2018/06/14

限りなく完璧に近い人々(4)耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶフィンランド人

欧米人が持つフィンランド人のイメージは「超寡黙」。『限りなく完璧に近い人々』(The Almost Nearly Perfect People)では、こんな実話が紹介されている。

著者マイケル・ブース(Michael Booth)の友人(フィンランド人)が吹雪の中、義兄と車に乗っていたところ、とんでもない田舎で車が故障してしまう。30分後、やっと車が一台通りかかった。運転手は車を止め、故障した車のボンネットの下をチェックし、親切も修理までしてくれた。その間、交わされた言葉ゼロ。通りかかりの人が立ち去った後、著者の友人は義弟に言った。「いや~、ラッキーだったね~。一体誰だったんだろう?」 義弟は平然と、「ああ、あれはユッカだよ。僕の同級生だった。」

私の経験では、フィンランド人が「超寡黙」とは感じたことがない。むしろ、「口を聞かないのは言うことがないから」とか「口をきかないのはバカだから」とかいう理由で、ひたすら自己主張し喋りまくるアメリカ人より、余計なことを言わないフィンランド人の方が楽。日本人と似ているのかもしれない。

2018/06/10

本『The President's Keepers』赤裸々すぎるズマ前大統領の汚職の実態

在職8年で一国をここまで滅茶滅茶にしたジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)大統領の手腕には恐れ入る。

「大統領職ほど儲かる仕事はない」とばかりに、私利私欲第一。国や国民のことはまったく眼中にない。

大統領時代のジェイコブ・ズマ

正規の学校教育を一年も受けていないのは、幼い頃の家庭環境や政治経済環境が原因だとしても、教育を受けるチャンスはその後いくらでもあった。服役中に学位を取った解放運動同志が大勢いる中、ズマは教育に興味がない様子。世界が注目した1999年の大統領就任演説では、自分の原稿がまともに読めなかった。英語の読み書きが苦手にしても、一世一代の晴れ舞台である。それなのに、前もって練習した気配もない。その後も英語の演説原稿を読むのが苦手。大きな数字となるとお手上げである。

もちろん自分で書いた演説ではない。しかし、原稿が読めないのは練習しなかったからだけではない。何が書いてあるか理解していないことが大きな原因だろう。大統領として、国を発展させ、国民の生活向上を図ることに興味がないのである。