレンシス」(ネアンタール人)から始まった、という通説がくつがえされる。

2015/09/20

南アナショナルチーム監督が国民に謝罪 ラグビーワールドカップ

「最初に得点したのは日本。日本がリードしているよ。」

9月19日、南アフリカ時間の17時59分に、税理士からこんなショートメッセージが入った。

その日、ラグビーワールドカップで日本と南アフリカが対戦するというので、南アフリカの友人、知り合いから次々に電話やメッセージから届いていた。「あなたのふたつの祖国がラグビーで対戦なんて、心中察しています」なんていうメッセージもあったが、我が家にテレビはないし、とりわけ熱心なラグビーファンでもない。敢えて友人宅やスポーツバーに行って、テレビ観戦しようとも思わなかった。正直、「どうせ負けるだろう」とタカをくくっていた。

税理士からのメッセージは続く。(しかし、なんで一年に一回しか会わない税理士から・・・。)

「また日本が先行した。10対7。日本のプレイは素晴らしい!」(18時25分)

「29対29。日本が勝つかもしれない。まるでニンジャのようだ!」(19時29分)

「日本が34対32で勝った。よく頑張った!」(19時47分)

え~、まさか~!

これは、南ア人にとって非常なショックだろう。『南アフリカを知るための60章』(明石書店)にも書いたが、南ア人は大のスポーツ好き。特にラグビーは、狂信的崇拝者が多い。ワールドカップでも、初参加した1995年に優勝、1999年3位、2003年ベスト8、2007年優勝、2011年ベスト8という成績。世界ランキング3位。一方の日本は1987年の第1回大会からワールドカップに出場しているものの、これまで24戦行った中、勝ったのは1991年の対ジンバブエ戦のみ。1995年の南ア大会では、ニュージーランドに145対17で大敗している。

2015/09/13

子犬のようにはしゃぐサイに複雑な気分

世界中にあと5頭しか生存しないキタシロサイについては、以前このブログに書いたことがある。(絶滅まで秒読み段階 全世界に僅か5頭のキタシロサイ

泣いてもわめいても、世界に1頭しかいないキタシロサイのオス「スダーン」。そのスダーン君の暮らしぶりを動画で見つけた。(スーダン出身なので国名を取って名付けられたのだが、「スーダン」は英語では「スダーン」と発音される。以下紹介する動画内で「スダーン」と発音されているので、ここでもスダーンにしておく。)

1日24時間、武装した警備員に守られているスダーンとメス2頭。ツノを狙う密猟者対策だ。それでも万全を期して、スダーンのツノは切り取ってある。

スダーンと護衛の警備員たち(The Dodo

3頭はチェコ共和国の動物園から、ケニアの保護区にやってきた。警備員曰く、「雪がたくさん降るところで、コンクリートの中で暮らしていたんだ」。

スーダン生まれとは言え、動物園で30年以上暮らしたスダーンと、動物園生まれのナジンとファツ。3頭とも人間の姿に慣れている。警備員たちも、四六時中3頭と一緒にいて、情が移ってきた。

警備員たちはスダーンについてこう語る。

名前を呼ぶとやってくる。お腹の下や耳の後ろを掻いてもらうのが好き。
「危険じゃないよ。来園者や俺たちに愛嬌をふりまくんだ。

その仲むつまじい姿がこれ。

2015/08/30

サイにゾウの皮膚を移植 密猟犠牲者の救助

イテンバ(iThemba)は南アフリカのクワズルナタール州で暮らすメスのサイ。8月の初め、密猟者に襲われ、2本のツノのうち1本を切り取られた。なんとか命を取り留めたものの、一緒にいた赤ちゃんは殺されてしまった。

密猟者に襲われ傷ついたイテンバ(Saving the Suvivors

密猟者の攻撃には負けなかったが、傷口から細菌が入ったりしたら、それが元で死んでしまう可能性がある。

野生動物専門の外科医、ヨハン・マレア(Johan Marais)によると、少しでも骨の付け根部分が残っていれば、そこにガラス繊維製の覆いをネジで取りつけるのだが、密猟の犠牲者はそれができない。末端価格が金よりもコカインよりも高価なサイのツノから最大限の利益を搾り取るため、密猟者がツノを根こそぎ取り去ってしまうからである。

そこでマレア医師が試みた奥の手は?

2015/07/22

最後に笑うものは? ピカソと鉱夫

1973年5月、ジョハネスバーグ美術館(Johannesburg Art Gallery)の館長ネル・エラスムス(Nel Erasmus)は1枚の絵に心惹かれた。パブロ・ピカソ(Pablo Picasso, 1881-1973)の「Tête d'Arlequin II」(1971)である。

Tête d'Arlequin II (The Times

エラスムスはクレヨンとパステルで描かれた道化師に、間近に迫った死に対するピカソの不安を感じ取ったという。(これは2015年の談。)

1973年10月、ジョハネスバーグ美術館は2万8000ランド(現在の為替レートで約28万円)でこの絵を購入する。しかし、「名画」を入手したと意気揚々のエラスムスを待ち受けていたのは、マスコミと市民の嘲笑、困惑、怒りだった。

風刺漫画家たちは格好の材料を得たと大喜び。ピカソの道化師を取り囲む医者たちが次々に診断を下すマンガ(「動脈硬化」「肝硬変」「二日酔い」「敗血症」「悪臭呼気」)や、いたずらした子供を母親が「お行儀よくしないと、あのピカソの絵を見に連れて行くわよ!」と脅すひとこまマンガなどが新聞紙面を飾った。

2015/07/12

ネットで暇つぶしする、今どきの囚人 刑務所の通貨は「エアタイム」

「あなたのせいで笑い過ぎて、お腹の皮が痛いわ。」

アヤンダ・テンゴ(Ayanda Tengo)がこんなコメントを残したのは、シズウェザケ・ヴマゾンケ(Sizwezakhe Vumazonke)のフェイスブックのウォール。これに対して、ヴマゾンケは「あまり笑うなよ。お腹が落っこちるぜ。」

ヴマゾンケはまた、フェイスブックにこんな写真を投稿している。

news24

この賑やかな服は、南アフリカの囚人服。そう、ヴマゾンケは殺人容疑で勾留され、刑務所に収容されているのだ。

『タイムズ』紙の取材を受けた別の囚人曰く、

刑務所に入っていると、時間は有り余っているのに、することがない。だから、皆ネットで時間を潰すのさ。僕はツイッター、フェイスブック、インスタグラム、それにワッツアップをやってるよ。」

ネットにアクセスするにはスマホを使う。

囚人が携帯電話を持つことは許可されていないものの、様々な手を使って持ち込んでいる。

2015/07/01

逃走ライオン、捕まる 国立公園を抜け出して24日ぶり

人間は誰も、自分を中心とした「普通」の世界に住んでいる。「普通」「当然」「常識」と思っていることが、習慣や価値観の違うよその国の人から見ると、全然「普通」でも「当然」でも「常識」でもないことがよくある。同じ日本人だって、育った環境の違いによって、異なった「常識」を持っていることがあるかもしれない。

カルー国立公園(Karoo National Park)のオスライオンが公園外に逃げ出したと聞いた時、「そうか」くらいしか思わなかった。そして、狩猟大好き人間や、家畜が襲われることを懸念する農家に殺されることなく、無事に保護され、国立公園に戻って欲しいと願った。

南アフリカはアフリカ大陸屈指の先進国だ。「アフリカ」とはいっても、ライオンを目にすることが出来るのは動物園か保護区のみ。それでも、ライオンが保護区の外に出たと聞いて、全然違和感がなかった。数年前、ペットのトラが輸送中に行方不明になり、数日間捜索が行われた時の方がずっと大々的に報道されたから、メディアも一般の人たちも、逃走ライオンが「普通」でないこととはそれほど感じていないに違いない。

「シルベスター」(Sylvester)というニックネームを与えられた3歳のオスライオンが2週間くらい経ってもまだ捕まらないというニュースに、「これが日本だったら大騒ぎだろうな」とようやく思い当たった。「猛獣」とされるライオンが2週間も野放し状態なのだから。日本で育ち、日本に住む日本人にとって、野生のライオンが動物園の外を勝手に歩いているのは、かなりシュールな出来事だろうな。(まあ、日本では熊やイノシシが里に出てくることがあるから、動物の種類が違うだけで、コンセプトとしてはそれほど異様ではないかも。。。)

2015/05/01

ゼノフォビア殺人 被害者も加害者もどん底の生活

少なくとも7人が命を落とした今回のゼノフォビア(Xonophobia)騒動。7人目の被害者エマニュエル・シトレ(Emmanuel Sithole)さんと加害者4人の家族を『サンデータイムズ』(Sunday Times)紙が追った。浮かび上がったのは、出口の見えない状況でなんとか生き延びようとする必死の姿。

エマニュエルさんの故郷は南アフリカの隣国モザンビーク。ベイラ(Beira)から南西400キロに位置するンハチュンガ(Nhachunga)村だ。ゼノフォビア騒動を避けるため、故郷に戻る予定だった前日に殺されてしまったという。後に残されたのは、母親、若い妻2人、幼児3人。父親は去年亡くなった。

エマニュエルさんの妻、子供たち、母親(Times Live

エマニュエルさんが南アフリカにやって来たのは7年前。2008年のゼノフォビア騒動時は南アに留まった。昨年、路上で襲われ何週間も入院したが、やはり南アを去らなかった。半年に1回くらいしか国に戻らず、自分は質素な生活を守って、毎月欠かさず約1300ランド(1万3000円)の仕送りを続けた。

独身だったエマニュエルさんが28歳の時、寒村ンハチュンガを出て南アフリカにやってきたのは、仕事を見つけるため。家族に少しでも良い暮らしをさせ、結婚資金を貯めることが目的だった。伝統的な部族の結婚では、ロボラと呼ばれる結納金を花嫁の家族に払わなければならないのだ。

南アフリカに不法入国し、露天商としてコツコツお金を貯め、ロボラを払ってセリナ(Selina)さんと結婚。商売は繁盛し、昨年、2人目の妻イサベル(Isabel)さんを娶った。現在、セリナさんとの間に3歳の息子と1歳の娘、イサベルさんとの間に1歳の娘がいる。

エマニュエルさんの夢は、家族のためにレンガ作りの家を建てることだった。しかし、エマニュエルさんが亡くなったことで、レンガの家どころか、食料さえおぼつかない。

エマニュエルさんの母親によると、貧しいンハチュンガ村の生活は天候に左右される。今年は作物の出来が悪かった。お金がある家庭は、食料を買うことができる。家畜を持っている家は、牛を何頭か売って食費を調達できる。しかし、お金も家畜もなく、自分で植えた作物しか食べるものがない一家は飢え死にするしかない、という。

2015/04/22

ゼノフォビア襲撃 モザンビーク作家ミア・コウトがズマ大統領に公開書簡

一連のアフリカ諸国民襲撃事件で7人目の犠牲となったモザンビーク人の露店行商人、エマニュエル・シトレ(Emmanuel Sithole)さん(35歳)の殺害容疑者4人が逮捕された。

大勢の通行人や全国紙『サンデー・タイムズ』紙ジャーナリストの目の前で、白昼行われた殺しである。犯人の顔がはっきり映った写真が、4月19日付『サンデー・タイムズ』紙の一面に大きく掲載された。捕まらない方が不思議だろう。殺人の一部始終がカメラに証拠として残されたこと、目撃者が多いこと、更に、世界中で報道され、多くの注目を浴びてしまったことから、4人にはスピーディに有罪判決が下ると見られる。

The Citizen
ENCA
Incwajana

新聞社のカメラマンは通常大きなカメラを抱えているし、『サンデー・タイムズ』紙のジャーナリストはふたりとも白人。住民の殆どが黒人の地域では目立つ存在である。それでも躊躇しなかった犯人たちは「どうせ捕まらない」とタカをくくっていたのか。(ところで、先日、テレビカメラの前でレポーターを襲った強盗は捕まったのだろうか?)

エマニュエルさんを病院に運ぶジャーナリスト(IOL News

現場に居合わせた被害者の姉(妹)ジョーディナ・マシア(Jordina Masia)さんによると、料金を払わず売り物のタバコを持ち去ろうとしたので、エマニュエルさんが咎めたところ、襲ってきたという。警察では「通常の強盗殺人事件か、ゼノフォビア動機か不明」と言っているが、ゼノフォビア襲撃の多く、特に商店襲撃は「外国人」を口実にした略奪と見られるケースが多い。少なくとも、武器を携行して路上を歩いていたこの4人は、時流に乗って「外国人」を襲おう、あわよくば懐を潤わせよう、と考えていたのではないか。また、最初から「外国人」を狙っていなかったとしても、タバコ数本のために殺してしまったのは、外国人襲撃風潮の最中、エマニュエルさんがたまたま「外国人」だったことが関係しているのではないか。(「ゼノフォビア」(xenophobia)については「収拾のめどがつかない外国人襲撃にアフリカ諸国が立ち上がる」参照のこと。)

2015/04/19

収拾のめどがつかない外国人襲撃にアフリカ諸国が立ち上がる

ゼノフォビア」(xenophobia)という言葉をご存知だろうか。

「ゼノ」(xeno)は「外来の、 異質の、 異種の」、「フォビア」(phobia)は「恐怖症、 病的恐怖、 病的嫌悪」を意味する。つまり、「ゼノフォビア」(xenophobia)とは「外来者・外国人恐怖症、外国(人)嫌い」。リーダーズ英和辞典には「外国[未知]の人[もの]に対する嫌悪・憎しみ・恐怖」とある。

ゼノフォビアという言葉は、南アフリカではかなり特定した使い方をされている。「アフリカ諸国からやってきた黒人に対する、南アフリカ黒人による差別・偏見・暴力」を表す婉曲表現なのだ。ここ数年よく耳にする言葉である。日常的に小さい事件が都市部で起こり、数年に一度、大きな襲撃事件が連発する。大抵の場合、理由にもならないようなちょっとしたことがきっかけだ。きっかけがはっきりしないこともしばしばである。

最初に「ゼノフォビア」が大きく取り上げられたのは、10年くらい前だったと記憶している。モザンビーク人やジンバブエ人が襲撃され、各地に難民キャンプが設立された。

2015/04/09

個人による刑事訴訟で初めて有罪判決 娘の「自殺」を信じなかった両親の執念実る

2005年6月28日、ロシェル・ナイドゥー(Rochelle Naidoo)さんの死体がケープタウンのアパートで見つかった。

ロシェルさん(News24
同居していたボーイフレンドのファイゼル・ヘンドリクス(Faizel Hendricks)は「自殺」と主張。ロシェルさんが38口径のリボルバーを口に突っ込み、引き金をひくのを目撃したというのだ。リボルバーはヘンドリクスの持ち物だが所持許可なし。警察はヘンドリクスを殺人容疑で一旦逮捕したものの、証拠不十分で釈放。

ロシェルさんの両親は娘の「自殺」を信じなかった。そして行動を起こした。私財を投じて弾道学や科学捜査の専門家を雇い、個人的に捜査を続けたのだ。なにしろ警察が当てにならないのだから。更に、国が起訴してくれないため、2010年には検察官の役割を果たす弁護士を雇い、個人でヘンドリクスを起訴した。

えっ? 個人が刑事訴追できるの?

2015/04/06

大統領府までジョーク 今年のエイプリルフール

先週の水曜日のことだ。いつものように、朝7時から始まる太極拳のクラスに出かけたところ、医療健康関係のジャーナリスト、マリカが近寄って来た。

「お早う」もそこそこに、「あなた、ロニー・カスリルズ、知ってる?」

ロニー・カスリルズ(Wikipedia
ロニー・カスリルズ(Ronnie Kasrils)といえば、有名な反アパルトヘイト活動家。1938年11月15日生まれ。19世紀末、曽祖父母がラトビアとリトアニアから南アフリカに移民してきたユダヤ系だ。1960年に解放運動組織ANC(アフリカ民族会議)のメンバーになり、1962年マンデラと共にANCの軍事部門MK(ウムコントウェシズエ)を設立。1994年の第1回民主総選挙でANCが大勝した後、副国防相、水資源森林相、諜報相を歴任。

そのカスリルズが一体・・・?

彼ほど反ユダヤ的なユダヤ人はいないわ。

確かにロニー・カスリルズはイスラエル政府に批判的、パレスチナに同情的な態度を表明している。

ユダヤ系といっても色々だが、マリカはイスラエル政府信奉者。宗教的には温厚なのに、政治的には狂信的。イスラエル政府が彼女の宗教みたいなもの。パレスチナ問題に関しては「イスラエルが100%正しく、パレスチナが100%悪い」という、議論の余地のない意見を持つ。

「太極拳に来る途中、イスラエルのニュースを仕入れるため、毎朝カイFMを聞いてるんだけど・・・」

カイFMChai FM)はユダヤ系のコミュニティーラジオだ。

「今朝のトップニュースで、ロニー・カスリルズのカバー(カムフラージュ)がバレタ、って言うじゃない。」

???

本当はモサドのエージェントなんだって!

2015/03/28

子供の取り違え 先祖の意見は?

仮にXさんとしておく。子供のプライバシーを守るため、名前が公開されていないからだ。

Xさんは2013年に離婚した。元妻は息子の養育費を請求。かねてから似ていない息子に疑念を抱いていたのか、XさんはDNA検査を要求した。元妻の浮気を疑ったのだろう。

検査の結果はXさんの思った通り。息子として育てて来た少年はXさんの息子ではなかった。ところが、なんと、元妻も母親ではなかった

2015/03/21

絶滅まで秒読み段階 全世界に僅か5頭のキタシロサイ

全世界に僅か5頭。キタシロサイの生息数だ。ケニアの保護区で厳しい監視の元に生きているオス1頭とメス2頭、チェコ共和国の動物園にメス1頭、アメリカ合衆国の動物園にメス1頭。野生では既に絶滅してしまった。

世界に1頭しかいないオスの名前はスーダン(Sudan)。43歳。シロサイの寿命が40-50歳ということを考慮すると、かなりの高齢。元々キタシロサイは動物園など囚われの身状態で殆ど繁殖しない。人工授精という手も考えられるが、高齢のスーダンの精子は質が良くないらしい。5頭が一匹ずつ死んでいき、数年後にはキタシロサイがこの世界から姿を消してしまうことはほぼ確実だという。

サンディエゴのアンガリフ(Wikipedia
シロサイにはキタシロサイ(northrn white rhinoceros;学名Ceratotherium simum cottoni)の他にミナミシロサイ(southern white rhinoceros;学名Ceratotherium simum simum)がいる。ミナミシロサイは南部アフリカに約1万7500頭、うち93%が南アフリカに生息する。キタシロサイが絶滅しても、ミナミシロサイが生き残ればシロサイ自体は安泰…というわけでは必ずしもない。キタシロサイとミナミシロサイは100万年以上前に分かれたとされ、シロサイの亜種ではなく全く別の種という学説もある。また、ミナミシロサイの密猟も進んでおり、絶滅が危惧されている。

2015/03/11

間抜け? 大胆不敵? 生中継中のレポーターを襲った強盗

3月10日の夜、南アフリカ国営放送(SABC)のレポーター、ヴヨ・ムヴォコ(Vuyo Mvoko)はジョハネスバーグの私立病院「ミルパーク病院」(Milpark Hospital)の前にいた。ザンビアのエドガー・ルング(Edgar Lungu)大統領が同病院に入院した模様を7時のニュースで生中継するためだ。ムヴォコを取り囲むのは、カメラマン2人とジャーナリスト3人からなる報道チーム。

7時直前に番組のプロデューサーと携帯電話で話し、さあ本番!というところで邪魔が入った。4人組の武装した男たちがいきなり目の前に現れ、携帯電話、パソコン、撮影機材を要求し始めたのだ。カメラは既に回っている。7時のニュースを見ようとテレビのスイッチを入れた全国のお茶の間の国民の前で、強盗の生中継が始まってしまった!

IOL News

携帯電話を渡すのを拒否したムヴォコに、犯人のひとりが「この犬を撃ち殺せ!」と叫んだ。幸いにも怪我人は出なかったが、なんと大胆なことか。

2015/03/09

人種別居住がもたらすもの 南アフリカ在住者の視点

「BLOGOS」編集部に依頼された寄稿記事を転載します。普通は、このブログの記事をBLOGOSが時折掲載してくれるのですが、今回は逆ですね。 南アフリカでは全然話題になっていないので、問題となった曽野綾子氏の記事をBLOGOS編集部から送ってもらいました。


  * * * * * * *

日本では、曽野綾子氏の産経コラムが「アパルトヘイトを奨励するものである」として大きな批判を受けていると聞いた。

南アフリカでは、とりわけ大きなニュースにはなっていない。ネットで検索したところ、いくつかのメディアのデジタル版が通信社の記事をそのまま掲載していた。「曽野氏のコラムに在京南アフリカ大使ペコ氏が抗議した」という内容だ。南ア国内では、その程度の反応である。

問題のコラムに目を通して唖然とした。

「人種差別撤廃後、大家族主義の黒人がヨハネスブルグでマンションを購入し、白人やアジア人なら家族4人が暮らすようなスペースに20-30人で住み始めたため、水道から水が出なくなって白人が皆逃げ出した。従って、居住地は人種別にすべきだ」という議論である。

どんな家族だろう。男性と複数妻とその子供たちだろうか。それとも、両親と成人した息子数人とその家族だろうか。大切な祖先の霊が眠る故郷を一家揃って離れるとは、よっぽどの事情があったのだろうか

マンションを購入できるほどの裕福な家庭らしいが、事業で成功して現金で買ったのだろうか。それとも会社勤め人が銀行ローンを利用したのだろうか。いずれにせよ、20-30人も家族がいるのに、4人分のスペースしか確保せず、愛する家族を劣悪な住環境に置く変わった家長である

しかも、曽野氏の書き方からすると、一家族だけではないようだ。一軒のビルに同様の集団が何家族も住み始めたらしい。なんとも荒唐無稽な話。

2015/03/07

子供1人のお値段25ドル アフリカの人身売買

今、日本で一番有名なイスラム過激派グループは、湯川遥菜さんと後藤健二さんを殺害した「イスラム国」(Islamic State)だろう。

アフリカに根を張るイスラム過激派グループもある。 2008年10月、レイプされたことを届けようとした13歳の少女を「姦通罪」で処刑したソマリランドの「アルシャバーブ」(al-Shabaab)や、2014年4月、276人もの女子生徒を学校から拉致したナイジェリアの「ボコハラム」(Boko Haram)を耳にしたことがある人もいるかもしれない。

これらのグループのせいで命を落とした人、家を失った人は数知れない。

イスラム過激派をはじめとするテロリストグループは、様々な手段を使って資金を調達している。誘拐による身代金、強盗、共鳴者からの寄付。。。イスラム国家は石油や古代遺物を販売しているし、ボコハラムは麻薬の密輸に関わっている。アルシャバーブは年間数万頭のゾウを殺して、象牙を売っているといわれる。

人身売買」(human trafficking)もテロ集団の貴重な収入源だ。

モニーク・エムサー
フリーステート大学のリサーチャー、モニーク・エムサー(Monique Emser)によると、近年テロリズムと人身売買の相関関係が強くなっている

マリ、中央アフリカ共和国、ソマリア、中東などの紛争地帯では、少年たちが兵隊として使われる。ユニセフによると、南スーダンでは2000人、中央アフリカ共和国では1万人、コンゴ共和国では4200人の少年兵が戦っているという。ウガンダの「神の抵抗軍」(Lord Resistance's Army)は3万8000人もの少年兵を「リクルート」した。

では、少女たちは? 性的奴隷や妻にされるのだ。

自力で村から子供たちを拉致するグループもあれば、既に誘拐された子供たちを購入するグループもある。アフリカの子供の値段は1人25米ドル程度。アフリカ大陸で兵隊、労働者、性的奴隷として使われいる子供たちは12万人と推定されている。そして、全世界では30万人!

2015/02/26

めっきり痩せたズマ大統領 第2夫人が毒を盛った!?!

副大統領として国政の表舞台に登場した1999年以来、ジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)は無数の政治風刺漫画に登場している。トレードマークはメガネ、禿げ頭、肥満体。HIV陽性のレズビアンの女性をレイプした容疑で法廷に立ち、「シャワーを浴びたから感染の心配はない」などと発言して以来、頭の上にシャワーがついた風刺画も多い。

ぽっちゃりした政府公式写真

ところが、ズマ大統領の容貌が去年半ばから変わった。めっきり痩せてしまったのだ。それも健康的な痩せ方ではなく、げっそりしている。原因はなんだろう。激務のためか、病気に罹ったのか、それとも家庭内問題の心労からか。妻ナンバー2とナンバー3の仲が悪いことは有名だし、20人を超える子供たちや無数の家族・親戚が色々たかってくるのに対応するのも大変だろう。。。

2014年9月の写真。別人のようにやつれている(Business Day

サンデー・タイムズ』紙が一面トップでスクープしたところによると、妻ナンバー2のノムプメレロ(Nompumelelo)がズマを毒殺しようとして、ズマ邸から追放されたという。とすると、激ヤセの原因は毒の作用?

2015/02/17

転んだムガベがミーム化 政治批判から無邪気な笑いまで

ジンバブエの独裁者ロバート・ムガベ(Robert Mugabe)大統領がこけた。エジプトで開催されたアフリカ連合(African Union)総会で新議長に就任し、2月4日、意気揚々と帰国。空港で演説を行った後、ひな壇から下りる途中で、赤カーペットに躓いてしまったのだ。



映像は世界中のニュースで流れてしまったものの、写真の流出だけでも食い止めようとしたのか、現場にいたスチールのカメラマンたちは画像を消去するよう警備員に要求されたという。また、27人もの警備員が停職処分になったという報道もあった(ジンバブエ政府は否定)。

国のお抱えカメラマン、ジョセフ・ニャダヨ(Joseph Nyadzayo)は自分が撮った写真を政府のプロパガンダ新聞『ヘラルド』(Herald)紙に届けた。新聞の上層部は「絶対使ってはならない!」。なのに、全国紙に掲載されてしまった。どこかで行き違いがあったのか、それとも、写真があまりに秀逸なため、編集部員たちが誘惑に勝てなかったのか。。。


『ヘラルド』紙の編集部員3人が大目玉を食らったらしい。

ジンバブエ政府は火消しに大わらわ。『ヘラルド』紙の姉妹紙、『サンデーメール』(Sunday Mail)紙曰く、

「ムガベ大統領は、精神的に機敏であるが故に、反射的に転倒のショックを和らげることが出来、また、身体的にフィットしているが故に、全く怪我をすることなく歩き去ることが出来た。」

「この出来事により、ジンバブエ人が何故一貫してムガベ大統領に投票し続けるのかが証明された。大統領はこれまでにも増して、精神的に機敏であり身体能力に優れている。」

「ムガベ大統領が一線から身を引く時が来たなどと示唆するのは、馬鹿者だけである。」

そろそろ91歳の老人なのだから、躓いて転ぶことがあっても不思議ではないのに、ムキになっているのが痛ましい。

一方、政府にコントロールされていない『スタンダード』紙は、

「若い老人のふりをしても、ムガベのためにならない。」

「引退してくれれば、ムガベ自身とジンバブエ国民に大きく貢献する。」

それにしても、想像をかき立て、創造を生み出すポーズである。あっという間に、インターネット・ミーム(internet meme)化したのも不思議はない。検索したら、50近くあった。政治批判をチリバメタものから、単に笑いを誘うものまで、よく思いついたなあ。

例えば、明らかなムガベ批判は・・・
 

2015/02/12

国の惨め度と国民の幸せ度

人の幸せなんて、主観的なものだ。貧困にあえぎ、明日の食事されおぼつかない人は「お金さえあれば・・・」と切望するかもしれない。寄って来る人はすべて金目当てと思い込み、孤独をかみしめる超大金持ちは「お金さえなければ・・・」と嘆くかもしれない。肥満に悩む人は痩せることを夢見るかもしれないし、超痩せの男性は「もっと筋肉があれば」と鏡を見る度に溜息をつくかもしれない。

南アフリカは世界有数の惨めな国だという。アメリカのケイトー研究所(Cato Institute)が2015年1月に発表した、2014年度の「世界悲惨指標」(World Misery Index)で10位という不名誉なランキングを獲得した。

リストを作成したのはジョン・ホプキンス大学のスティーブ・ハンク(Steve Hanke)教授。「どの国も、低いインフレ率、低い失業率、低い貸出金利、そして1人当たりのGDPを増やすことを目指している」から、この4つを使って各国の惨め度を計算したという。

計算式は「(失業率)+(貸出利子) +(インフレ率)-(国民一人当たりの実質GDPの変動率)」。この4種類のデータを公表している国だけが対象になるため、2013年度は89か国、2014年度は108か国のランキングとなっている。